あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「人気スターの極秘結婚」
とあるコンサート会場。観客席を埋めつくした満員の女性客の視線の先には傷だらけの愛用のギターを抱え、ラブソングを歌う男がいる。
 桜庭裕一郎(長瀬智也)23歳。出す曲すべてがヒットチャートの上位にランクイン。女性誌の『抱かれたい男No.1』にランクされる、今最も人気と注目を集めるシンガーソングライターである。
 だが、桜庭本人はそんな周囲の熱狂や、追いかけるマスコミに対してもあくまでもクール。 「桜庭さんにとって曲づくりとはどのようなものですか?」
「ある意味自分を見つめ直す作業です」。
「抱かれたい男No1に選ばれた感想は?」
「光栄ですね」とサラリとコメント。孤独を貫き、音楽を愛するミュージシャンとしての姿勢を貫いて見せていたのだった。しかし実のところ、桜庭とはファンやマスコミが抱くイメージとは全く正反対の男だった。スーツよりも体になじんだダサいジャージを好み、気を許すと、フッと禁止されてる大阪弁が口をついてでる・・・。敏腕で通るマネージャー箱崎(段田安則)もそれはもう気が気でなく、その思いは所属事務所『オフィス・ガッツ』社長・小峰(つんく♂)としても同様だった。
 というのも・・・裕一郎に映画初主演の話しが決定したのだ。
 小峰がかねてから実現させたかったという映画主演。事務所としても全面協力で、桜庭裕一郎をバックアップしていく構えだという。そのため、桜庭裕一郎のイメージ戦略、スキャンダル防止は必至というわけなのだ。
 小峰の鼻息は荒い!だが・・・そんな状況の中、裕一郎は時計に目をやると、急用があるからと事務所を飛び出していってしまった。
 「ほんまわかってんのか、あいつ?」小峰は行き先もつげることなく出ていった裕一郎を少し不安そうに見送った。  数日後・・・新井家は、あるスターの訪れに騒然となっていた。
 あの桜庭裕一郎が、末っ子・さくら(竹内結子)の恋人として登場!なんと結婚を許して欲しいと父・真澄(宇津井健)に挨拶にやってきたのだ。
 “抱かれたい男No.1“を目の当たりに、興奮気味の長女・かえで(秋吉久美子)。男嫌いで通る次女・あずさ(鈴木杏樹)はいぶかしげ・・・。ラジオ局でディレクターをしている三女・さつき(篠原涼子)は、思わず仕事モードと、みなそれぞれぎこちない。だが、そんな緊張の状況の中裕一郎は、さくらへの真剣な思いを真澄に正面から打ち明け、結婚の許しを得ようとしていた。多忙に仕事の合間をぬって交際を重ねてきた日々と思いは決していい加減なものではないのだ!と。
 しかし、真澄は裕一郎が特殊な世界にいる人間であること、さくらにだけは“まとも”な結婚をして欲しいというと、「お引き取り下さい」・・・と言い放ったのだった。
 「プロポーズ!?」。裕一郎が新井家に出向いた件は、事後報告で小峰と箱崎に伝えられた。監督不行き届きを詫びる箱崎。だが小峰の反応は、「裕一郎はいい加減な気持ちで結婚を決める男やない・・・きっとそういう相手と巡り合えたんやろ」というと、結婚を許可してやるのだった。マスコミ対策、情報操作もまかせとき!といいながら。
 そしてもう一度、裕一郎はさくらの家に行くことを約束。
 夕食を囲んでの団欒の場に参加という手筈が、さくらによって整えられたのだった。

