FNSドキュメンタリー大賞
30万人以上ともいわれる不法滞在外国人…
平成不況の真っ直中で漂う彼らの喘ぎを通して、我々が暮らすニッポンの姿とこうした人たちにどう対処すべきを問いかける渾身のドキュメンタリー!!

第9回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『ニッポンで暮らしたい 〜不法滞在家族たちの絆〜』 (制作 フジテレビ)

<6月21日(水)深夜26:25放送>

 不法滞在と聞いて漠然と犯罪者をイメージする人も多いのではないだろうか?
 現在、日本には、30万人以上の不法滞在外国人がいるといわれているが、彼らのほとんどは、単にビザが切れても日本にオーバーステイしているだけで、合法的に滞在している普通の外国人と同じように生活している。
 保険に加入できないなど様々な制約の中で、しっかりと日本の経済構造の一部に組み込まれながら生計を立てているいるのだ。もちろん、法律を破って違法に日本に滞在していることは事実であり、厳正に対処されなければならないことには違いない。
 だが、「今回取材した不法滞在外国人たちは、皆それぞれにオーバーステイになった背景がありました。そして取材を進めていく中で日本の閉鎖的と言われる入管行政のあり方も見え隠れしていることに気づきました」と番組を取材した魏 治康ディレクターは語る。
 少子化、高齢化が急速に進み、年間1000万人の移民を受け入れなければ現在の生産水準を維持できないという極端な国連の予測も出される中、人、モノ、カネが国境を超えて活発に行き来する国際化時代に、日本は押し寄せる外国人たちにどう対応していけばいいのだろうか? 法務省は3月末、「第二次出入国管理基本計画」をまとめて、外国人労働者受け入れ拡大の方針を打ち出した。だが、その一方で、不法滞在者に対しては、この2月に入管法を改正して取り締まりを強化しているのだ。
「30万人以上とも言われる不法滞在者の中には、すでに日本に定着している人も多くいます。こうした人たちを置き去りにして、新たに外国人労働者を受け入れようとしているわけですが、法的な枠組みを作りさえすれば、すでに日本社会に定着している人たちの適応は、より早いのではないだろうかと思うのですが…」と魏ディレクターは、日本の入管行政に問題提起する。
 6月21日(水)深夜26:25〜27:20放送の第9回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『不法滞在家族たちのニッポン(仮)』(制作 フジテレビ)は、不法滞在になった様々な人たちを通じて我々が暮らすニッポンの姿を改めて考えると共に、こうした人たちに我々がどう接していったらいいのかを問いかける渾身のドキュメンタリーだ。

 ヤメラ・ダニーロさん(40)は、日本がバブル景気に沸いていた80年代に妻と二人の子供をフィリピンに残して単身来日。以来10年間3K職場で汗まみれになりながら、家族に仕送りを続けてきた。フィリピンでは、大学を卒業後エンジニアになったが、家族と両親を養いきれず、日本行きを決心したのだという。
 ダニーロさんは、3日間のトランジットビザで入国してあっという間に不法滞在となったが、それでも外国人労働者は引っ張りだこだった。当時の日本では誰も見向きもしなかった3K職場をダニーロさんのような外国人労働者が埋めていたのだ。だが、バブル崩壊後、底なしの平成不況が日本を襲ったのに加え、今年2月の入管法改正が、不法外国人の帰国ラッシュ現象を生むことになった。そしてダニーロさんもこれを機に10年ぶりに帰国を決意することに…。

 一方、短大2年の許暁君さん(20)、高3の暁莉さん(18)は、両親に連れられて88年春に中国福建省から来日。当時小学校3年生と1年生だったが、翌年弟が日本で誕生し、埼玉県川口市で一家5人で普通の外国人と同じように生活していた。
 そんな許さん一家に悲劇が訪れたのは、89年春のこと。父の許ハン桂さんが自身の就学ビザを更新しようとしたところ、突如入管に拒否され、一家は不法滞在になってしまったのだ。しかし、子供たちの通学に支障はなく、仕事も続けられたことから、一家はオーバーステイの現状をあまり実感することなく、日本での生活の基盤を築いていった。この平穏な生活を破ったのは一通の手紙だった。97年春に市役所が健康保険の更新に在留資格を確認したいと知らせてきたのだ。長女はここで初めて自分たちが不法滞在していることを知ったという。家族で今後どうしていくか話し合った結果、その秋に入管に自ら出頭して在留特別許可の手続きをとることにしたのだが…。

 また、ペルー出身で日系3世のジョバナ竹元さんは、毎日横浜入管に通っている。というのも、婚約者の屋比久フリオさんとその兄ファンさんが偽装日系人の疑惑をかけられ、入管に収容されているからだ。日系人には就労に制限のない特別ビザが与えられるため、日系人になりすましているのではないかと疑われているのだという。
 発端は93年に出した祖父母の偽造婚姻証明書だ。訳があって仕方なく出したものだったが、これが入管に睨まれるきっかけになってしまった…。ジョバナさんは現在妊娠7ヶ月の身重の身体。身を案じた婚約者・フリオさんの父・屋比久太郎さんがはるばるペルーから来日したのは、息子たちが収容されてから20日後のことだ。それから毎日二人で入管通いをする日々が始まった。太郎さんは日系人であることを自ら証明するために来日したにも関わらず、持参した証拠書類は受け付けてもらえなかった。さらには持病の糖尿病が悪化してしまい、寝込んでしまうことに…。
 そんな矢先、日頃から屋比久さん兄弟の相談に乗っていた日系ラテン人協会から連絡が入る。太郎さんの父で沖縄出身の牛助さん(大正末期にペルーに移民し、太郎さんが5歳の時に逝去)の親戚らしき人が見つかったというのだ。期待と不安を胸に初めて父のルーツ、沖縄に旅立つ太郎さん。その人は本当に太郎さんの親戚なのか?太郎さんは果たして日系人である手がかりはつかめるのだろうか…?

 魏ディレクターは「彼らを通して日本人が普段気づかないニッポンの姿、またそこから普遍的な家族のあり方が透けて見えてくればと考えています。国際化が叫ばれて久しくなりますが、これまで日本人はこうした人々とどう関わってきたのか、また今後どう向き合っていけばいいのか、21世紀を目前に控えた今、改めて考え直したいと思っています」と番組の狙いについて話している。
 6月21日(水)深夜26:25〜27:20放送の第9回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『ニッポンで暮らしたい 〜不法滞在家族たちの絆〜』を宜しくお願いします!!


<番組タイトル> 第9回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品 『ニッポンで暮らしたい 〜不法滞在家族たちの絆〜』
<放送日時> 6月21日(水)深夜26:25〜27:20
<スタッフ> プロデューサー  : 岡田宏記(フジテレビ情報2部)
ディレクター : 魏 治康(フジテレビ情報1部)
撮    影 : 宮本征治、村木健児
アシスタントディレクター : 西村陽次郎(フジテレビ情報2部)
<制 作> フジテレビ

2000年6月9日発行「パブペパNo.00-167」 フジテレビ広報部