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<第7回> 『タイムカプセル』
 「家族を殺したのは私なの・・・。だから国府は私を探しているんじゃないの?罪をなすりつけた真犯人に復讐するために」。
 フラッシュバックで実那子(中山美穂)が見た過去の記憶の中で、
12歳の実那子は返り血を浴び、手には刃物を握りしめていたという。
 運び込まれた病院のベッドで取り乱す実那子に、直季(木村拓哉)は本当に実那子がそんなことをするような子だったのかを調べてきてやると約束する。敬太(ユースケ・サンタマリア)と共に実那子が少女時代を過ごしたという福島県御倉の町にやって来た。
 15年前の惨劇のあった町の人は、事件のことを話すことを避けているようだったが、それでも直季は、実那子と仲良しだったという高木佐江に会い、幼い美那子の体に何故か痣(あざ)があったことを聞き出した。 
 敬太は直季のもとに御倉渓谷で起こった、沖田将人という男の子の変死事件の情報を持ってきた。将人は実那子と一緒にピクニックに行った時、誤って川に落ちてしまい、実那子が誰かを助けにいこうと走ったのも及ばず溺死してしまったらしい。
 しかし、その時、現場に実那子の父・明仁を目撃した者がいたという。それは他ならぬ実那子自身だった。しかし、その証言は地元の名士だった明仁の力もあってか、もみ消されてしまっていた。
 当然、父親に助けを求めたであろう実那子。しかし無表情で見返すだけだった父・明仁のことを、将人を川に突き落とした犯人だと実那子が思ったとしても不思議ではない。殺したいと思うほど恨んだとしても・・・。
 東京に戻った直季から、このことを聞いた実那子はそう思った。
 しかし直季は、12歳の子供に大人三人を殺せるはずもないし、母と姉を殺す動機がないことを但し、さらに実那子の過去を究明し続けていくことを決心した。その夜、実那子は輝一郎(仲村トオル)の横に身を寄せ、直季が話してくれた過去の話と、わずかな記憶の断片から少女時代の自分を想像してみた。
 しかし、御倉に残っていた敬太から直季に入った連絡は、実那子と父親に関する衝撃的事実だった。

<第8回> 『告白』
 直季(木村拓哉)は福島・御倉から東京に戻ってくる。敬太(ユースケ・サンタマリア)は実那子が少女時代に森に埋めたというタイムカプセルについて聞くが、直季は、子供のガラクタだったとごまかす。実那子(中山美穂)に対しても、実の父の写真を見たことを言おうとはしなかった。  
 ある朝、輝一郎は実那子が居なくなったことに気付き、直季のアパートのドアを叩く。携帯電話の電源は切れていた。実那子は「殺人の前科があるかもしれない女だから、あなたを不幸にするかもしれない」と言っていたことを思い出す。
 実那子は故郷の御倉に戻ることによって、記憶の鍵を開こうとしている!
 二人は、咄嗟に実那子の行き先を確信し、後を追いかける。
 御倉にやって来た実那子は、まず廃墟と化した殺人現場の生家に立った。隣接する教会を見やり、なんとか記憶の糸を手繰り寄せようとする。
 その時、直季と輝一郎が実那子のもとにやってきた。
「何も思い出せない・・・」悲しい表情を浮かべる実那子に輝一郎は、「無理やり思いだすことはない」と優しく言う。
 落ち込む実那子を輝一郎は、励ますように自分が通っていた大学の学生寮に連れていった。実那子の姉と国府(陣内孝則)のことを話す輝一郎。実那子は国府と姉との恋のキューピットだった。もし自分が事件の日この町に居たら国府を止めることをできたはずだと、輝一郎は悔やしそうに語るのだった。
 実那子の家族が眠る墓地を訪れた三人は、墓前に置かれたバイオリンの楽譜を見つける。国府がここにやって来たことを知る三人。「もし自分が犯人だったら、その時は私が私を裁きます」と言う実那子。
 直季は実那子と輝一郎に「本当は実那子を奪いたかった−。さようなら、幸せになれよ」と告げる。そして、実那子が見えない過去と対峙し苦しんでいる姿を見て、自分がその引き金を引いてしまったことを詫び、国府の手から実那子を必ず守ると約束を残して二人のもとから去っていった。
 その夜、背後から何者かに襲われる直季。口元に笑みを浮かべて殴打するするその人物とは・・・。

<第9回>『マリアは見ていた』
 直季(木村拓哉)を襲い、人気のない雑木林に連れ込んだ国府(陣内孝則)は掘った穴に直季を埋めようとした。狂気の表情で「助けて欲しければ、これ以上俺を探すな」と迫る国府に、直季は死の恐怖から助けて欲しいと懇願する。
 だが、数日後には再び中華街で春絵(横山めぐみ)を見張る直季の姿があった。直季は敬太(ユースケ・サンタマリア)と合流し、15年前の殺人事件を担当したという福島県警の元刑事、小椋(佐川満男)と会うことになった。
 その刑事が克明に事件当夜のことを思い出し語り進むうちに、直季と敬太は国府犯人説に疑問を持ち始める。
 何故、実那子は一人だけ生き残ったのか?犯人は恐らく実那子も殺すつもりだった。しかし、突発的な事態が起こり逃げざる得なかった。そして、その突発的な事態というのが、国府が現れてしまったことなのではないかと。
 小椋は後日、面会で会った国府が別人のようになってしまっていたことを話し、「同じように、恐怖という牢獄につながれている人間がいる」といっていたことを思い出す。真犯人にたいする国府の復讐心は、その時芽生えていたのだ。
 直季達は、犯人の逃走経路である隣の教会を訪れる。 
 そこで、外国人神父のフランコから事件直後の不可解な出来事を聞きだすことができた。ある日匿名の信者から『マリア様に光をお与え下さい』のメッセージと共に二百万円がポストに投げ込まれたという。
 逃げる途中、マリア像に返り血を浴びた姿を見られた犯人は、懺悔の思いで金を届けたのだ!直季は直感した。拘留中の国府にそんなことができるはずもない!真犯人は別にいる。ここまできたとき、小椋があることを思い出した。担架で運ばれる実那子が、群がる野次馬をうつろな表情でみながら、「お父さん」とつぶやいたというのだ。
 殺人現場に実那子の実の父がいた。愕然とする直季。
 同じ頃、実那子は輝一郎と共に、輝一郎の父・正輝(岡田真澄)のモデルとして濱崎邸のアトリエに居た。十字架を抱く麻紀子(原田美枝子)の肖像画に囲まれたアトリエで、実那子は麻紀子が失踪宣言され死者となってしまったのが、ちょうどあの殺人事件が起きた15年前のクリスマスイブであったと聞く。
 数日後、直季はあの日タイムカプセルから掘り出したロケットが握りしめ、実那子の実の父親のもとを訪れる。15年前のクリスマスイブの日のことを聞くためだった。


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