FNSドキュメンタリー大賞
誰もが迎える「老い」の行き先と日本が抱える老老介護問題を、3組の老夫婦の介護現場を追いながら見つめ直す!!

第12回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
「老いの行く先〜介護の現場から」 (サガテレビ)

<9月10日(水)深夜2時28分〜3時23分放送>
 核家族化、少子高齢者社会の進行する日本。老人が老人を介護しなければならない老老介護。精神的、肉体的、経済的負担が大きく、将来に多くの不安を抱える「老後」の現実がある。夫婦で穏やかな日々を過ごす、そんな老後を送るのは、今や夢なのか。介護保険制度がスタートして4年、3組の老夫婦の介護現場を追いながら、誰もが迎える「老い」の行き先と日本が抱える老老介護問題、家族との問題を考える。

 9月10日(水)放送の第12回ドキュメンタリー大賞ノミネート作品「老いの行く先〜介護の現場から」(サガテレビ)では、誰もが迎える「老い」の行き先と日本が抱える老老介護問題を、3組の老夫婦の介護現場を追いながら見つめ直す。

<あらすじ>
 平成14年5月27日、佐賀県鹿島市内の八十四歳の男性が足の不自由な妻、八十歳を車椅子ごと川に転落させ、無理心中をはかる事件が起こった。結局、妻だけが死亡し、夫は自殺を図る前に取り押さえられ、逮捕された。「自分の健康に不安を感じ、回復の見込みがない妻と一緒に死のうと思った」と取調べで老人の供述は、あまりにも切ないものでした。

 佐賀市に五年前に開設された宅老所「ながせ」。ここに、古川忠六さん (91)、文子さん(84)夫婦が入所しています。三年前、元気だった文子さんが階段から転落し大怪我をして家事などが出来なくなりました。そのためこの宅老所に入所するようになりました。忠六さんはアパートからの通所、文子さんは宅老所に泊まる二重生活です。

 福岡県田川市に住む二場俊彦さん(74)と純子さん(73)夫婦。十数年前から純子さんはアルツハイマー症が進行し、二年前からは寝たきりで自分ひとりでは食事をすることも出来ません。

 佐賀県鳥栖市に住む久保山幾男さん(79)、キリエさん(75)夫婦。七年前脳梗塞で倒れたキリエさんは人工呼吸器で生命を維持しています。医者から無理だと言われた在宅介護を病院で半年間も研修を受け、ようやく許可を得ました。


ディレクターの広橋時則のコメント
「私がこの番組を作ろうと思ったのは、「老老介護殺人」事件のあまりのインパクトの強さでした。厳しい戦時下を生き抜き、戦後の復興を担い生活困窮の中必死で子供たちを育て、ようやく平穏で穏やかな人生が待っているはずの「老後」がなぜ、心中を図るほどまでに追い詰められたのか。事件の一報を聞いて、そのことが頭に浮かび、数十年後間違いなく訪れる自分の老後を思わずにはいられませんでした。まだ、四十代半ばの私にとって「老後」とは言葉でわかっていても、全く意識の外にしかないものです。おそらく多くの昭和二十年半ば以降に生まれた人たちは私と同じ認識だと思います。ともすれば、痴呆の老人やベッドや車椅子に横たわる老人を見ても、その人たちが、かつて今の自分たちのように「はつらつ」と仕事や生活を謳歌していた人達だったことすら頭の中から消え、無意識のうちに老人たちへの「畏敬」を忘れ、「尊厳」すら無視している私達や社会があるように思います。今回の取材をして、痴呆や脳梗塞で「植物人間」状態の妻に対して、元気だった頃のように必死で話し掛け、決して叶うことの無い回復を願いながら介護をする夫の姿をみた時、苦楽を自分とともに生きてきた妻への「尊敬」「感謝」があればこそ「必死の介護」ができるんだろうと思えるようになりました。久保山幾男さんは「妻は私の戦友ですから」と言います。
 この番組で、誰もが必ず「老い」を迎えること、そして今の「老人」たちもかつては、若く、はつらつとした人生を送っておられた「偉大なる人生の先輩達」であることを「介護」というテーマを通して番組を見てくれた人に少しでも感じ、「老後」を自分のこととして感じて欲しいと思っています。」


<プロデューサー> 松本茂樹(STSサガテレビ編成制作部)
<ディレクター> 広橋時則(STSサガテレビ編成制作部)
<撮影> 花森 勇(エスプロジェクト)
<ナレーター> 赤司まり子(文学座)
<制作> STSサガテレビ
<音声> ステレオ

2003年8月25日発行「パブペパNo.03-247」 フジテレビ広報部