2015.12.1

第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『鷹匠 私の生きる道』
(制作:サガテレビ)

小学校5年生で鷹匠に認定された現在20歳の石橋美里さんが
“現代の鷹匠”として何ができるかを模索する姿に密着。

<12月12日(土)27時5分~28時>


“鷹匠少女”が20歳に。佐賀県武雄市に住む石橋美里さんはハヤブサを飼ったのをきっかけに、父の秀敏さんとともに独学で調教を学び、小学5年生の時に鷹匠に認定された。鷹匠とは本来、鳥類の生態系ピラミッドの頂点に立つタカやワシなどの猛禽類を自在に操り狩りをする人のこと。日本では古墳時代の埴輪にすでにその姿が見られ、江戸時代にはいわば武士のスポーツとして鷹狩りが行われていたという。
 美里さんは、最年少、鷹匠界のアイドル的な存在として全国的にも注目されてきた。着々と腕を磨き、鷹匠の全国大会で優勝するなど、その技術も国内トップクラスだ。タカなどを操り、時にはイベントでパフォーマンスを披露して観客を喜ばせ、時には人々を困らせるカラスやハトなどの害鳥を追い払う。また学校などに出かけ、鳥を使って課外授業をすることも。そんな彼女が短大を卒業後、どういう進路を選ぶのか。そう思ったのが取材のきっかけとなった。

 イベントなどでの派手なパフォーマンスが印象には残るが、そのためには鳥1羽1羽の状態を常に把握した飼育と調教が不可欠だ。また十分にトレーニングをしていないと、追い払おうとしたカラスに反撃され、タカが命を落とすこともあるという。鳥の体重管理も徹底している。えさは生きたひよこ。ひよこをタカに食べさせる姿は残酷にも思え、あるイベントでは女子高校生から「生きたひよこをえさとして与えることに迷いはありませんでしたか」という質問が出される。美里さんの答えとは…。
 まだ20年の人生とはいえ、その半分以上を鳥とともに過ごしてきた美里さんにとって、鳥のいない生活は考えられない。短大卒業にあたり、美里さんは就職活動はせず、鷹匠として生きていく決意をする。一方で、研究生として、鳥などの動物を使って癒しを与える「アニマルセラピー」や、鳥を教材に子供たちに“自然”を体験させる教育方法などについて研究を続けるつもりだ。

 鷹匠として生きていくためにはビジネスとして収入を得なければならない。社会人になった美里さんにとって収入の中心となるのは害鳥の排除。石橋さん親子のもとには自治体や工場、団地などカラスやハトに困っているところから、タカで追い払ってほしいという依頼が次々に舞い込んでいる。今最も力を入れているのは石橋さん親子が「ハイブリッド」と呼ぶ、タカによる威嚇と忌避剤を組み合わせた排除方法だ。石橋さん親子が開発した忌避剤は、無害ながらもハトなどが踏むと、足から刺激を感じたり羽がベタベタすることを嫌って、寄り付かなくなるという。タカによる威嚇だけだと、何度も現場に足を運ぶ必要があるが、ハトのねぐらなどのポイントに忌避剤を置くことを組み合わせれば、依頼主にとってもコストの削減につながるという。
「全部自分の責任だし、全部自分の実績にもつながる」新社会人として、プロとしての決意を胸に、美里さんは精米工場で、自らヘルメットをかぶり、高所作業車のゴンドラに乗り込んで、天井などに忌避剤を置く作業にあたる。果たして、その結果は…。

 2015年5月、武雄市の麦畑に美里さんの姿があった。傍らには猟犬が。美里さんは犬をパートナーに、佐賀空港が抱えるある課題の解決に一役買いたいと考えている。すでに空港周辺をイメージしたトレーニングに入っている。
「自分と鳥にはもっといろんなことができるはず」。自分の信じた道を選び、“現代の鷹匠”として、その可能性を広げようとする20歳の女性の姿は、無気力と言われがちな現代の若者たちへのメッセージになるはずだ。

ディレクター・鶴丸英樹(サガテレビ報道部)コメント

「“鷹匠少女”と呼ばれていた主人公の石橋美里さんは、佐賀県ではもちろんのこと全国的にも知られた存在でした。私の印象としては“パフォーマンスを披露している”という印象が強かったのですが、初めて時間をかけて密着取材をしてみると、イメージとは違い、普段の鳥との生活は決して華やかなものではありませんでした。毎日の調教とカラスの駆除。“鷹匠”を職業として生活していくのは簡単ではありません。それでも彼女はこの道を選びました。彼女は“現代の鷹匠”として技術を極めたいという思いと新たな可能性に挑戦したいという強い意志を持っています。そんな彼女の思いが番組を通じて伝われば幸いです」


番組概要

◆番組タイトル

第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『鷹匠 私の生きる道』
(制作:サガテレビ)

◆放送日時

12月12日(土)27時5分~28時

◆スタッフ

プロデューサー
鶴丸英樹
ディレクター
鶴丸英樹
撮影
宮原佑輔(STSプロジェクト)
龍聡一郎(STSプロジェクト)
高野裕也(VOZ)
編集
宮原佑輔(STSプロジェクト)
音響
秀島祐子(STSプロジェクト)
制作
サガテレビ
ナレーション
児玉英治

2015年12月1日発行「パブペパNo.15-445」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。