2014.8.6

第23回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『もっと遠くへ
~怪魚ハンター パプアを行く~』

(制作:富山テレビ)

日本から6000キロ、赤道付近に位置するパプアニューギニア。「地球最後の秘境」と称されるこの地に足しげく通っている男がいる。世界30カ国で自らの背丈を超える巨大な魚を釣り上げ、“怪魚ハンター”と呼ばれる、小塚拓矢(28)だ。小塚“6回目のパプア”は、秘境中の秘境、ウエスタン州にある「フライ川」を釣りをしながら、さかのぼる1カ月の旅。蚊の大群や行く手を阻む流木との闘い。たどり着いた先で小塚が見たものとは…。手つかずの秘境と文明を行き来する小塚が追い求めるものとは…。“もっと遠くへ”小塚の旅が続く。

<8月27日(水)27時~27時55分>


  インターネットやスマホの普及により、バーチャルの世界だけが「体験」の場という若者も少なくない。それも、彼らにとっては「現実」だ。しかし、私たちが出会った小塚拓矢(富山県高岡市出身)という男は、そうではなかった。

 その地域の生態系の頂点にいる大きな魚「怪魚」を追い求め、世界中を旅する小塚。人は彼を「怪魚ハンター」と呼ぶ。

「でかい魚がいたら捕まえたい。そこに理由はない。体の細胞がなぜか喜ぶ。何かがそこにある、ただそれだけの話」。なぜ怪魚釣りをするのか、質問に対しての小塚の答えは明快だ。釣った怪魚は、リリースするのが小塚の基本。写真を撮り、速やかにもといた場所に返すのが小塚の流儀。体感した“リアリティ”を記憶にとどめておくための手段だ。

 世界30カ国で350種類以上の「怪魚」を釣り上げてきた小塚。「地球最後の秘境」と呼ばれる場所は、世界中にいくつもあるが、小塚が、とりわけ足しげく通っているのが、パプアニューギニアだ。小塚“6回目のパプア”。そこには、いったいどんな魅力があるというのか。その訳を知りたく、取材クルーは、小塚の旅に密着した。

 日本から6000キロ離れた赤道近くの国、パプアニューギニア。「秘境」と言われるパプアの中でも、特に“手つかずの自然”が残るといわれるウエスタン州で、最大の川、フライ川を遡上しながら、釣りをする3週間の旅に出た。

 総延長600キロの旅。河口の町を出発すると川幅100メートル、茶褐色の水面が続く。丸太をくりぬいたエンジン付きのカヌーは、時速8キロでゆっくりと進む。途中、川岸に点在する野営地に泊まりながら、川の最深部にあるマレー湖を目指した。

 現地では、小塚の友人、ワビル・ワイナがガイドを務めてくれた。ワビルとは、8年前、小塚が初めてパプアを訪れた時に出会った。その旅でマラリアにかかり、1週間寝込んだ小塚を看病してくれたのが、ワビルの家族や親戚だった。まさに「命の恩人」だ。

 同行取材は、まさに命がけだ。川に潜むクロコダイル。行く手を阻む大量の流木。怪魚を求め、“極限状態”が続く。常に危険と隣り合わせの旅。そんな道中、小塚を最も悩ませたのは「蚊」。大群で襲いかかる蚊には、なすすべもない。かゆさと闘いながら、小塚はさおを振る。そして、大きなナマズを釣り上げた。「イートングーシーダダ」。現地の住民がこう呼ぶナマズは、専門家ですら、分類ができないという謎の魚。「怪魚」との再会を果たし、小塚は、今回の目的地「マレー湖」へ向かった。度々、パプアを訪れている小塚にとっても、初めての地だ。

 期待に胸を膨らませ、たどり着いたマレー湖。湖畔の村を訪ねると、そこには電線が張り巡らされ、携帯電話も普及していた。「地球最後の秘境」にも、確実に文明の波は押し寄せている。「がっかり。でもやっぱりねって感じです」 その場所に立って、「体感」しないと意味がない。リアリティを追求する小塚の旅は、そのためにある。

 旅の途中、小塚は、過去に訪れたことのある「地図にない湖」に立ち寄った。そこでは、2家族がバナナやパイナップルを栽培し、魚やシカを食糧に暮らしていた。「文明」と対極に近いところで生活する家族。その暮らしを垣間見て、小塚は言う。「僕らは、文明がないと死ぬだけかもしれないが、彼らは文明がなくても生きてゆける。どちらがいいかわからない」と。

ディレクター・小島崇義(富山テレビ放送 報道部)コメント

「小塚拓矢君と出会った時、『こんな若者が富山にいたんだ』という驚きがありました。とかく『今の若者は…』と言われますが、そうでもないと思います。小塚君を突き動かしている“幼いころに味わった感動”は、誰もが持っているものだと思うし、それを大人になっても、鮮度を保ち、“持ち続けている”ことがどれだけ、その人間を強くするか…。取材を通し、教えられました。世界の秘境をめぐる“小塚の旅”は終わりません。さらに、どんな発見があるのか、出会いがあるのか、番組もシリーズ化し、制作を続けていきたいと思います」


番組概要

◆番組タイトル

第23回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『もっと遠くへ
~怪魚ハンター パプアを行く~』
(制作:富山テレビ放送)

放送日時

8月27日(水)27時~27時55分

スタッフ

制作統括
奥田一宏
プロデューサー
小島裕一
ディレクター
小島崇義
構成
鍵谷真二
ナレーター
高田伸一
撮影
小島崇義、佐野潤一、宮田博之
編集
田中政行
MA
葛誠司
美術
右近千代美

2014年8月6日発行「パブペパNo.14-317」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。