2013.10.23

第22回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『東北に笑顔の華を咲かせましょう
～日向ひょっとこ踊りの絆～』
（制作：テレビ宮崎）

平成25年3月11日、東日本大震災から丸2年、3年目の気仙沼市と被災地訪問を決めた「日向橘ひょっとこ踊り保存会」上山会長と高橋副会長。「東北で笑顔の華を咲かせてほしい」そんな一心で気仙沼に向かう二人。果たして、東北に日向ひょっとこ踊りで笑顔の華を咲かせることができるか。そして、復興は順調なのか？日向ひょっとこ踊り交流で深めてきた絆があるからこそ描ける被災地の実態をドキュメントで紹介する。

＜10月26日（土）27時3分～27時58分＞

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　平成23年、震災の年の8月、宮崎県日向市の夏一番のお祭り「日向ひょっとこ夏祭り」会場で義援金を集め、東北に送ろうと募金活動が始まった。ここまでは日本国中で行われた活動だったが、日向市の動きはさらに上をいく企画が進行していた。その企画とは、「日向ひょっとこ踊りを東北に届け隊」。日向ひょっとこ踊り隊を東北に送り込み、ユニークな踊りで励ますことはできないかというものだった。早速、実行委員会が組織され、日向ひょっとこ夏祭りのひょっとこ踊りコンテスト優勝チームを東北3県に送り込むことを決めた。

　一方、テレビ宮崎は、FNSソフト工場「北緯32度の旅～幸せを運ぶひょっとこ踊り～」（2006年12月放送）で、日向ひょっとこ踊りの元祖「日向橘ひょっとこ踊り保存会」の上山利幸会長・高橋留儀副会長と一緒に、ひょっとこ踊りで世界一周した縁があり、いち早く情報が入り、同行取材することが決まった。

　9月、宮崎県日向市は、東日本大震災被災者を励ますため、いよいよ「日向ひょっとこ踊りを東北に届け隊」の派遣となった。その訪問で見たものは、想像以上に衝撃的な震災現場の惨状だった。もともと一行には、こんな悲惨な環境の中で、みだらでひょうきんな日向ひょっとこ踊りを披露していいものなのか。不謹慎と批判されるのではないか、という大きな不安があった。

　しかし、一番目の訪問先で、笑いの輪が広がった。「日向ひょっとこ踊り」で、震災後笑いが無くなっていた被災地の皆さんに笑顔を届けることができたのである。

　この「日向ひょっとこ踊りを東北に届け隊」取材から始まり、震災から丸2年間を見つめるドキュメンタリー取材が始まった。

　訪問を機に気仙沼では、「気仙沼ひょっとこ踊り愛好会」が誕生し、やがて、「気仙沼ひょっとこ踊り保存会」と名乗るようになり、「日向橘ひょっとこ踊り保存会」との交流も始まった。この交流で知り合ったのが、気仙沼で廻船問屋を営む斉藤康さんだった。斉藤さんは、震災で会社倉庫、生活のすべてを失ったが、復興に向けて意欲的に取り組む人物であった。また、何よりも日向ひょっとこ踊りの大ファンだった。

　そして12月、「日向橘ひょっとこ踊り保存会」上山会長・高橋副会長の2人は、再び宮城県気仙沼市を訪問。日向ひょっとこ踊りを習いたい地元ファンに踊りを教え、被災者の皆さんの前で披露。厳しい寒さ、見通しの立たない生活の立て直し、暗くなっていた仮設住宅地に笑いを届けることができた。

　震災から一年半、平成24年8月、日向市は、日向ひょっとこ夏祭りに気仙沼の小学生を招待した。久々に海で泳いだ気仙沼の小学生は海を恐れることなく、宮崎の海を楽しんだ。日向ひょっとこ夏祭りにも習いたてのひょっとこ踊りで参加。観衆に感動の輪が広がる楽しい思い出ができた夏休みとなった。

　そして、震災から丸2年、平成25年3月11日。上山氏と高橋氏の2人は、気仙沼にいた。

　人と人との偶然の出会いから始まった交流を通し、震災からの復興の現状と現実の問題を伝えるドキュメンタリー。「東北で笑顔の華を咲かせてほしい」そんな一心で何度も気仙沼を訪問し、日向ひょっとこ踊り交流で深めてきた絆が無ければ描けない、被災地の実態を取材したドキュメンタリーである。

カメラマン兼ディレクター・西田博文（テレビ宮崎　報道制作局制作部）コメント

「平成23年、震災の年の9月の“日向ひょっとこ踊りを東北に届け隊”同行取材は、あまりの惨状に涙を流しながらカメラを回しました。その後のひょっとこ踊り披露と交流会。“全く反応がなかったら…場違いだったら…”と訪問団同様不安な気持ちでした。しかし、笑いが起こった瞬間、今度は感動の涙を流しながらの取材でした。悲しい涙、感動の涙、笑いの涙、人生でめったに味わうことのできない色んな涙を流しながらの取材でした。カメラマン兼ディレクターで苦労も多い取材・構成・編集でしたが、一人何役もこなしたおかげで、より近く深く、被災者の皆さんと取材交流することができました。上山会長と高橋副会長の思いと同じ“東北で笑顔の華を咲かせて欲しい”そんな一心で何度も気仙沼を訪問し日向ひょっとこ踊り交流で深めてきた絆から被災地の実態をドキュメントしていきたいと考えています」