FNSドキュメンタリー大賞
「第12回FNSドキュメンタリー大賞」の大賞受賞作品は、東海テレビ制作の「とうちゃんはエジソン」に決定!
事故のため右手の指を失った加藤源重さんが自らの体験を材料に、不便を抱えた人々のために一つずつ丁寧に生活用具を作る日々に密着!
東海テレビの伏原健之(ふしはらけんし)ディレクターに大賞受賞の喜びの声を聞く。

『決定! 第12回FNSドキュメンタリー大賞』

<2月1日(日)午後4時〜5時25分放送>
 フジテレビの系列28局が番組制作能力の向上と、そのノウハウの蓄積を図るという趣旨のもと、ドキュメンタリー作品を競い合う「第12回FNSドキュメンタリー大賞」の審査会が昨年12月に行われ、厳選な審査の結果、大賞に東海テレビ制作の「とうちゃんはエジソン」が選ばれた。1月30日に行われる贈賞式では、東海テレビに賞金として500万円が贈られる。
 大賞作品「とうちゃんはエジソン」の主人公は、愛知県額田町の山奥の工房で、福祉用具の発明をしている加藤源重さん。約13年前(1991年3月)に作業事故で右手の指をすべて失った。元々、機械工だった加藤さんは、自分の右手が使えない不自由さを解消するため、自分のための補助具を開発したことがきっかけで、今では多くの高齢者や障害者のための生活用具を製作している。工房へは、障害のため生活に不自由さを強いられている人々が各地からやって来る。彼らのために、加藤さんは一つ一つ丁寧に用具を作っている。
 『三河のエジソン』と呼ばれる発明家・加藤源重さんの発明人生を支えているのは、妻の信子さん。番組では、信子さんの一人称語りを、女優の宮本信子が担当し、発明家トーマスエジソンの格言を散りばめながら、加藤さんの発明ざんまいの日々が明るく描かれている。
 この作品は、大量消費大量生産の時代の中で、右手の指を失った加藤さんが、自らの体験を材料に、不便を抱えた人々のために一つずつ丁寧に生活用具を作る真摯な姿をありのままに映し出している。それが視聴者に元気や勇気を与え、今後の社会への明るい展望を感じさせたということで審査員の高い評価を得た。
 今回がFNSドキュメンタリー大賞初挑戦で、いきなり大賞を獲得するという快挙を成し遂げたのは、東海テレビの報道制作局報道部の伏原健之(ふしはらけんし)ディレクター。入社11年目の35歳。これまで、営業の外勤5年、制作で情報番組を3年担当し、その後、報道部に異動して、現在に至る。意外なことに、報道に異動になるまではドキュメンタリーにほとんど興味がなかったという。伏原ディレクターに大賞受賞の喜びの声を聞いた。

○大賞を受賞されての感想はいかがですか。

「率直に言って、スタッフ一同、とてもうれしく思います。次回作のロケの最中に、会社からの電話を受けたのですが、次回作で悩んでいたところなので、それだけに非常にうれしかったです」

○加藤源重さんを取材しようと思ったきっかけは?

「加藤さんのことは、新聞の地方欄にのっていて“三河のエジソン”というキャッチフレーズの響きに魅かれました。“浪花のモーツァルト”とか“ハマの大魔神”とかみたいで。最初、加藤さんのことを『スーパーニュース』で10分ぐらいの企画ニュースで取り上げたのですが、まわりの評判がよくて、ドキュメンタリー大賞にノミネートすることになりました」

○加藤源重さんの生き方を通して、何を描きたかったですか。

「加藤さんは非常に元気な人。非常に前向きなお年寄りです。三河地方はトヨタの本拠地で、もの作りの拠点ですが、下請けの部分がどんどん海外に出ていく中で、一人の名もなき技術者を描くことで、もの作りの現場に元気を出してもらえたらと思いました。高齢化社会が進む中で、山奥のぽつんとした小屋の中で、生活用具を作っている一人の老人を追いかけるうちに、老後の生活も悪くないなと、年をとるのも悪くないなと思えるようになりました。実は、報道に異動になる前は、ドキュメンタリーには、興味がなかったんです。ドキュメンタリーのもつ独特の暗さがどうしても好きになれなかった。特に、老人や身体障害者を取り上げると、暗さの中から感動が出てくるという図式が多くて。もう少し見やすいドキュメンタリーを作りたかったんです。率直に言うと“笑えるもの”を作りたかった。誤解を招く言い方かもしれませんが、一生懸命に生きている人って、傍目から見ると、どこか“コミカル”に見える場合があるじゃないですか。いい意味で、そういう部分を描きたかった。加藤さんという方は、金儲けに全く興味がないんですよね。まず、困っている人に喜んでもらいたい、それ以上に、ものを作るのが加藤さんにとって、喜びなんです。最初は、そうはいっても、お金儲けのことも少しは考えているのではとも思ったのですが、取材する中で、加藤さんと僕の中で信頼関係が生まれました」

○この作品を通して、一番言いたかったことは?

「とにかく、みんな元気を出そうよ、明るくいこうよと、それをシンプルに伝えたかったんです」

○次回作の取材対象は?

「2月15日に放送(16:05〜17:20・フジテレビ系列で全国放送<東海テレビ制作>)するのですが、滋賀県の大津市で知的障害者を集めて、作業所を運営している31歳の男性を追っています。知的障害者はクッキー作りや手芸で月に小額の報酬しかもらえないケースが多いようですが、彼はそのことに憤っています。彼は喫茶店経営や文具販売などで、知的障害者に時給700円ぐらいの最低賃金を払えるようがんばっており、彼の奮闘する姿を追っています」

 伏原ディレクターが制作し、第12回FNSドキュメンタリー大賞の大賞作品に選ばれた「とうちゃんはエジソン」は、2月1日(日)午後4時〜5時25分放送の『決定! 第12回FNSドキュメンタリー大賞』の中で全編放送される。
2004年01月19日発行「パブペパNo.04-016」 フジテレビ広報部