<第2回> 「涙の結婚式」
 すったもんだの揚げ句、ようやく新井家に婿入りすることで落ち着いた裕一郎(長瀬智也)は、その朝憧れていた大家族の食卓についていた。 しかしご飯とみそ汁の、いわば“これぞ大家族の朝食“を嬉しそうにほおばるその服装が、さくら(竹内結子)とのペアルックと来ては、かえで(秋吉久美子)、亮(相葉雅紀)そしてあずさ(鈴木杏樹)も、すっかり引き気味である。だが、そんなことはお構いなしに裕一郎は無条件にこの雰囲気が楽しくてたまらない様子。しかし、そんな食事の席で、新たな問題が裕一郎に突き付けられることになったのだ。
 それは、この家で暮らす以上は、この家のルールを守ってもらうというもので、たとえ大スターであっても従ってもらわなければならないのだと容赦ないものだった。「夕飯を食べるか否かの連絡」「最後にお風呂に入った人が、掃除をすること」・・・などなどが、かえでから説明される。
 さくらは、立場を考えてほしいと抗議はしたもの、裕一郎は新井家の一員となったからには!、とこれを了承するのだった。
 この一件を聞いたマネージヤーの箱崎(段田安則)は嘆いた。同居することさえ、いつ世間にバレルかと心配なのに・・・・・・、と。しかし、結局は、立派に婿養子と認められたいと願う裕一郎の思いに押し切られ、新井家への送り迎えをすることになるのだった。だが、その後箱崎はそれ以上に難しい要求を裕一郎につきつけられ、無理なやりくりをさせられることになってしまった・・・。そしてその要求というのが、『ハワイで結婚式!のための4日間の休暇捻出』で・・・・・・結婚する以上は、当然式もやりたい。しかし有名なので面が割れてるので日本では無理だろう。では海外、ハワイで!という展開になってしまったのだ。
 話しを聞いた当初は、思わず自分も行く気になっていた社長の小峰(つんく♂)も、家族水入らずで祝いたいという裕一郎の意向を汲み、快くOKしてくれた。あとは、多忙なスケジュールをさらに詰め込み、休む間も惜しんで仕事をこなすこと。もちろん、新井家での仕事もきちんとこなさなければならない。裕一郎の頑張り次第だった。
 最初は、まだ裕一郎=婿と認めてないこともあり、ハワイ行きにはあまり乗り気ではなかった新井家の人々も、次第に、裕一郎旅費全額負担!のハワイ旅行モードになってきてくれた。
 かえでは、もともとハワイでウクレレを弾くのが夢で、スーパーのシールを必死で集めていたくらいだし(集めたシールは、裕一郎が誤って、ごみとして放棄した!)、真澄だって「パスポートがない」なんて言いながら、可愛いさくらの結婚式に出席したい思いで一杯!、努(神木隆之介)は、母・あずさの手前、「ハワイでイルカに会いたい」とは言い出せないでいたくらいなのだから・・・。
 裕一郎は、いかなる理由であれ、家族の皆が一緒にハワイに行ってくれることになったことを喜んだ。そして、すべてはその日のための過密スケジュールも無事こなし、いよいよハワイへ出発の日を迎えたのだ。
 だが!すべての用意は万端でむかえたはずのその日、思わぬハプニングが裕一郎を見舞い・・・・・・。

<第3回> 「激白会見!」
 ある日の夕方ー。変装した裕一郎(長瀬智也)とさくら(竹内結子)は、スーパーにショッピングに出かけた帰り道、公園で努(神木隆之介)を見掛けた。周りには自転車に乗った友達が数人がいたが・・・
「お前まだ自転車に乗れないのかよ、新井!」
「こいつお父さんいないから教えてもらえないんじゃないの?」
どうやら自転車に乗れないことを理由にいじめられているらしい。思わず駆け寄って努を助けようとするさくらだが、それをとめた裕一郎は、何かを感じ、ある思いに考えを巡らせているようだった。
 新井家に戻った裕一郎は、さっそく亮(相葉雅紀)をつかまえると、努が自転車に乗れないことを確認。さらに自転車そのものを持っていないことを聞き出すのだった。
 そしてとある日の『オフィスガッツ』。マネージャー箱崎(段田安則)は、裕一郎が自転車のパンフレットを読みあさっているのを見て、またよろこばしくないことを考えていると察知。案の定、裕一郎が努のためにと自転車を買ってあげ、その上自分が責任持って教えてあげるつもりだと聞かされ、愕然とした。“同居しているこの状態でさえハラハラなのに“と。
 そんな箱崎の気持ちを知ってか知らずか・・・裕一郎は今度の日曜のお昼、近所のお寺で一緒に練習しようという約束を努と交わしたのだった。
 だが、数日後。日曜日を指折り数えてまっていた裕一郎に、思いがけない情報がもたらされたのだ。当日発売の写真週刊誌に踊った『桜庭裕一郎に恋人発覚』の見出し。そしてその写真とは、さくらと一緒に奇妙な変装でスーパーに買い物に出かけた、あの日のものだったのだ!
 かえで(秋吉久美子)は、同僚で後輩のまゆみ(矢作美樹)と、職場である通販会社でその週刊誌を手にしていた。
 ラジオ局サブのさつき(篠原涼子)は、早速このゴシップをトークのネタにしようとするプロデューサーの提案を、焦って拒否していた。
 真澄(宇津井健)は、「近所でそれらしい男みかけたって」という生徒の噂話しを耳にしていた。そして亮は、剣道部の幸子(末永遥)が「あのスーパーたぶんうちの近所だから、張り込んでたら会えるかも」と部活もそっちのけで帰っていくのを、あきれて見送っていた。
 こうしてまたたくまに広まったスキャンダルは、新井家の人々を巻き込み、『オフィスガッツ』を慌てさせることになってしまった。
 記者会見はさけられない状況。だが、社長の小峰(つんく♂)には、この会見にむけてのある秘策があるらしかった。
 そして日曜日。桜庭裕一郎の会見が行われることになった。
 新井家でもさくららがテレビの前で息をのみ、裕一郎の登場を待った。
 また同じ頃、近所のお寺の境内には、みんなと同じように裕一郎を待つ努の姿があった・・・。


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