FNSドキュメンタリー大賞
北九州市にある福岡県立北九州高校の「魚部(ぎょぶ)」。
魚や水草、水生の昆虫、貝などの採集といったフィールドワークを通して、
彼らが何を感じているのか、そして、それを取り巻く自然や生物の現状を描く。

第13回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『水辺の達人―高校生が見た小さな命』
(制作:テレビ西日本制作)


<11月13日(土)2時25分〜3時20分放送>
【11月14日(日)26時25分〜27時20分放送】



 「SAVE THE EARTH」「環境保全」。
 こうした言葉がニュースや街頭にはんらんしている。たしかに、世間の目が向く場所やそこに生息する生き物たちを守るためには、相応の効果があがっている。
 しかし、それに該当しない場所や生き物たちはどうだろうか。そうした部分にスポットをあて、活動を続ける高校生たちがいる。
 北九州市にある福岡県立北九州高校の「魚部(ぎょぶ)」。
 魚の部という部活である。彼らの活動の目的は「環境問題」など小難しいことにとらわれず、地域の自然の現状を楽しみながら知ること、そしてそれをたくさんの人に知ってもらうことだ。
11月14日(日)放送の第13回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
 『水辺の達人―高校生が見た小さな命』(テレビ西日本制作)<2時25分〜3時20分>
では、魚だけでなく、水草や水生の昆虫、貝などの採集といったフィールドワークを通して彼らが何を感じているのか、そしてそれを取り巻く自然や生物の現状を描く。

<内容>
 「魚部」とは北九州市小倉南区にある県立北九州高校の部だ。魚部は1998年に産声をあげた。魚部の顧問、井上先生が絶滅寸前のスナヤツメという魚を発見、捕獲したのが発足のきっかけで、北九州市を中心に採集・観察などの活動を続け、今では県内全域はもとより、近隣の県にも活動範囲が広がっている。
 また、北九州市の中心部を流れる紫川の河口に建設された、学習施設「水環境館」の展示や企画を任されるなど、さらに、活動を広めている。
 魚部の活動は年間およそ50日ほど。井上先生の愛車で出かける採集活動の必需品は胴長靴と網。特殊なものは一切なく、部員は、それだけの装備で、次々に生き物たちを採集していく。
 そこで出会えるのは多種多様な生き物たちと部員たちのふれあい。各地で凶悪な少年事件が続発する中、活動中の部員たちの生き生きとした表情や、感激したような様子を見ると、自然の中で活動することが子どもたちにとって必要なのではと思えてくる。

<魚部の活動>
 日本で最初の近代製鉄所が誕生した街、北九州市。かつて、日本の経済発展の一翼をになった街は、活況と繁栄とは裏腹に公害の洗礼を受けた。
 しかし、その環境も、市民と行政の粘り強い活動で、少しずつ元の姿へ戻ろうとしている。その一方で公共工事などで壊されていく自然もある。
 魚部の活動でも「半年前はここで採れたんだけど…」などといった場面に時折、遭遇する。しかし、そのような場合でも、部員と井上先生が、工事内容の調整などを働きかけ、絶滅しかけていた生物の生息地を救ったり、新たな安住の地が見つかるまでの間、緊急避難させて保護する活動をすすめている。

<生き物の現状>
 トノサマガエル、ゲンゴロウ…。
 誰でも知っていて、人間の生活に身近にいる生き物たちだと思っている人も多い。
 しかし、そうした生き物を最近見たことがありますか?メダカが絶滅の危機に瀕しているといわれて久しい昨今、生き物たちは人間に危機を伝えることもなく、ひっそりといつの間にか姿を消しつつある。
 「田舎に行けばいるだろう」。そんな人もいるでしょう。確かにいます。しかし、そうした場所でも確実に開発は進んでいる。目的の生き物を見つけに山奥へ。しかし、何ヶ所回ってもいない。地図にも載っていないような古いため池でやっと発見。そこにいるのであれば周辺にもいるはず…でもいない。
 
「ゲンゴロウみたいに飛んでいける虫でも飛んでいける場所がない」と、顧問の井上先生。手遅れになる前にこうした生き物たちの声を届けたい、一緒に真剣に考えてほしい。
 彼らの活動からはそんな叫びが聞こえてきそうだ。

<担当ディレクターより>
 険しい山道や流れの速い川、その道中にあるさまざまな風景、花や虫。やっと目的地にたどり着いたときの喜び、そして見知らぬ命を発見したときの感激、ただ生き物を求め、そして喜びを分かち合える高校生たち。
 本編には自然の中の命、そして小さな命に心を動かす高校生たちの表情が凝縮されています。画面を見ているうちに、なんとなく見ている人たちも、魚部のメンバーと一緒に採集に出かけている、そんな気分に浸っていただければ幸いです。
 そして、彼らの抱く思いがより多くの人の心にじんわりと染みてくれればと願います。




<プロデューサー> 坂田正彦(テレビ西日本)
<ディレクター> 塩津 正(テレビ西日本)
<ナレーション> 百田洋之(パインズ)
岩永暁子
<撮影> 江嵜 新
岩永暁子
浜崎惟志
倉富信一
<編集> 江嵜 新
利光英樹
<構成> 徳丸 望
<制作著作> テレビ西日本

2004年11月5日発行「パブペパNo.04-352」 フジテレビ広報部