FNSドキュメンタリー大賞
大分県竹田市で父親と共に農業にかける四姉妹に密着!
大自然の中で人間らしく生きる親と子の絆を描いた感動のドキュメンタリー!!

第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『梨の花の咲く頃 〜大分・竹田高原の農場4姉妹〜』 (制作 テレビ大分)

<7月28日(水)深夜26時20分放送>

 農業を始めとする第一次産業の衰退が危惧されているが、その一方で実は新たに農業を始めようという人たちは少しずつではあるが、増えているという。農水省が提唱している就農準備校や各自治体が行っている新規就農者の受け入れの他、一般農家が法人化し、農業を担う若い社員を採用しようという動きが静かに盛り上がっているからだ。
 今回の作品の舞台となっている大分県も、就農希望者を積極的に受け入れている自治体の一つだ。筆者は以前、就農希望者を対象に大分県内で行われた説明会を取材したことがあるが、東京や大阪など大都市圏からサラリーマンが大勢押し掛けていたのが印象に強く残っている。自然の恵みを享受しながら家族が一緒になって働き、そして生活するというのは、現代社会に生きる我々が失いかけている何かを思い出させてくれるひとつのきっかけになるのかも知れない。

 7月28日(水)深夜26:20〜27:15放送の第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『梨の花の咲く頃 〜大分・竹田高原の農場4姉妹〜』(制作 テレビ大分)は大分県竹田市で父親と共に農業を営む四人の姉妹に密着、大自然の中で人間らしく生きる姿を描く。
 大分県と熊本県の県境に位置する竹田市菅生(すごう)地区卯野(うの)英治さんの営む誠楽園『卯野農場』はキャベツ・白菜・スイート・コーンを中心とした野菜や柿や桃などの果物を延べ70ヘクタールという広大な土地で栽培している。農業をこよなく愛したという亡き父・英明さんがこの地を拓き、誠楽園(せいらくえん)と名付けたのだという。
 そして英治さんと共に卯野一家を支えているのが長女さなえさん、次女さおりさん、三女さゆりさん、四女さやかさんと女の子ばかりの四人姉妹だ。卯野家には男の子が生まれず、跡継ぎ問題は深刻だ。
 長女さなえさんは子供の頃から跡継ぎと言われて育てられたが、やがて結婚。次に父の英治さんが自分の夢を託したのが三女のさゆりさんだった。普通高校を受験することになっていたが、勝手に農業高校へ願書を提出されてしまい、嫌々農業への途を歩むことになったさゆりさんだったが、農業高校そして農業大学校へと進むにつれ、いつの間にか農業を営むことが大好きになっていく。そして“姉妹が協力して観光農園を作りたい!”という夢を持つようになった。「農業は苦しいことも多いが、その分、収穫の満足感や喜びなどを都会の人たちにわかってもらいたい。土の温もりを感じてもらったり、自然の良さを教えられる観光農園が出来れば…」とさゆりさんは決意を語る。
 さゆりさんを中心に、結婚して毎日農園に通ってくる長女さなえさんと、仕事を辞めて家に戻ってきた次女さおりさん、それに農業大学校を卒業したばかりの四女さやかさんが加わり、農業に明け暮れる生活を送りながら観光もイベント体験も出来る観光農園を目指して着実に夢を育んできた。
 平成10年の夏から観光農園のイベントの一つとして始めたトウモロコシ刈りはバーベキューなども盛り込んで大盛況。父、英治さん「男の子なら良かったのにと頭の片隅になかった訳ではないが、将来のことを考えると今後は人々に喜んでもらえるような農業(=観光農園)をやっていかなければならないし…そう考えると、娘で良かったのかも…」と四姉妹が協力しながら、進めている観光農園作りに向けて強い期待を持つようになっていった。

 観光農園に向けて少しずつではあるが、順調に進み始めた卯野家だったが、この年の夏も終わろうという頃に大きな波紋が広がることになる。それは卯野農場の中心的な存在だったさゆりさんが突然結婚すると言い出したのだ。実は両親にも内緒にしていたのだが、さゆりさんには農業大学校時代から付き合っていた恋人がいたのだ。卯野農園からは車で2時間ほどのところに住む梨農園の長男で、大学校卒業後はお互いに仕事が忙しく、1〜2ヶ月に一度しか会えない日々が続いていた。そんな二人の出した結論が結婚だった。
 農園の後継者に、と期待を寄せていたさゆりさんの結婚話は英治さんにとって一番恐れていた出来事だった。「結婚はいつかはすると思っていたが、実際にこうなると…」英治さんはショックで言葉も出ない。
 「観光農園は自分が姉や妹を引き込んで始めたもの。その私が急に結婚して出ていくなんて無責任だとお母さんに言われて…」と落ち込むさゆりさん。「自分がいなくなったらこの家はどうなるんだろうと心配になるが、でも結婚するのはこの人と決めたから…」
 波紋が広がった晩夏から2ヶ月…。11月にいよいよ二人の結納の日を迎えた。席上、卯野家側から新郎側に伝えたことが三つあった。それは、さゆりさんにまったく花嫁修業をさせていないということ、二つ目は姉妹が目指している観光農園に協力して欲しいということ、そして三つ目は農閑期にはぜひ手伝いにきてもらいたいということだった。そして年が明けた平成11年3月。二人の結婚式がさゆりさんの嫁ぎ先の大分県日田市で行われることに…。

 番組では卯野農場で生まれ育った三女さゆりさんを中心に父親の農場への想いと父娘愛、観光農園という夢を抱きながら農業に真剣に取り組む姉妹の姿、そして男の子のいない大農家の深刻な後継者問題などを大自然の営みと共に描いていく。
 番組を取材したテレビ大分の辻 広平プロデューサー兼ディレクター「家族崩壊が叫ばれる中、今日本で忘れ去られようとしている日本の家族の原型の一つが卯野農場の中にあるとのではと感じました。親と姉妹たちとの強い絆がどうやって生まれているのか、番組を見た人たちそれぞれが受け止め、自らを顧みてもらえればと思います」話している。
 第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『梨の花の咲く頃 〜大分・竹田高原の農場4姉妹〜』(制作 テレビ大分)<7月28日(水)深夜26:20〜27:15放送>にご期待下さい!


<番組タイトル> 第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『梨の花の咲く頃 〜大分・竹田高原の農場4姉妹〜』
<放送日時> 1999年7月21日(水)深夜26:20〜27:15
<スタッフ> プロデューサー : 辻 広平
ディレクター : 辻 広平、衛藤伸子
構   成 : 徳丸 望
撮影・編集 : 赤坂昌治
音   声 : 渡辺政広
<制 作> テレビ大分

1999年7月21日発行「パブペパNo.99-238」 フジテレビ広報部