あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「愛の歌」
 ある日勝男(江口洋介)は、お手製のスケジュールボードの前に立ち、健太(二宮和也)、康太(辰巳雄大)、良太(神木隆之介)らに11月22日という日がいかに大事な日かについて話し始めた。
 その日こそ大西勝男の生まれた記念すべき日であり、盛大なパーティをして祝う日なのだと。
 あきれはてうつろな表情で勝男を見あげる三人。中でも康太は、熱でもあるのかひときわうつろな表情。だが勝男は「気合いで治せ、かぜは病気じゃない!」といつもの調子でいうと、さっさといつもの居酒屋に向かっていくのだった。最近入ったばかりの可愛いバイトのゆかりちゃん(井川 遥)に会うために。
 だが、勝男が行くとすでに店には先客の雄一郎(いかりや長介)、手塚(トータス松本)、田中(酒井敏也)の姿・・・・・・。唖然ボー然の勝男。とそこに珠美(内田有紀)が「桃(上戸彩)が帰ってこない!」と駆け込んできた。
 あわてて家に戻った勝男たちが「夜遊びする子じゃない・・・まさか誘拐?」と桃のことを心配していた時、一本の電話が入った。それは長野で療養中の美沙子(岡田奈々)からで、桃がこちらに来ているというものだった。「何か相談ごとがあったらしい」そう珠美は言ったが、親代わりを自負する勝男にとっては、少々ショックな桃の行動だった。
 翌日、勝男は兄弟らと一緒に長野に向かった。桃は、芸能プロダクションにスカウトされ返事に困り悩んでいた。そして、実はこの時良太も、勝男には言えないいじめの悩みを母にはそっと打ち明けていたのだ。
 東京に帰って良太の悩みを知った勝男は、「先生に相談しよう」という珠美を制して、「向っていくことを教えなきゃ一生なめられる!」と言うと、良太にいじめっこにぶつかっていくといういつもの勝男流解決法を叩き込むのだった。
 そして良太は、ある日いじめっこに正面から体をぶつけていき、結果傷だらけで帰ってきた。それを見た桃は、以前、後をつけられ見張られたこともあって、勝男を責めたてた。
「ケンカさせたり、人のあとつけてきたり、なんで余計ことばかりするんですか!」。「そうだよ、自分の意見ばかり押しつけて!」康太も続いて言う。
 「これからはお母さんに相談します! 私たちに構わないで」。・・・すっかり落ち込む勝男。「うるさい奴がいなくなった」とホッとする桃に康太。
 だがそんな兄弟たちの様子をみていた健太が、たまらず立ち上がった。「なんかしたのか? お前ら良太のために何かしたのか!」。
 言葉も出ず、健太を見つめる二人で・・・。

<第8回> 「心の傷」
 その日桃(上戸彩)は、手塚(トータス松本)のアパートにやってきてオーディションを受けてみないかとプロダクションに誘われていることを相談していた。勝男(江口洋介)の反対は目に見えている。だけど受けてみたい・・・。桃は頭ごなしでなく、じっくりと話しを聞いてくれる手塚をまず頼ったというわけだ。「取り敢えずやってみたらエエ」。思った通り背中を押してくれた手塚にほほ笑む桃。そして、そのお返し!?に「珠美さん(内田有紀)にちゃんと告白した方がいいですよっ!」。手塚の本心を見透かして、アドバイスしてやる桃だった。
 その頃、村田工務店には、手塚を尋ねて一人の紳士(神山 繁)がやって来ていた。「刑事?」「まさか!」「てっちゃん、何やったの?」。
 勝男や珠美たちの勝手な憶測が飛び交う中、その紳士は、「私は医師で手塚真太朗の父です」と名乗ると、息子に会わせて欲しいと申し出た。
 その後、手塚は、雄一郎(いかりや長介)咲子(いしだあゆみ)立ち会いの元、父の林太郎と対面した。林太郎は、雄一郎らの前で息子の生い立ちなどについて話した後、経営する病院の後継者として戻ってくるよう切り出した。「形だけの医院長でいいから・・・」と。手塚は、何も答えず目を閉じて父の話しを聞いていた。
 翌日、作業場には沈んだ様子で材木に鉋をかける手塚の姿があった。
勝男からは「ほっとけ」と言われたが、健太(二宮和也)はいたたまれず、林太郎を現場に呼んでしまう。仕事ぶりをお父さんに見てもらって、大工として一流のところを見せてやればいいと思ったのだ。
 だが、林太郎は「医者になることに逃げ出した者が、職人になどなれなすばすがない!」と激怒。「明日の朝迎えにくる」と言い残し、その場を後にした。
 その頃、勝男の大反対にあいながらも受けたオーディションで、桃は順調に選考に残った。健太は桃から報告をうけ共によろこびあったが、夢を見つけ、それに向かっていってる妹のことをちょっぴりうらやましくも思った。コンビニで知り合った理絵(黒坂真美)も、大好きな踊りに夢をかけて見たいと言っていた。手塚と父親のこともあったせいか、健太は今置かれてる自分のことを、この時考えはじめていた。
 その夜。作業場には一人黙々と鉋をかける手塚の姿があった。物音に気付き目を覚ました良太(神木隆之介)が、そばにちょこんと座わる。「起こしてもうた?・・・ごめんごめん、削らなあかんの残ってたから」手塚はそういうと、必死で削り続けた。
 翌朝。勝男は作業場に立て掛けられた綺麗に削られ材木を発見すると雄一郎に言った「おやじさん、あいつ大阪に帰るかもしれない・・・」。

