FNSドキュメンタリー大賞
北海道の鶏卵業者が立ち上げた航空会社エア・ドゥ!
そこには運輸省の“規制の壁”だけでなく、もうひとつの大きな壁が立ちはだかっていた…

第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『高度1万メートルの挑戦 〜エア・ドゥ就航の真実〜』 (制作 北海道文化放送)

<5月5日(水)深夜26時20分放送>
「夢を実現した男たちのストーリーは、リストラ世代のお父さんたちにとって元気の出るビタミン剤の役割を果たすはず」(鈴木雅彦プロデューサー)

 “FNS各局がそれぞれの視点で切り取った28通りの日本の断面” “FNSの良心”というキャッチフレーズがすっかり定着した『FNSドキュメンタリー大賞』。回を重ねて今回で8回目となるが、今年もFNS各局が取材した(取材中)様々なドキュメンタリー作品がノミネートされており、フジテレビでは5月から10月までの6ヶ月間にこれらの作品すべてを放送する予定だ。そしてその第一弾がいよいよ5月5日(水)(26:20〜27:15)に放送されることが決まった。

 今回の作品は北海道文化放送が制作した『高度1万メートルの挑戦〜エア・ドゥ就航の真実〜』
 北海道の中小企業家が作った新規航空会社エア・ドゥが就航に向けて歩んだ苦難の道のりを丹念に追った作品だ。官による“規制の壁”だけでなく、時間との闘いがあったという意外な事実、そして一時は倒産の危機もあったというエア・ドゥ就航の真実を、これまでマスコミに取り上げられていた表の顔“中村 晃”氏と、徹底的に黒子に徹してきた裏の顔“中渓正樹(なかたに・まさき)”氏の2人を軸に独自映像を交えながらお伝えする。
 去年12月20日、独立系航空会社としては国内4番目になるエア・ドゥが東京―札幌間に就航。これを機に大手各社は先を競って航空運賃の大幅な割引合戦に突入した。エア・ドゥは官による“規制の壁”に風穴を開けた企業として北海道民の期待は膨らむ。だが、この日を迎えるまでには多くの苦難の道があった・・・・。

 今からちょうど1年前、1人の男が悪戦苦闘を続けていた。エア・ドゥ副社長、浜田輝男だ。この時すでに、エア・ドゥを設立してから1年が経とうとしていた。浜田は大不況の真っ直中にあった北海道で、無謀にも1番機就航に必要な35億円もの資金を調達しようとしていたのである。当時、彼は1日10軒以上の企業を訪ね回っていた。だが、反応は今ひとつだった。
 実は浜田は、道内7カ所に大規模農場を所有する養鶏業者でもある。本来なら悠々自適の晩年を考えてもおかしくなかったが、2年前に突如、航空会社を作るとブチあげた。理由は航空業界のぬるま湯的な体質がどうしても許せなかったからだ。戦後半世紀、日本の空は運輸省の徹底した統制のもと、大手3社が独占してきた・・・。利用者がサービスや賃金を選べない、競争原理とは全く無縁の寡占市場に、物価の優等生といわれる卵の厳しい価格競争を生き抜いてきた浜田は「どうしても納得できなかった」という。

 会社設立から半年、浜田は、日本航空出身で元ヴァージン・アトランティック航空日本支社長だった中村晃を社長に招いた。その中村が航空業界の経験者を続々とマンハンティングし、運輸省への申請書類作成を開始した。航空会社の立ち上げは、膨大な書類の山との格闘だ。航空機の製造メーカーのマニュアルだけでも全部で1万ページに及ぶ。当然、どれだけ理解しているか、何度も運輸省の厳しいチェックが入る。航空会社の許認可権を握る運輸省の要求はエア・ドゥの予想をはるかに超えるものだった。
 さらに北海道のメインバンク、拓銀も破たんし、北海道は不況の真っ直中・・・。会社の資金集めもこの厳しい逆風で一歩も先に進まない。そんな中、浜田らは苦境を一気に挽回させる作戦を思いつく。それは何と1口5万円の株券を発行し、これを一般市民に買ってもらうというもの。この作戦に対しては浜田の期待以上の反応があり、見事に功を奏した。

 だがエア・ドゥにはまだまだ超えなければならない難問が立ちはだかっていた。実は運輸省が求める安全管理システムの構築が予想以上に難航していたのだ。浜田は、壁にぶちあたった免許申請作業を一気に進めるため、またもやある人物迎え入れる。その人物とは日本航空で航空機の運航面に精通する業界の生き字引的存在でもある中渓正樹だ。その中渓の前に立ちはだかったのは“時間との闘い”だ。当初計画していた98年4月の就航予定が、8月に、そしてさらに延期になる。就航延期により、飛行機のリース料、パイロットや乗務員らの人件費で、資金が毎月2億5000万円ずつ減り続けていたのだ。このままだと、年内には底をつく計算に。それは倒産を意味する。
 運輸省との攻防の最前線、エア・ドゥ東京支社は猛烈な追い込みに入っていた。土日の休みもなく、連日徹夜が続いていた。とにかく間に合わせなければ、エア・ドゥ自体がなくなってしまうのだ。

 一方、最大の難関である安全管理トータルシステムの鍵を握る男、中渓は独り自室で格闘していた。そして、ついにある1つの秘策を思いつく。その秘策とは・・・・・。

 北海道文化放送の鈴木雅彦プロデューサー「拓銀の破綻に象徴されるように北海道は不況の真っ直中にあるため、何か元気の出るネタがないかと思い、エア・ドゥの取材を始めました。日々放送されていたエア・ドゥのニュースの中では比較的明るい話題が多かったんですが、実際には倒産の危機もあったわけです。番組の中ではおよそ600日間にわたってエア・ドゥに密着しましたが、航空運賃の価格設定のを決めた取締役会の決定的瞬間など他では見られない独自映像も撮影できました。当事者たちの息づかいや苦悩の表情を見てもらえればと思います。特に中年のリストラ世代のお父さんたちに対しては元気の出るビタミン剤の役割を果たせたらなあなどと思っています」と語っている。

 回り道をしながらも、“規制の壁”をぶち破り、ぎりぎりの低空飛行からようやく高度1万メートルの空に羽ばたいたエア・ドゥ。その知られざる就航までの闘いを描いた『高度1万メートルの挑戦 〜エア・ドゥ就航の真実〜』(第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品)<5月5日(水)26:20〜27:15>。
 どうぞご期待下さい!!


<番組タイトル> 第8回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『高度1万メートルの挑戦 〜エア・ドゥ就航の真実〜』
<放送日時> 1999年5月5日(水)26:20〜27:15
<スタッフ> プロデューサー  : 鈴木雅彦
ディレクター : 京谷和央
ナレーション : 東野英心
<制 作> 北海道文化放送

1999年4月28日発行「パブペパNo.99-147」 フジテレビ広報部