2016.10.13

第25回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『サクラソウの人々』
(制作:岡山放送)

弱者を守れ!熱血肝っ玉大家さんに密着

<10月25日(火)26時55分~27時50分>


 JR岡山駅から車で15分。閑静な住宅街に「サクラソウ」はある。ここで暮らすのは、精神障害者や元受刑者など、部屋を借りたくても借りられない人たち。「サクラソウ」の大家は、岡山市で不動産業を営む阪井ひとみさん(56)。阪井さんは20年前、精神障害者が住みたい場所に住めない現状を知って以来、彼らに救いの手を差し伸べる活動を続けている。「肝っ玉大家さん」と、病気と闘いながら明るく楽しく生活する入居者の姿を通じて、「住むこと」とは何かを考える。

 日本には今、約320万人の精神障害者がいて、その多くが住む場所について深刻な悩みを抱える、いわゆる「社会的弱者」だ。
今回、私たちが岡山県宅地建物取引業協会の協力のもと、岡山県内の不動産業者に対して行ったアンケートでは、精神障害者や元受刑者、身寄りのない高齢者など社会的弱者に「住宅を斡旋したことがある」と答えたのは全体の34%、そのうち、「トラブルになった」と回答したのは実に80%を超えた。また、「あっせんしたことがない」人の理由として、「近所や他の入居者とのトラブルが心配」、「火事や自殺が心配」と回答するなど、社会的弱者と住居の問題の根深さを物語る結果となった。

 JR岡山駅から車で15分。閑静な住宅街に、そのマンションはある。名前は「サクラソウ」。7階建てで、部屋数は52。築28年と年季が入っているが、常に満室となっている。ここで暮らすのは、精神障害者や元受刑者、身寄りのない人、DV被害から逃れた人など、部屋を借りたくても借りられない人たちだ。

 「地域の受け皿がないという理由だけで、住みたい場所に住めないのはおかしい―」。岡山市で不動産業を営む阪井ひとみさん(56)は、20年前、入居者の男性が統合失調症になったのをきっかけに、精神障害者が住みたい場所に住めない問題を知る。以来、社会的弱者のために「サクラソウ」を1棟丸ごと買い取り、自ら大家となるなど、彼らに救いの手を差し伸べる活動を続けている。2008年には、医療・福祉・司法などが連携して、彼らの入居を支援する「NPO法人おかやま入居支援センター」を設立。全国でも類を見ない画期的な試みで、これまで入居を支援してきた社会的弱者は1000人を超える。

 「ビジネスが成り立つことが前提」。そう言いつつ、「命がかかっているから、その人の生き方も考えなければならない」として、身寄りのない人の保証人になったり、自社物件を保証人なしで貸したり、生活物資を支援するなどしてきた阪井さん。「居場所」を見つけた「サクラソウ」の住人たちは、幻覚や幻聴など病気の症状と闘いながら、そして、孤立しがちなお互いを支え合いながら、明るく楽しく生活している。

 社会のセーフティーネットからこぼれ落ちた人々と、彼らのために奔走する、熱血大家さん。その日々を追った。

ディレクター・白井大輔(岡山放送報道部)コメント

「入居者たちから“阪井のおばちゃん”と慕われ頼りにされる阪井ひとみさん。4人の娘を育て、時には入居者の母親代わりにもなるなど、持ち前の肝っ玉で奮闘する阪井さんの魅力に引き込まれ、応援したいと思っていました。しかし、取材を続ける中で、なぜ、阪井さん一人がここまでやらなければならないのか、確かにサクラソウの住人たちは病気と闘いながら、孤立しがちな互いを支え合いながら、明るく楽しく生活しているが、これで本当の幸せと言えるのだろうか―。そんな疑問がわいてきました。“地域で暮らす”とは、どういうことなのか。私も含め、社会全体で考えていきたいと思っています」


番組概要

◆番組タイトル

第25回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『サクラソウの人々』
(制作:岡山放送)

◆放送日時

10月25日(火)26時55分~27時50分

◆スタッフ

プロデューサー
塚下一男
ディレクター
白井大輔
構成
梅沢浩一
撮影・編集
平井大典

2016年10月12日発行「パブペパNo.16-417」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。