2015.10.27

第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『高知からシネマ・ルネサンス
~であい、移住、新たなカタチ~』

(制作:高知さんさんテレビ)

高知に移住した映画監督の安藤桃子が父・奥田瑛二や多くの高知県民の協力を得ながら作り上げた特設映画館に込めた願い、そして愛する高知への思いとは?

<11月4日(水)27時~27時55分>


 安藤桃子監督2作目の長編映画「0.5ミリ」が高知県で撮影されたのは、2013年3月のこと。しかし、そのちょうど1年後、観光イベントで安藤監督が「高知に移住したことを発表する」という情報が飛び込んできた。そして、本格的な取材開始のきっかけとなったのが、10年前に閉館した映画館を活用して特設映画館を造るという、2014年9月から始まったプロジェクトだった。

 安藤監督とその古い映画館との出会いは、映画の撮影時にさかのぼる。主人公らが映画を見る大切なシーンをこの映画館で撮影した時、安藤監督とエグゼクティブプロデューサーの奥田瑛二は「どうしてこんな素晴らしい映画館が放置され、歴史に埋もれようとしているのか」と衝撃を受ける。この映画館を復活させて、高知に新しい映画文化を根付かせたい…その思いは、安藤監督が高知移住を決める時に強く背中を押した。しかし、耐震化の問題が立ちはだかり、映画館として復活させることは難しいことが判明。そこで支援者らから出されたのが「仮設の映画館をどこかに作って、そこで安藤監督の作品を上映しよう」というアイデアだった。

 ひとつの映画のためだけに、特設の映画館を造るなどという話は、前代未聞のこと。はたしてどんな作業が行われるのか。特設劇場が建設されるにあたり、閉館した映画館に残っていた座席やスクリーン、スピーカー、照明などの備品が、建物の所有者から安藤監督にすべて無償で提供された。高知大学の映画サークルのメンバーや建設業者の協力を得ながら、移設作業が進んでいく。万事順調かと思われたが、公園に劇場を建設する工事が始まる予定だった日に、台風が上陸…しかしその後は秋晴れが続き、建設からわずか10日あまりで見事な「特設映画館」が完成した。その出来栄えは、訪れた人たちが劇場に入った瞬間、驚きの声をあげるほどだった。

 近年、地方の少子高齢化が進んでいるが、高知県はその中でも特に顕著な高齢先進県だ。全国の県や自治体が「移住促進」に力を入れる中、高知県も行政を挙げて移住者受け入れに取り組み、一定の成果を得ている。今回取り上げた安藤監督のような「発信力」のある人材が移り住んでくれることは、地域にとっても大きな力になる。実際、彼女の挑戦が地域の活性化にひと役買っていることは作品の中から感じとっていただけると思う。
 特設映画館を閉める日、安藤監督は挨拶の中で、今回の挑戦が自身だけのためではなく、父・奥田瑛二の念願でもあり、さらには多くの映画界の先輩たちが夢見た挑戦でもあると語った。これからの日本の映画界を背負う、人気・実力を兼ね備えた映画監督・安藤桃子が、この先、映画人として私たちにどんな“夢”を見させてくれるのか?これからも彼女の挑戦から目が離せない。

ディレクター・沖田総平(高知さんさんテレビ報道制作局報道部)コメント

「当初は“移住”を軸とした数人の群像劇として制作することを考えていましたが、安藤桃子監督のキャラクターや、特設映画館の建設という前代未聞の挑戦を追いかけていくうちに“これは1本いける!”という手ごたえを感じ、彼女を軸とした番組作りを始めました。初めてのドキュメンタリー制作で手探り状態の中、できる限りのことはしたつもりですが、改めて作品を見ると反省ばかりです。それでも、安藤監督の人柄や熱い思い、さらには高知への愛は感じていただけると思います。どうぞ温かい目でご覧ください」


番組概要

◆番組タイトル

第24回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『高知からシネマ・ルネサンス
 ~であい、移住、新たなカタチ~』
(制作:高知さんさんテレビ)

◆放送日時

11月4日(水)27時~27時55分

◆スタッフ

プロデューサー
明神康喜
ディレクター・構成・編集
沖田総平
撮影
川田卓史、秦泉寺昇、岡本憲明、青木隆、片岡秀文
MA
キャロット
音効
右見嘉英(SOUND-K)
制作
高知さんさんテレビ
ナレーション
や乃えいじ(ボズアトール)

2015年10月27日発行「パブペパNo.15-392」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。