FNSドキュメンタリー大賞
1985年に福井空港の拡張計画を発表してから、17年後の2001年に県は計画凍結を表明。
福井空港の拡張計画をめぐる17年の歳月は県や地元住民に何を残したのか?
地方における公共事業のあり方を考える渾身のドキュメンタリー

第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『通りすぎた17年〜空港拡張の悲哀〜』 (制作 福井テレビ)

<2003年1月14日(火)深夜27時28分〜28時22分放送>
 1985年に福井空港の拡張計画が発表されると、地元住民は一斉にこれに反発し、全員が参加して反対運動が展開された。県はあらゆる方法で同意の取り付けを図る。年間数百万円を投じて行われた饗応・接待。計画に同意することを条件とした農機具の購入補助など・・・。
 9つある地元集落は次第に賛成に転じ、功を奏したかに見えた。しかし、こうした切り崩し作戦は、小さな村の住民の関係をずたずたに切り裂き、悲劇を生んだ。拡張計画が遅々として進まない中、地方空港を取り巻く環境も大きく変わっていった。しかし、県は「空港を造れば地域は必ず豊かになる」という神話を信じ、実現のためにわき目も振らず走り続けてきた。しかし、この神話は本当なのか?拡張整備した暁には、年間40万人が利用し、経済効果は900億円に上るという試算。だが、県は厳しい現実に直面することになる。
 国の公共事業の見直しが始まり、地方における公共事業を取り巻く環境は厳しくなる。だが、それでも県はあの手この手を使って何かと計画の実現を図る。しかし、結果は見えていた。
 計画から17年たった今、そこには勝者もいなければ、敗者もいなかった。2003年1月14日(火)27時28分〜28時22分放送の第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『通りすぎた17年〜空港拡張の悲哀〜』(福井テレビ制作)では福井空港の拡張計画が県や地元住民に一体何を残したのかを検証し、決して置き去りにしてはいけない事実に焦点をあてる。

(番組の内容)
 2001年9月、福井県の栗田知事は、福井空港の拡張整備計画の凍結を表明した。計画浮上から実に17年目のことだった。第一の理由は、地元地権者の同意が得られなかったこと。県はこれまで計画実現のためさまざまな手を使って、同意の取得を進めてきた。しかし、県の強引な手法によって集落内には、反対派と賛成派の間に埋めがたい溝ができた。一方、計画をゴリ押しした県側にも、それなりの理由と時代背景があった。
 空港の拡張整備計画は一体、県民に何を残したのか。計画の大きな転機に、地元テレビ局として地元集落で起きていたことを描くとともに、計画を推し進めようとした行政の思惑やその背景などを検証することで、地方における公共事業(=軌道修正の効かないビッグプロジェクト)のあり方を考える。

(福井テレビの林大文ディレクターのコメント)
 番組制作の動機の一つは、県政の最重要課題の一つだった空港問題が県民に何を残したかを描くことでした。そしてもう一つが、地方における公共事業の実態を検証することでした。これは一地方における一公共事業の話ですが、全国で公共事業のあり方に注目が集まる中、ハコモノ行政の真の姿が見えてくるんじゃないかと思ったんです。
 小泉政権誕生後、「ハコモノ」=「ワルモノ」という概念が定着しつつありますが、私自身は必ずしもそうじゃないと思っています。でも、その進め方が問題です。福井空港の拡張問題では、17年の間に行政は『えっ、こんなことまで?』と思ってしまうようなことをしてきました。番組が、あらためて公共事業のあり方について考えるきっかけになれば幸いです。



<番組タイトル> 第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『通りすぎた17年〜空港拡張の悲哀〜』
<放送日時> 2003年1月14日(火)27時28分〜28時22分
<スタッフ> プロデューサー : 木下義信(福井テレビ)
ディレクター : 林 大文(福井テレビ)
ナレーション : 中江真司
<制作・著作> 福井テレビ

2002年12月18日発行「パブペパNo.02-351」 フジテレビ広報部