FNSドキュメンタリー大賞
何が彼らをホームレスにさせたのか?
居場所をなくした日本の高度成長を支えた“経済戦士”たち彼らの生の声を通して見えてくるものは・・・?


第10回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『テント村報告・大阪2001年春』 (制作 関西テレビ)

<7月4日(水)深夜27:10〜28:05>
 現在、全国にはおよそ2万人のホームレス(路上生活者)がいて、その9割は大阪市、東京都、横浜市、名古屋市、川崎市に集中しているといわれる。長引く不況のためその数は増える傾向にあり、さらに失業や貧困の問題に加えて高齢化、疾病などが重なり、路上生活の長期化、固定化をもたらしている。
 全国で最もホームレスが多い大阪市では今、市内のありとあらゆる公園で合わせて1万人もの人たちが、シートでテントを張り日々を生きている。7月4日(水)放送の第10回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『テント村報告・大阪2001年春』では、大阪市内のテント生活者の人々を北から南までディレクターが縦断して取材、彼らの生の声を聞いた上で、「何が彼らをホームレスにさせたのか」を探る。

 ここ数年の大阪市でのテント生活者の増え方は尋常ではない。かつてオイルショック時代に西成区の愛隣地区を中心に“労働者が大量に仕事にあぶれ、アオカン(野宿)を余儀なくされている”という類のものではないのだ。長引く「平成不況」が原因というが、本当にそれだけなのだろうか? 彼らが家を放棄した事情は経済的な理由のみで説明がつくものだろうか?取材に当たった関西テレビの土井聡ディレクターは、「実際に取材して驚いたのは、経済的な要因がベースにあるものの“家族・親族・他人とのつながり”の破綻からこの生活に入った人が多いということです」と語る。
「多くは50代の団塊の世代や60代の日本の高度成長を支えてきた“経済戦士”たちでした。彼らは不況の中リストラに遭い、金を家族に持ち運ぶことができなくなった瞬間』に家に居場所がなくなっています。そして不況とはいえ『時代』は清潔と合理化を求め、彼らは公園の片隅にひっそりと居場所を求めるしかないのです」(土井ディレクター)

 番組では、淀川河川敷から中之島公園、毛馬桜之宮公園、扇町公園、阿部野再開発地区、大和川堤防、大阪城公園へとがテント生活者の人々生の声を集め、彼らの生活から現代の病巣を切るルポルタージュとなっている。
 「情報番組系にありがちな一人の人間に密着する定点観測の手法は、今回はとりませんでした。この番組はある特殊な人の人情話ではないからです。ルポルタージュの原点に戻り、できるだけ多くの人々の生の声を聞くことで、現代共通の何かが見えてくればと思います。大阪城公園で出会った男性の言葉が心に残ります。『ここは市民の避難場所やろ!オレたちは皆よりいち早く避難しているだけや・・・』」と土井聡ディレクターは締めくくる。


<番組タイトル> 第10回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『テント村報告・大阪2001年春』
<放送日時> 7月4日(水)深夜27:10〜28:05
<スタッフ> ナレーション : 奥田瑛二
音    楽 : 木村充揮

撮    影 : 樋口耕平
編    集 : 中山純一
録    画 : 堀田秀治
音    声 : 坂田常夫
効    果 : 大原平吉
タ イ ト ル : 田中里実

ディレクター : 土井聡夫
プロデューサー : 宮前周司
<制 作> 関西テレビ

2001年6月22日発行「パブペパNo.01-212」 フジテレビ広報部