剣客商売(2003年)
第5話 東海道見附宿
秋山大治郎(山口馬木也)が急に旅に出た。それを知った佐々木三冬(寺島しのぶ)はあわてて秋山小兵衛(藤田まこと)を訪ねた。大治郎は小兵衛に頼まれて、浜松に近い東海道見附宿に向かっていた。
小兵衛の友人に浜松で道場を開く浅田忠蔵(金田明夫)がいた。忠蔵からおかしな手紙が届く。乱れた字で、「助勢頼む。見附宿の旅籠『なべ屋』の女中おさきに話を聞いてほしい」と書いてある。小兵衛も見附宿に行くという。三冬は、「私もお供します」と言った。おはる(小林綾子)も加わる三人旅となった。
忠蔵の道場は人の和が良く、侍も町人も分けへだてなく、春風が漂うような雰囲気だ。それが小兵衛には印象的で、見捨てられない気持ちになっていた。
大治郎が見附宿に着き、おさき(加藤貴子)と会う。忠蔵の実家は「玉屋」という、宿場で大きな力を持つ酒問屋。その土蔵に忠蔵は監禁されているという。怪我をしたうえに熱病にかかっている。忠蔵は「玉屋」の跡取りだったが剣術を志して若い頃に家を出て、次男の弥次郎が「玉屋」を継いだ。その弥次郎も十年前に死に、今は忠蔵の叔父になる伊兵衛(五味龍太郎)が主人。その伊兵衛が忠蔵を監禁していると、おさきは言う。
小兵衛一行も見附宿に到着し、別の宿をとった。三冬が大治郎を探し、忠蔵の弟子で浜松藩士の松永金之助(尾美としのり)に会うようにとの、小兵衛の伝言を伝える。
金之助に会うと、一月前に「玉屋」から使いが来て、忠蔵は実家で急死したという。門人が駆けつけると、既に葬儀も終わり、遺骨は寺に預けたとのことだった。忠蔵が生きていると聞いて、金之助は驚いた。
主だった門人たちが浅田道場に集まり、忠蔵を助けるためには実力行使をするという意思を表明。尊敬する小兵衛の息子である大治郎に指示を仰ぐ。大治郎は道場に泊まりこむことにする。しかし、「玉屋」には浪人やならず者が用心棒として雇われていた。
源八(火野正平)という門人が、大切なことを思い出した。忠蔵が実家へ行ったまま帰らなくなる日の数日前、「玉屋」の者だと名乗る老人が来た。老人は忠蔵の前に手をついて、泣きながら何事かを詫びていた。大治郎は、この老人はおさきの父親だと直感した。三冬からこのことを聞いた小兵衛は、おさきに問いただす。おさきの表情が変わり、やがて語った。十年前の弥次郎の死は、伊兵衛が浪人二人を使い、病気で寝ている弥次郎を押さえつけ、顔に濡れた紙を張り付けて窒息死させた。伊兵衛は早く「玉屋」の財産が欲しかったのだ。おさきの父親の太作(佐藤輝)はそれを目撃したが、伊兵衛が恐ろしくて、誰にも言えなかった。ところが何ケ月か前から、毎晩のように太作の夢に弥次郎が出て、「本当のことを兄に伝えてくれ」と言うようになった。
それで忠蔵を訪ねて真相を話し、忠蔵が実家に乗り込んだものの、浪人たちに急に襲われて大怪我をし、その後熱病にかかったのだった。
浅田道場では、大治郎と三冬が門弟たちを鍛えている。剣術の腕はさほどでもないが、師を思う心と結束の強さに、大治郎と三冬も感動を覚えた。
「玉屋」の図面が手に入り、決行の日が来た。用心棒と戦う組。土蔵の忠蔵を救出する組。役割分担もうまく、大治郎、三冬、そして小兵衛も腕を振るって忠蔵は救出され、医師の手当てを受けた。伊兵衛は捕らえられ、裁きを受けることになった。一件落着。「玉屋」は信頼出来る者に譲り、忠蔵は再び道場に戻る。
