FNSドキュメンタリー大賞
長崎県の離島で自然と触れあいながら自給自足的な生活を送る家族がいる
軽度の知的障害を持つ長女を中心に3世代、10人の大家族が共に助け合いながら精一杯生きる姿を通して
“人の幸せとは何か”を問いかける感動のドキュメンタリー

第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『茜さす海 〜五島列島・10人家族の日々〜』 (制作 テレビ長崎)

<6月22日(火)深夜26時20分放送>

 “本当の豊かさとは、また人の幸せとは一体何なのだろうか…?”
人の生き方や考え、また価値観は様々でいちがいに答えは出すことはできないと思うが、この番組は人間にとって永遠の課題とも言えるこの答えに一つの方向性を示していると言うことができるかも知れない。
 6月22日(火)深夜26:20放送の第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『茜さす海 〜五島列島・10人家族の日々〜』(制作 テレビ長崎)は長崎県の離島で自給自足の生活を送る3世代10人家族の日々に密着、今の時代に忘れ去られてしまった自然と触れあいを大事にしながら力を合わせて精一杯生きる彼らの姿を追う。

 長崎市から西へ100キロ。五島列島北部の新魚目町(しんうおのめちょう)に住む漁業、古田正人さん(49歳)一家は小学生から21歳までの6人の子供と72歳のおじいちゃん夫婦の3世代10人の大家族で生活している。一家は漁業の他、農業も営み、山羊やニワトリを放し飼いにしている。また海水を煮詰めて自然塩を作り、さらには製塩の副産物の苦汁(にがり)を使った豆腐作りも行っている。自然の恵みを大切にしながら自給自足的な生活を送っているのだ。夕陽に染まる茜色の空を見て名前をつけたという長女の茜さん(21歳)は軽度の知的障害者。塩作りの手伝いやニワトリの世話をして家族と一緒に暮らしている
 一家の大黒柱、正人さんは以前は大工の仕事をしていたが、茜さんが小学校に入学し、軽い知的障害があることが判明したのを機に、自分のペースで仕事が出来るようにと13年前に漁師の道を選んだという。

 一家の朝は早い。正人さんは朝5時に起床し、製塩のかまに火を入れて塩作りを開始する。その後、カマの火加減をおじいちゃんの宇吉さん(72歳)に任せて一人で漁に出かける。一本釣りと呼ばれる方法で魚を1匹ずつ釣っていく。漁が終わると今度は製塩のための海水取り。ホースをのばして水深5メートル近くの海水をポンプで引き上げる。取った海水は島に戻ってから煮詰め、丸1日半かけて約10キロほどの塩を作っている。この天然塩は長女茜さんの名前をとって“茜”と名付けられ、100グラム200円で生協や個人客に販売している。また塩を作る過程で出来る苦汁(にがり)を利用しての豆腐作りは次女の玲子さん(19歳)の仕事。出来上がった豆腐は母親のイトエさん(45歳)と手分けして一軒一軒配達して回る。
 そして家畜の世話が茜さんの仕事だ。朝はニワトリの餌作りから始まり、産み落とされた卵を丁寧に洗った後、産んだ日付をマジックで記入。客から注文に応じてパック詰めをしていくのだ。茜さんは夕方まで山羊やニワトリの世話に明け暮れる。そして夕食の後は家族全員で天然塩“茜”の最後の仕上げだ。塩に混ざっている小さなゴミを取り除き、袋詰めから封印までを流れ作業で行うのだ。封印された袋にシールを貼り付けるのが茜さんの仕事だ。

 3世代で、しかも自給自足に近い古田さん一家の暮らしぶりは日本が高度経済成長に突き進む前、どこの家にもあったような光景かも知れない。海を始め、自然の恩恵を受けて生きる一家だが、風光明媚な五島列島にも異変が起きている。海底の海藻が枯れる磯焼けという海の砂漠化現象が4〜5年前から徐々に進行しているというのだ。海藻を餌にしているサザエやアワビなどの他、ここを産卵場所にしている魚たちにも大きな影響が出ているという。高度成長のツケが今、様々な形で現れ始めているのだ。
 正人さんは将来、障害者が自然の中で花や動物を触れあいながら仕事が出来る場所をこの島に作りたいと考えている。施設の名前はもう決まっている。“自由学園”だ。
「茜に教わったことがある。豊かさと便利さが人間の幸せなのだろうか…」と語る正人さん。茜さんの存在が、貧乏でも家族で力を合わせて生活している今の生活が一番の幸せだと気づかせてくれたのかも知れない。

 番組を取材したテレビ長崎の大浦ディレクター「以前、ローカル番組で塩作りを始めた人がいるということで取材をしたのが、古田さんとの出会いです。日本でも高度経済成長の前は古田さん一家と同じような生活をしていた人たちも多かったと思いますが、いつしか便利さと引き替えに自然と触れあいながら生活するという暮らしぶりを忘れてしまったのではないだろうか、そしてそれが現在の環境破壊や心の崩壊へと繋がっているのではないかということを古田さんと話をしながら感じるようになりました。本当の豊かさとは一体何なのか、家族の絆とは一体何なのかという根本的な問題をもう一度考えてもらえればなあと思い、この番組の取材を始めました」と話している。

 環境破壊や人々の心の崩壊が進む現代社会の中で、自然と触れあいながら、そして自然を糧に精一杯生きる3世代10人の大家族の日々を通して、豊かさとは、また家族とは何かを問いかける第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『茜さす海 〜五島列島・10人家族の日々〜』(制作 テレビ長崎)<6月22日(火)深夜26:20〜27:15放送>にご期待下さい!!


<番組タイトル> 第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『茜さす海 〜五島列島・10人家族の日々〜』
<放送日時> 1999年6月16日(水)深夜26:20〜27:15
<スタッフ> プロデューサー  : 山浦政弘
ディレクター : 大浦 勝
撮 影 : 黒木 誠
編 集 : 古川英明
<制 作> テレビ長崎

1999年6月10日発行「パブペパNo.99-187」 フジテレビ広報部