FNSドキュメンタリー大賞
学校に行きたい!……
変革の時期を迎えている障害児教育
医療問題と対峙しながらも前向きに生きる重度障害児の姿を通して、家族愛、教育のありかたを考える渾身のドキュメンタリー!!

第9回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『命のきらめき・学校へつづく道 〜医療的ケアのはざまで〜』 (制作 沖縄テレビ)

<9月29日(金)深夜26:50〜27:45放送>

 養護学校で今大きな問題が持ち上がっているのをご存知だろうか?
 実は教師たちに医療行為が認められていないために、痰の吸引などの介護が必要な子供たちの中には、本人や家族の意志とは別に自由に通学することを制限されているケースがあるのだという。学校に行きたくても認められなかったり、ある一定の条件を付けられたりといった差別があるというのだ。そこに立ちはだかっているのは医療の壁だ。
 養護学校にとっては、1人でも多くの人に知ってもらいたい、我々の知らない現実なのだ。
 医療技術の急速な進歩によって、これまで医師の手で行なわれてきた“医療行為”に代わる介護を家族が行えるようになり、これまで病院での生活を余儀なくされてきた重度・障害児が自宅に帰ることができるようになった。それを“医療的ケア”といい、その“医療的ケア”の対応を学校側に求めることは出来ないのだろうか…。
 9月29日(金)深夜26:50〜27:45放送の第9回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『命のきらめき・学校へつづく道 〜医療的ケアのはざまで〜』(制作 沖縄テレビ)は、こうした医療の壁に直面しながらも、前向きにいきる親子を軸に、養護学校の教師や関係者などの取材を通して、今変革期を迎えている重度障害児の教育問題について考える。

 城間 碧ちゃんは、沖縄県立鏡が丘養護学校の小学部5年生。5歳の頃に川で溺れた後遺症で脳性マヒになり、寝たきりの生活を送っている。実は彼女、養護学校に籍はあるものの、3年生の頃までは学校の方針で毎日通学せず、週に2〜3回、2時間程度の訪問教育しか受けられず、学習の機会を著しく制限されていたというのだ。理由は親が医師の指導のもとで行っている「痰の吸引」や「経管栄養」などの“医療的ケア”を教師が行えないからだという。
 東京都や横浜市では、教師による“医療的ケア”を行っている養護学校があるが、沖縄県では昨年になって初めて教師による実践研究の発表会が開かれるなど、やっと“医療的ケア”問題の一歩を踏み出したにすぎない。碧ちゃんの両親は「子供は子供同士の触れ合いの中で成長する」という考えから、行政や学校に掛け合い、“医療的ケアをお母さんの米子さんが行う”という条件で毎日学校へ通うことが出来るようになった。そして碧ちゃんの表情にも変化が見られるようになったという。
 碧ちゃんが養護学校に通学することについて、米子さんは「この子たちの笑顔が自分たちの力になる。毎日外気に触れることで、体力もつくし、良いことづくめ」と話す。米子さんは、4年前に沖縄訪問教育親の会を結成して、同じ障害の子供を持つ親たちの相談にも積極的に関わってきた。
 番組の水島カメラマンは、会結成当時の活動を取材したカメラマンでもある。「いつも碧ちゃんを連れて行動する米子さんのバイタリティーに敬服しました」と当時を振り返る。そして「ぜひ多くの人たちに養護学校の現状を知ってもらうためにもこの番組をやりたかった」と番組への思いを話す。

 一方、この養護学校の1年生の宮平真梨子ちゃんは、エネルギー代謝の病気で、常に健康な人が疲れている時のような状態で過ごしている。碧ちゃんと同じ鏡が丘養護学校の訪問教育を受けているが、気管切開をしていて吸引が頻繁に必要なこと、経管栄養のチューブをしているという点が学校生活に支障があるとして、通学の希望が叶わないのだという。お母さんの典子さんは「養護学校なら障害児を配慮してくれると思っていました。“医療的ケア”がこんなに大きな問題だったことに気づき、残念でなりません」と現行の制度に無念を隠せない。
 それでも真梨子ちゃんは、養護学校の文化祭に参加し、渾身の力をふりしぼって、ばちを叩いた。舞台での真梨子ちゃんのがんばりを見ながら典子さんは「一日、一日、充実した日を送らせたい。それが真梨子の生きる支えにもなると思う」と話す。 また、養護学校の先生にとっても、“医療的ケア”は避けては通れない問題だ。実際“医療的ケア”の必要な児童・生徒も増えてきているという現実がある。文部省は、厚生省と協議を重ね、看護婦などの資格のない教職員が行う“医療的ケア”の範囲を限定して、沖縄県を含む10県に研究モデル校を委嘱。国もやっと動き出し、新しいガイドラインの検討を始めることになったのだが…。

 9月29日(金)深夜26:50〜27:45放送の第9回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『命のきらめき・学校へつづく道 〜医療的ケアのはざまで〜』(制作 沖縄テレビ)にご期待下さい!!


<番組タイトル> 第9回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『命のきらめき・学校へつづく道 〜医療的ケアのはざまで〜』
<放送日時> 9月29日(金)深夜26:50〜27:45
<スタッフ> プロデューサー : 山川文樹
ディレクター : 水島邦夫、阿佐慶涼子
ナレーション : 阿佐慶涼子
撮 影 ・ 編 集 : 水島邦夫
<制作・著作> 沖縄テレビ

2000年9月21日発行「パブペパNo.00-302」 フジテレビ広報部