あらすじ
<第10回> <第11回>

<第10回> 「最後の夜に・・・」
 「私が傍にいるよ。ハチのそばに、ずっといるから・・・」。
 谷町瑞穂(松たか子)の心からの声は、森永健太(坂口憲二)には届かなかった。健太は、瑞穂の腕を解いて藤原央子(長谷川京子)を追って出て行ってしまう。瑞穂は、そんな健太を再び励ましてしまう・・・が、彼がいなくなると切ない涙が頬を伝った。そこに、入江知華(平山あや)と孝平(瑛太)が帰って来てしまう。瑞穂のただならぬ様子に、心配する2人。瑞穂は笑顔を戻すことが出来ず、マンションを後にする。
 街を彷徨う瑞穂は、深夜営業のカフェに入った。と、そこに央子がいるではないか。央子は健太を思い、不破のもとに行けず、途中で引き返したと言う。健太が怒っていると不安がる央子にも、瑞穂は分かってくれると応援の言葉を投げてしまう。瑞穂は、健太の携帯に電話。健太もちょうど不破圭二朗(西村雅彦)の別荘に着き、央子が来なかったことを知ったところだった。瑞穂は結局、自分の思いを消して、健太と央子を繋ぎ止める役を演じてしまう。
 翌日、不破の別荘に一泊した健太がマンションに戻ると央子がいた。寝ずに健太を待っていた央子は「ごめんなさい」と呟く。そんな央子を健太の優しい笑みが包む。瑞穂は、健太と顔を合わせるのを避けるかのように、村越亮介(黒沢年雄)の店に出かけていた。村越の執筆を見守る瑞穂。瑞穂の健太への思いを知る村越は、昼食時にその後の進捗を訪ねて来た。同居の限界が来ていると打ち明ける瑞穂に、村越は自分の店に空き部屋があるから越して来ないか? と、問いかける。
 『楓書房』に瑞穂が戻ると、奥田直之(葛山信吾)と星野久志(塚地武雅)、永井亘(秋山竜次)がパーティーの準備をして待っていた。村越に付き添い、大坪の出版記念パーティーに出席できなかった瑞穂への配慮だ。パーティーは、深夜まで続く。瑞穂は、朝まで飲むと言い張る。直之が送っていくと促した時、瑞穂の携帯が鳴った。健太からだ。昨日、瑞穂が泣いていたことを孝平から告げられた健太が心配してかけてきたのだ。その優しさに、無理して平静を装い今夜は帰らないと答え、瑞穂は携帯を切った。直之は、瑞穂に付き合うことに。バッティングセンターで、仕事や恋の鬱憤を晴らして、明け方に会社に戻る2人。瑞穂は、直之に編集者としてやっていく不安を打ち明ける。思ったように行動すればいいと安心させた直之は、ふと真顔になった。そして、交際対象として真面目に自分を考えて欲しいと瑞穂に告白する。
 夜が明けて、村越の下に出向いた瑞穂は、木下優子(佐藤仁美)に携帯で健太とのことを相談。マンションに帰っていないことを聞いた優子は、逃げていても問題は解決しないと、一度戻るように促す。その頃、直之には問題が持ち上がっていた。『帝国出版』の吉岡(東根作寿英)から吸収合併の条件を提示されたのだ。それは、山崎翔を『帝国出版』に渡し、直之が社長を辞任すれば『楓書房』の人員は削減せずに合併するというもの。国枝正章(田山涼成)は、社員の生活を考え、取り引きに応じるべきと告げるが、直之は反対。直之は、瑞穂が作ったチャンスに賭けてみたいと思っていた。一方、健太は央子と会っていた。不破の一件以来、2人の間は、どこかギクシャクしている。
 その夜、瑞穂はマンションに戻った。健太が帰ってくると、知華や孝平を前に、瑞穂は日曜日に引っ越すと宣言して・・・。

<第11回> 「ファースト・キス」
 村越亮介(黒沢年雄)=山崎翔の新作『春に夢』が完成した。出来上がった原稿を最初に読ませてもらった谷町瑞穂(松たか子)は文章の素晴らしさに感動。早速『楓書房』に持ち込み、奥田直之(葛山信吾)に読ませると、素晴らしいと絶賛される。そこに、高部部長(近江谷太朗)が入ってきた。どこかで『帝国出版』が『楓書房』に突きつけた吸収合併の条件を聞いたらしく、高部は他の社員も動員して直之の退陣を迫る。直之をかばう星野久志(塚地武雅)は、永井亘(秋山竜次)と書店から集めた『楓書房』存続の嘆願書を見せるが高部たちは納得しない。彼らを遮ったのは、国枝正章(田山涼成)。合併の条件をただの噂と一蹴し、生き残りのためには山崎翔の新作にかけるしかないと断言した。
 瑞穂は、森永健太(坂口憲二)を好きな気持ちを消そうと仕事に没頭。なんとか、以前の仲の良い幼なじみに戻りたいと思っていた。木下優子(佐藤仁美)や、入江知華(平山あや)、孝平(瑛太)たちは、そんな瑞穂を心配している。健太も、瑞穂がマンションを出て行ってから、ペースが乱れていた。藤原央子(長谷川京子)とデートしている時も、仕事中も、どこか上の空になってしまう。
 一向に、連絡をよこさない瑞穂に我慢しきれず、健太は『村越書店』を訪ねた。瑞穂の部屋で近況を語り合う2人。瑞穂が、勇気を出して央子のことを聞くと、うまくいっていると健太。今度は、健太が直之との関係を瑞穂に質問。健太は、勢いで直之と瑞穂はお似合いだと口走る。「つきあっちゃおうかな?」と、軽く答えつつも瑞穂の胸は痛む。瑞穂の限界はここまでだった。瑞穂は、健太に友達ではいられない「好きだから」と思いを打ち明け、だからもう会わないと切ない想いをぶちまけてしまう。
 数日後『春に夢』が出版された。瑞穂の祖母、きみ(草村礼子)にも届けられ、健太は書店で手にする。その健太は、意を決して不破圭二朗(西村雅彦)の別荘へ。深夜枠の新番組の企画を持ち込み、一緒にやって欲しいと頼む健太。すると不破は、自分だけの力でやってみろと健太を諭す。そして、自分は一からやり直すつもりだと・・・。部屋の中には『春に夢』が置いてあった。
 『春に夢』は、予想以上の反響を呼び、売上げは絶好調。山崎のみならず、彼を返り咲かせた瑞穂も編集者として注目を浴び、祝賀パーティーまで開催されることになった。知華と孝平もパーティーに行きたいと健太をつつくが、乗ってこない。健太はその日、央子と北海道に旅行する約束をしていたのだ。
 そして週末。健太は約束通り、央子と北海道の故郷に来ていた。自分が育った場所を説明して歩く健太だが、思い出の中に浮かんでくる顔は・・・。様子が変わっていく健太に、戸惑いながらも明るく振る舞う央子だったが・・・。
 一方、山崎の祝賀パーティーの準備も着々と進行していた。社員や、集まったマスコミにテキパキと指示を出す瑞穂。スピーチを嫌がる村越を説得し、なんとか壇上に上がることだけを約束させ、パーティーが始まって・・・。


戻る

バックナンバー
[第1-3回] [第4-6回] [第7-9回] [第10-11回]