FNSドキュメンタリー大賞
今年3月に閉校した宮崎県の過疎の村にある小学校の地域一体の活動から、真の「学校」のあるべき姿を問いかける。
渾身のドキュメンタリー!

第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『ありがとう、小原小学校 〜ちいさな小学校から大きなメッセージ〜』 (制作 テレビ宮崎)

<8月13日(火)深夜27:13〜28:08放送>
 「学校」とは?
 「先生」とは?
 そして「地域」とは・・・


 少子化・いじめ・学級崩壊・週休2日制・・・。今、学校の存在意義が問われている。
 都市化・核家族化の進行は、旧来の家族制度を崩壊させ、受験戦争が「学校」の存在意義を大きく変えた。本来の「学校」とは何だったのか・・・?

 8月13日(火)深夜27:13〜28:08放送の第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『ありがとう、小原小学校 〜ちいさな小学校から大きなメッセージ〜』(制作 テレビ宮崎)は、2002年3月に閉校した宮崎県のある過疎の村にある小学校の地域一体の活動から、真の「学校」の姿を問いかける。

 番組を取材した、テレビ宮崎の馬原弘樹ディレクターは、
「私が担当しているローカル番組に3年前の秋、手紙が届きました。それは宮崎県日之影町立小原小学校の児童からの手紙でした。『今度秋の大運動会が行われることになりました。全校児童12人の小さな学校ですが、とても楽しい運動会です。ぜひ番組で遊びに来て下さい・・・』という内容でした。早速我々スタッフは宮崎市内から車で約2時間半ほどのとことにある小原小学校へと向かいました。運動会は昔から地区の運動会と合同で、地区のほぼ全員、100人以上が集まる一大行事でした。まさに小さい子どもからお年寄りまで、みんなが主役の運動会。なぜか懐かしさを覚える光景に私だけでなく、視聴者の皆さんからも『共感した』とのご意見を放送後にいただきました。そして、2年後・・・その学校が“閉校”するという話を聞きました。“最後の運動会を取材したい”という思いが募り、私は再度小原へと向かったんです。運動会の取材を通じ、この学校が閉校してしまう現実に正直“もったいない”という思いでいっぱいになりました。教育不信・いじめ・学級崩壊・・・など、学校をめぐる話題といえばそんな暗い話ばかり。一方で小原小学校のような学校が次々になくなっていく・・・。そこで小原小学校の最後を見つめてみたい・・・と思ったからです」
と番組の取材を始めたきっかけについて話す。

 2001年10月 山あいの小さな学校で行われた、昔ながらの運動会。全校児童数9人の宮崎県日之影町立小原小学校の大運動会だ。
 昔から地区の住民と合同で行われる運動会は、地区のほとんどの人が参加する一大行事だ。そして、彼らのほとんどが、小原小学校の卒業生でもあるのだ。皆、学校に対する愛着があった。
 しかし、124年の歴史を刻んだこの学校も、2002年3月、閉校することになった。運動会の最後を締めくくる大くす玉割り・・・子どもたちみんなの、学校に対するメッセージが託されていた・・・。
 小原小学校がある小川平(こがわびら)地区は76戸人口224人の農林業を中心とした過疎の村だ。この地区に学校が開設されたのは明治11年。1960年には160人を超える子どもたちがいたが、現在は全校児童数は9人だ。
 そんな小原小学校だが、実はここに通う児童たちが自慢できることが3つあった。

 1つ目は、ほかの小学校に負けない蔵書数を誇るブックランド。毎年児童全員で10万ページを読破することが学校の目標だ。
 2つ目は全校児童・全教職員が集まるランチルームだ。いくら先生にしかられても、ここではみんなが友達だ。
 そして、3つ目は、これが一番の自慢でもある「一輪車」・・・。先輩から後輩に受け継がれ、今では運動会で発表できるほどになったという。だが、慣れるまでがとても大変なのだ。

 そして2月の学習発表会の季節がやってきた。最後の発表会を盛り上げようと先生や保護者たちも劇を披露し、子どもたちに楽しい思い出をつくるろうとするのだが・・・。
 あらゆる行事が学校中心に動くという「昔ながら」の学校でもある小原小学校。閉校が決まったが、子どもたちのために「いつまでもこの学校の良さを忘れないでほしい」と“思い出づくり”に励む先生、そして親たち・・・。いつの間にかみんなの中に強い絆が芽生えていた。
 そして閉校式の夜、先生とのお別れを前に、子どもたちの親全員があることをしようと準備を進めていた。それは先生・子どもたち・学校への「感謝の気持ち」を表すあることだった・・・。

 取材班が実際に取材を開始したのは、今年2月のことだ。1年前の同じ時期には閉校に賛成・反対の議論が村を二つに分けたこともあったが、閉校を2ヶ月後に控えたみんなの思いは、「どのようにして子どもたちに『よい学校』の思い出を残してあげるか・・・」というものに変っていったという。そして先生と保護者が中心となって、閉校までのシナリオづくりが行われたのだ。
 「とにかく小原小学校は先生と保護者の仲がいいと思ったのはこの時でした」と馬原ディレクターは振り返る。
 取材中にPTA会長・祓屋臣雄さんが語った「親が学校に行きやすい環境が、よい学校・・・」という言葉が印象的だ。普段親は学校に子どもを任せっきりで、PTAの会合にも忙しくて行かない、唯一学校に出かけるのは問題が起きた時・・・などなど。実際、親にとって学校とは“行きにくい”、いや“行きたくない・関わりたくない”場所になってしまったのではないだろうか? 番組では親が学校を避けているのではないかという仮説を立て、小原小学校の先生・子どもたち・保護者の三角関係をうまく引き出すことを念頭に置いて取材した。

 取材を終えた馬原ディレクターは、
「小原小学校の素晴らしさを追求するため我々は2ヶ月間、どっぷりと小原に浸かりました。校長先生・教頭先生は地域の皆さんからの信頼も厚く、必ず地区の飲み会にも出席するほど地区にどっぷり浸かっていました。保護者はPTA会長の祓屋さんたちを中心に企画を立て、地区の皆さんを巻き込んでいくパワーはどこにも負けないものを感じました。よく都会の方は“田舎だからまとまりがある・・・”と自分たちの環境との違いを強調しますが、そんな意識がなくならない限り、学校・先生との距離は埋まらないと感じました。地区の皆さんには取材中何度も宿泊させて頂いたり、飲み会に参加させて頂いたりと、我々も村の一員として取材を越えた絆が生まれたような気がします。その温かさが番組に表現されているととてもうれしいのですが・・・」
と番組の見どころについて話している。

 8月13日(火)深夜27:13〜28:08放送の第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『ありがとう、小原小学校 〜ちいさな小学校から大きなメッセージ〜』(制作 テレビ宮崎)にご期待下さい!!


<番組タイトル> 第11回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『ありがとう、小原小学校 〜ちいさな小学校から大きなメッセージ〜』
<放送日時> 8月11日(日)深夜25:55〜26:50
<スタッフ> プロデューサー : 菅原正之
ディレクター : 馬原弘樹
撮 影・編 集 : 西田博文
ナレーション : そのまんま東
<制  作> テレビ宮崎

2002年7月31日発行「パブペパNo.02-196」 フジテレビ広報部