過去が届く午後

真紗美から次々といろいろなものが送り返されてくることに困り果てた有子は… :松田聖子

 賞を受賞し、大勢の人に祝福されているデザイナーの浅井有子。会場には、7年前に結婚退職してデザインの仕事から遠ざかり専業主婦になった吉田真紗美もいる。その姿は、以前とは随分印象が変わっており、知人たちに取り囲まれている有子の背をジッと見つめている。
 数日後、有子のもとに真紗美から昔貸したままになっていた画集が送り返されてくる。有子は、その画集を見て7年前のことを思い出す。真紗美と一緒に働いていた頃、仕事の上で評価されていたのは真紗美の方で、有子は垢抜けず真紗美の足元にも及ばなかった。真紗美はそんな自分の才能を特別なものだと思うことなくあっさり捨てて家庭に入り、有子はその後の努力で現在の地位を得たのだった。
 その日以来、有子のもとに、真紗美から昔借りたままだったというスカーフ、ストッキングなどが送り返されてくる。送り返してくる必要はないと丁寧に手紙を書いても真紗美からの宅急便は、小銭、生理用品、ヘアピン、サンドイッチとエスカレートするばかり。ついに有子は、真紗美に直談判に行く。借りたものは全部返すという真紗美では話にならず困っているところに真紗美の夫で、自分もその昔密かな恋心を抱いていた秀之が帰宅する。親しげに二人が話す様子を見ている真紗美に気付き、帰宅するという有子を駅まで車で送る秀之。車を見送る真紗美がいて……。

松田聖子
秋本奈緒美
布施 博

■原作
 唯川 恵『過去が届く午後』
■脚本
 旺季志ずか
■演出
 佐藤祐市

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