第4回 2005年11月3日(木)放送 あらすじ

疫病神

 京から招聘された才色兼備の常磐井の局改め右衛門佐(高岡早紀)は、大奥を激震させた。女中たちは雅な京菓子をほおばりながら、右衛門佐の噂話で持ちきりである。一方で桂昌院(江波杏子)は音羽(余貴美子)を前に、右衛門佐を招いた信子(藤原紀香)の真意を訝っていた。そこへ右衛門佐が菓子を手土産にご挨拶のため訪ねてきた。恭しく挨拶し、柳島妙見堂にお参りした際、桂昌院が寄進した参道の敷石に感服した話などを持ち出して機嫌をとる右衛門佐。思わず上機嫌になる桂昌院、しかし、その隙のない振る舞いに、ますます猜疑心を募らせるのであった。また、お伝の方(小池栄子)は、右衛門佐が自分だけに挨拶に来ないことに、ひがみと劣等感を深くする。
 桂昌院は、綱吉(谷原章介)や安子(内山理名)らがいる前で、右衛門佐の話を持ち出した。綱吉の出方を見ようとの策である。お伝の方は自分にだけ挨拶のなかった件を綱吉に言いつけるが、安子が「ご側室様にご遠慮して距離をお取りになるのは、むしろ奥ゆかしさの現れかと」と助け舟を出し、信子を安心させる。綱吉は、ただ右衛門佐とやらの美しさを見てみたいと思うだけであった。
 右衛門佐は廊下を歩きながら安子にふと漏らした。「信子様は、私を桂昌院様、お伝の方様と張り合うための道具にしようとしておられる。なれど大奥は、おなごがこの世を動かすことができる唯一の場所」と言ってのけたのだ。物陰からその言葉を聞いていたのは音羽であった。音羽からその話を聞いた桂昌院は「大奥総取締の座を狙うておるのか。この桂昌院が認めぬ限り、大奥総取締などあり得ぬわ」と不快感をあらわにした。同席していた柳沢(北村一輝)は、「確か、ご側室は総取締にはなれぬ…そういう取り決めが」と知恵を授ける。桂昌院はその言葉の意味をすぐに理解し「上様をけしかけてみるかの」とほくそ笑むのだった。
 右衛門佐は、大奥で和歌や源氏物語の講義を始めた。女中たちはそれに夢中になった。教養のないお伝の方は、対抗意識を燃やし、必死になってにわか勉強を始める。そんな折、やくざ者の兄が無心しにやって来た。お伝の方は、悲しくも我が身の生い立ちを呪わざるを得なかった。
 右衛門佐による源氏物語の講義の日。なんとお伝の方も参加している。講義中、外の廊下を通り掛った綱吉は美しい朗読の声に足を止め、襖の隙間から中を覗く。見目麗しい右衛門佐にたちまち釘付けとなった。覗き見しているところを中の女中たちに気付かれ、引っ込みのつかない綱吉は講義部屋に入るしかない。右衛門佐は綱吉に畏まって挨拶するが、綱吉は「苦しゅうない。朗読に感じ入った。講義を続けよ」と奥に座り込むのだった。
 右衛門佐は、ある問いを出題した。お伝の方が名乗り出て、源氏の解釈をスラスラと答えた。一同感心した様子で、右衛門佐もまずはほめるのだが、実は正しい解釈ではないと指摘する。満座の席で恥をかかされたお伝の方の顔色は変わり、隠し持った解釈本の写しを丸める手が悔しさに打ち震えるのだった。その時、綱吉が正答を口にした。右衛門佐は綱吉を大きく持ち上げた。これをきっかけに、綱吉も桂昌院にそそのかされるまま、右衛門佐を側室に迎えるべく動き出す。
 その動きを聞いた安子は、「御台様付きの御上臈を側室にしたのでは、御台様に対して申し訳が…」と思い留まるように綱吉に懇願するが、綱吉は「差し出がましい」と激怒する。一方、柳沢は、これで染子(貫地谷しほり)のもとに綱吉が訪れないであろうと、安堵の思いで染子の肩を抱きしめるのだった。
 桂昌院は信子に右衛門佐を側室に差し出すよう申し入れた。信子は断るが、なんと、右衛門佐本人が「桂昌院様、ひいては上様の御意とあらば、御台様の御意も同じと心得ます。私に否やがございましょうか」と言い放った。愕然とする信子と安子に、右衛門佐は考えあってのことと伝えるのだった。
 ある日、右衛門佐と綱吉は二人きりで城内のあずまやに入った。裏には信子と安子が隠れて聞き耳を立てている。
 右衛門佐は「論語に『難きを先にし獲るを後にす』とあります。上様の側室にしていただくことは、私にとっての幸せ。ならばそれは後回しにせねば」と、巧みにじらす。綱吉はばかにするな、と怒りを露わにし始めた。右衛門佐はすかさず綱吉の手を取って自分の胸に当て「肌にかかる情けは一時のこと。政の道でも陰となって上様をお支えし、他のいかなるご側室をも凌ぐ勢いで、上様と結ばれていたい」と訴えるのだった。綱吉も右衛門佐の野心を見抜き、「申してみよ。何が望みじゃ」と右衛門佐の才覚に降参せざるを得なかった。右衛門佐は微笑んだ。
 翌日、大奥大広間で綱吉は宣言した。「今日より右衛門佐に大奥総取締の任を申し渡す」。どよめく一同。右衛門佐は野望に向けての第一歩を踏み出したのだった。
 安子はお伝の方に呼び出され、突然湯殿に押し込まれた。お伝の方は何かに憑かれたような様子である。「右衛門佐や御台と示し合わせて、徳松を追い落とし、その腹の子を世継ぎにしようと考えておろう! この疫病神!」と安子に迫る。勢いに気圧され、後退さった安子は水風呂に落ちてしまう。お伝の方はそれを見ると湯殿に閂をかけ出て行ってしまった。水から上がった安子は腹を押さえて苦しみ始めるのだった。

キャスト

内山理名
谷原章介
小池栄子
高岡早紀
北村一輝
貫地谷しほり
  ・
余 貴美子
  ・
江波杏子
  ・
藤原紀香

スタッフ

■脚本
 尾崎将也

■演出
 葉山浩樹

■音楽
 石田勝範

■企画
 保原賢一郎

■プロデュース
 林 徹
 手塚 治
 樋口 徹
 金丸哲也

■製作
 フジテレビ
 東映

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