FNSドキュメンタリー大賞
有明海を襲った未曾有の大凶作を漁民たちはどのように見たり、感じているのだろうか・・・?
翻弄される漁民たちの1年間の生活を通して、“人間と自然”についてもう一度見つめ直す渾身のドキュメンタリー!!

第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『俺(お)ったちの海〜何が宝の海を追いつめたか〜』 (制作 テレビ熊本)

<2003年1月14日(火)深夜26:33〜27:28放送>
 「“宝の海”は死んでしまうのか!」
 一昨年起きたノリの色落ち問題をきっかけに、有明海の異変がクローズアップされている。
 有明海は熊本、福岡、佐賀、長崎の4県に囲まれた内海。日本一の干潟が発達し、ムツゴロウやハクセンシオマネキなど珍しい魚介類が多く住み、宝の海として親しまれてきた。この宝の海に衝撃が走ったのは一昨年、平成12年の冬だった。有明海の一大ブランド・ノリの色落ちが大発生し、未曾有の大凶作となったのだ。  しかし異変はノリだけではなかった。有明海名物のアサリやタイラギといった貝も激減。高級すしネタなどに使われるタイラギは数年続けて水揚げがゼロになっているのだ。

 2003年1月14日(火)深夜26:33〜27:28放送の第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『俺ったちの海 〜何が宝の海を追いつめたか〜』(制作 テレビ熊本)は、次々と襲いかかる異変をそこで暮らす漁民たちはどのように見たり、感じているのだろうか、翻弄される漁民たちの1年間の生活を追った渾身のドキュメンタリーだ。

 熊本・荒尾市のノリ漁師・藤本昭一さんとタイラギ漁師・西川幸一さんは40代前半、あぶらの乗り切った働き盛りだ。一昨年のノリの色落ち被害の後、藤本さんは何とか生計を立てるため阿蘇の農園に季節労働に出かけた。3代目のノリ漁師で、半年間のノリの収入だけで親子5人の生活をまかなってきた藤本さんにとっては、まったく勝手の違う農作業の季節労働・・・。
 「藤本さんが抱える先の見えない不安から番組の取材が始まりました」テレビ熊本の西村佳良子ディレクターは取材のきっかけについて話す。
 ノリ養殖は9月から始まる。普段何気なく、食卓の名脇役として食べているノリだが養殖作業は本当に手がかかる。力のいる男の仕事だが、この仕事に妻もだまってついて行き男と同じ量の仕事をこなす。
 大きな不安を抱えたまま突入した今シーズンだが、やっぱり色落ちがおきてしまった。昨シーズンより1ヶ月も早い色落ち・・・。ノリ漁民を再び恐怖に陥れた。

 一方、熊本県荒尾市で2年前から水揚げがゼロになっているタイラギ・・・。漁師の西川さんは独自の調査であちこちタイラギを探すが、海底には死がいばかり。もう海の仕事はできないのかと怒りをぶつけ、とうとう陸(おか)での仕事についてしまい、西川さんの表情もすっかり変わってしまった。

 番組は、この2人の1年間の海での生活、思いを通して何が宝の海、有明海を死に追いつめたかについて考える。

 西村ディレクターは、「漁民たちは多くの生物を育み“有明海のゆりかご”ともいわれる諫早湾の干拓事業に矛先を向けますが、果たしてそれだけなんでしょうか・・・。取材を進めるうちに私たち沿岸に暮らす者たちの生活のあり方も問題だと考えるようになりました。人間の利便性だけを追求してきた自然のしっぺ返しと言う専門家もいます。海は魚介類をとるためだけの場所だけでなく、私たち人間が生きていく上でもっと大切な自然環境だと言います。刻々と死の海になっていく有明海を、2人の漁民の生活を通して、“人間と自然”についてもう一度見つめ直すきっかけになればと考えています」と番組の狙いについて話している。


<番組タイトル> 第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『俺(お)ったちの海〜何が宝の海を追いつめたか〜』
<放送日時> 2003年1月14日(火)深夜26:33〜27:28放送
<スタッフ> プロデューサー : 杉山幸宏(テレビ熊本報道制作局)
構    成 : 香月 隆
ナレーション : 尾谷いずみ(テレビ熊本報道制作局)
撮    影 : 倉岡英二(テレビ熊本報道制作局)
編    集 : 可児浩二、倉岡英二(テレビ熊本報道制作局)
取材・ディレクター : 西村佳良子(テレビ熊本報道制作局)
<制作・著作> テレビ熊本

2002年12月9日発行「パブペパNo.02-330」 フジテレビ広報部