第7回 2004年11月18日(木)放送 あらすじ

#7 新たな側室

 お万が家光(西島秀俊)の寵愛を受け、春日局(松下由樹)の心は複雑に揺れ動いた。そんな春日局は、賑やかな浅草に出かける。お万を牽制しようと新たな側室を探し出すためだ。春日局はそこで、質素だが心優しい町娘・おらん(後のお楽=京野ことみ)を見つけた。
 おらんの素性を調べ上げた春日局は、飛鳥井(かとうあつき)を供に、後日突然、おらんの長屋を訪れた。「まず部屋付きで、のち側室に」と春日局は切り出す。おらんの家は、元は武家でお家取り潰しに遭い、母は病床に就き、兄は仕官もままならない。おらんはその場で「お家再興と兄の仕官がかなうなら」と奉公を承諾する。春日局の思惑通りである。
 このころ大奥は、質素堅実な武家風の春日派と、優美で華やかな公家風のお万派に分かれていた。春日局の厳しい締め付けによる息苦しさを和らげてくれるお万の人気は上がる一方であった。気に入らない春日局は、お万のまねをして華美な着物を求める女中たちに、「新調は一年一人一着」など厳密な規則を押し付けた。それを聞いたお万は、自分の着物を女中たちに配る。それがおもしろくない春日局はお万に直接、その意を質した。
 「大奥総取締は私。側室の一人に過ぎぬあなた様の勝手な振る舞いは、後から入る方に示しがつかぬ」とたしなめる。「後から……」と緊張するお玉(星野真里)ら。お万が尋ね返すと、春日局は、近々、もう一人側室候補が来ることをお万に言い放ち勝ち誇ったように去っていくのだった。飛び掛ろうとするお玉を悲しげに制すお万だった。
 春日局が再びおらんの元へやってきた。長屋の部屋に多額の金子が積み上げられる。おらんは騒乱に通じるので“お楽”と名を変えることを申し渡す春日局。床で悲しむおらんの母・おきよ。異を挟もうとする兄。しかし、おらんは「異存ございません」と気丈に答えるのであった。しかし、おらんには思いを寄せる宋兵衛がおり、涙ながらに別れる。
 そんな大騒ぎの長屋の前に、一人の威勢のいい魚屋の娘・お夏(野波麻帆)がやって来た。おらんの長屋仲間である。
 春日局がおらんの家から出てくると駕籠がない。お夏が自分の家で駕籠かきをもてなしていたのであった。一服するようにと春日局に勧めるお夏は、おらんの側室の話を問う。そして、大胆にも自らを売り込む。春日局は一笑に付すが、お夏は引かない。突然、春日局の目の前で半纏とさらしを脱ぎ捨て「顔で負けても体は負けません」と息巻く。春日局もそれには圧倒されてしまう。
 夕刻になって一人佇むお万の耳に、隼人(金子昇)の笛の音が聞こえてきた。「あなたの笛を恋しく思っていました」と隼人に歩み寄る。そして、新たな側室が来ることを伝え、自分は尊いことをしていると思っていたが、浅はかだったと悔恨を口にする。隼人はお万を慰め去っていく。お万の心はときめいた。
 そんな隼人は、大奥の隠し座敷牢をやっと見つけ、夜陰に乗じて衰弱しきった姉・おゆき(遠山景織子)を助け出した。おゆきはイエス様を裏切り、踏み絵を踏んでしまったと震え、泣きながら吐露する。隼人が慰めると、安心し微笑を見せるおゆき。隼人は再びおゆきを背負い出発しようとする。だが、おゆきの手には隼人の短刀が握り締めてあった。知らずにおゆきを背負う隼人。おゆきの胸に突き刺さる短刀。これからの人生や思い出話をしながら先を急ぐ隼人の背中で、おゆきは静かに息を引き取るのだった。
 大奥では、おゆきの逃亡が発覚した。春日局の指示が飛び騒然となる。お万はそれを不安げに聞いていた。そこへ、家光がお万に会いに現れ、一緒に隼人の笛を聞きたいと誘う。笛を吹く隼人。その音色に聞き入る家光。複雑な思いにかられるお万。

キャスト

春日局 … 松下由樹
お万 …  瀬戸朝香
徳川家光 … 西島秀俊
お玉 …  星野真里
孝子 … 木村多江
半井隼人 … 金子 昇
おゆき … 遠山景織子

お楽 … 京野ことみ
お夏 … 野波麻帆

朝比奈 … 梶 芽衣子

スタッフ

■脚本
 浅野妙子
■企画
 保原賢一郎
■プロデュース
 林 徹
 樋口 徹
 手塚 治
 若松 豪
■演出
 長岡鉦司
■音楽
 石田勝範
■主題歌
 サザンオールスターズ
■制作
 フジテレビ
 東映

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