小兵衛とおはるは温泉に寄り道をする。真っ直ぐ江戸に帰る大治郎と三冬。門弟たちは二人のことを「夫婦」と呼ぶ。照れながらもうれしい二人である。
小兵衛の友人に浜松で道場を開く浅田忠蔵(金田明夫)がいた。忠蔵からおかしな手紙が届く。乱れた字で、「助勢頼む。見附宿の旅籠『なべ屋』の女中おさきに話を聞いてほしい」と書いてある。小兵衛も見附宿に行くという。三冬は、「私もお供します」と言った。おはる(小林綾子)も加わる三人旅となった。
忠蔵の道場は人の和が良く、侍も町人も分けへだてなく、春風が漂うような雰囲気だ。それが小兵衛には印象的で、見捨てられない気持ちになっていた。
大治郎が見附宿に着き、おさき(加藤貴子)と会う。忠蔵の実家は「玉屋」という、宿場で大きな力を持つ酒問屋。その土蔵に忠蔵は監禁されているという。怪我をしたうえに熱病にかかっている。忠蔵は「玉屋」の跡取りだったが剣術を志して若い頃に家を出て、次男の弥次郎が「玉屋」を継いだ。その弥次郎も十年前に死に、今は忠蔵の叔父になる伊兵衛(五味龍太郎)が主人。その伊兵衛が忠蔵を監禁していると、おさきは言う。
小兵衛一行も見附宿に到着し、別の宿をとった。三冬が大治郎を探し、忠蔵の弟子で浜松藩士の松永金之助(尾美としのり)に会うようにとの、小兵衛の伝言を伝える。
金之助に会うと、一月前に「玉屋」から使いが来て、忠蔵は実家で急死したという。門人が駆けつけると、既に葬儀も終わり、遺骨は寺に預けたとのことだった。忠蔵が生きていると聞いて、金之助は驚いた。
主だった門人たちが浅田道場に集まり、忠蔵を助けるためには実力行使をするという意思を表明。尊敬する小兵衛の息子である大治郎に指示を仰ぐ。大治郎は道場に泊まりこむことにする。しかし、「玉屋」には浪人やならず者が用心棒として雇われていた。
源八(火野正平)という門人が、大切なことを思い出した。忠蔵が実家へ行ったまま帰らなくなる日の数日前、「玉屋」の者だと名乗る老人が来た。老人は忠蔵の前に手をついて、泣きながら何事かを詫びていた。大治郎は、この老人はおさきの父親だと直感した。三冬からこのことを聞いた小兵衛は、おさきに問いただす。おさきの表情が変わり、やがて語った。十年前の弥次郎の死は、伊兵衛が浪人二人を使い、病気で寝ている弥次郎を押さえつけ、顔に濡れた紙を張り付けて窒息死させた。伊兵衛は早く「玉屋」の財産が欲しかったのだ。おさきの父親の太作(佐藤輝)はそれを目撃したが、伊兵衛が恐ろしくて、誰にも言えなかった。ところが何ケ月か前から、毎晩のように太作の夢に弥次郎が出て、「本当のことを兄に伝えてくれ」と言うようになった。
それで忠蔵を訪ねて真相を話し、忠蔵が実家に乗り込んだものの、浪人たちに急に襲われて大怪我をし、その後熱病にかかったのだった。
浅田道場では、大治郎と三冬が門弟たちを鍛えている。剣術の腕はさほどでもないが、師を思う心と結束の強さに、大治郎と三冬も感動を覚えた。
「玉屋」の図面が手に入り、決行の日が来た。用心棒と戦う組。土蔵の忠蔵を救出する組。役割分担もうまく、大治郎、三冬、そして小兵衛も腕を振るって忠蔵は救出され、医師の手当てを受けた。伊兵衛は捕らえられ、裁きを受けることになった。一件落着。「玉屋」は信頼出来る者に譲り、忠蔵は再び道場に戻る。
小兵衛とおはるは温泉に寄り道をする。真っ直ぐ江戸に帰る大治郎と三冬。門弟たちは二人のことを「夫婦」と呼ぶ。照れながらもうれしい二人である。