<第9回> 「求婚」
 その日桃(上戸彩)は、映画のオーディションを受け、見事に最終選考にすすむことになった。健太(二宮和也)は次の最終選考には勝男(江口洋介)と一緒に行くからといい、芸能界入りに大反対する勝男を説得することを桃に約束する。だが、全員が揃っての夕食の席で、桃のことを聞かされた勝男の表情は憮然として冴えない。
 咲子(いしだあゆみ)は雄一郎(いかりや長介)が、久し振りに本格的日本家屋の発注を受けたこともあり、御機嫌で桃のことも喜ぶのだが・・・。その時、珠美(内田有紀)は、話しに入ってこようとせず、全く元気のない康太(辰巳雄大)の様子が気に掛かっていた。
 実は、康太は、新任の早乙女(池内万作)先生に呼ばれ、クラスメートの教材費がなくなったが「君が盗んだのでは・・・?」と疑いをかけられていたのだ。珠美はそんな康太のことを勝男に話した。
 一緒に耳を傾けていた手塚(トータス松本)は、思春期のはじまりかもしれないし、火事で突然環境が変わったことに対するストレスはいつ爆発してもおかしくない、「口先だけでのうてしっかりと見守ったれ」と勝男に言い聞かせるのだった。「口先だけでなく・・・か・・・」その夜、手塚のことばをかみ締める勝男の視線の先には、思い出のメットがあった。
 翌日、勝男は先輩たちが今でも時々集まってボールを追いかけている河川敷に康太と良太(神木隆之介)と一緒に出かけた。そして「君達のお父さんは立派な選手だったんだぞ」と大山(堀 勉)という先輩に父のことを聞かされた2人は、その後勝男と一緒ボールを追いかけ出したのだ。勝男は笑顔の戻った康太を見つめていた。
 その後、勝男は健太から桃のやることに賛成してやって欲しいと持ち掛けられた。それは同じようにダンサーになりたくてニューヨーク行きを夢見る理絵(黒坂真美)との出会い、そして自分はまだ夢さえ持てずにいるというのに、ちゃんと夢を見つけてそれに向かっていこうとする妹を一緒に応援してやって欲しいのだという健太の本当に真剣な思いだった。
 しかし実はこの時、桃の思いがぐらつきはじめていたのだ。渡された台本の中にあった、『一糸まとわぬ裸体・・・』という書き込み。「親いないし、ハングリーだろ?」最初から承知で、しかも勝算ありでこともなげにつぶやくマネージャー高橋(矢島健一)だったが・・・。
 そしてまた、雄一郎にもショッキングな出来事が起こっていた。本格的日本家屋の依頼主・菊池(田中龍)が、雄一郎の描いていた設計を全面的に否定。「町大工の棟梁はトンカチだけもってりゃいいの」とまで言いはなったのだ。勝男は咄嗟に菊池に掴みかかろうと立ち上がった!


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