2013.7.30

第22回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『ただいま!ここが古里です
~過疎の村に希望の光を~』

(制作:秋田テレビ)

地方の人口減少と高齢化が進む中、生まれ育った都会を離れ、過疎の村で地域活性化へ向け活動する「地域おこし協力隊」。秋田県上小阿仁村八木沢集落では、滋賀県出身の桝本杉人さんと神奈川県出身の水原聡一郎さんが活動を続けている。また、秋田県五城目町でも京都府出身の河原崎彩子さんが活動している。活動を続ける中で、移り住んだ小さな集落を、自分たちの帰る場所「古里」と思うようになった隊員たちの生活から、「古里」の魅力を見つめ直す。

<2013年8月14日(水)26時10分~27時5分>


 人口減少と高齢化が進む秋田県。そんな秋田県内の6市町村で13人の「地域おこし協力隊」が活動している。「地域おこし協力隊」は、若者などが都市部から地方に生活の拠点を移し、そこに住むお年寄りの生活を支援しながら地域の活性化に協力する国が作った制度である。

 秋田県内では、2009年11月に上小阿仁村が初めて協力隊員を採用した。上小阿仁村の隊員は、滋賀県出身の桝本杉人さんと神奈川県出身の水原聡一郎さんの2人だ。2人は、村の中央を南北に走る国道から20キロほど山奥に入った八木沢集落で活動している。八木沢集落は7世帯15人が暮らし、そのうち半数以上の11人が65歳以上の限界集落だ。
 2人の活動は、冬の雪かき、春から秋の農作業、そして、そこに暮らすお年寄りの病院への送迎が中心だ。去年の夏は、耕す人がいなくなった田を舞台に行われたアートイベント「大地の芸術祭KAMIKOANIプロジェクト」の運営や、長い間途絶えていた伝統芸能「八木沢番楽」の復興など地域再生にも大きな力を発揮した。はじめは、「よそ者」という意識を持っていた地域の人たちも3年間の2人の活動を見て、地域の一員として受け入れるようになってきた。

 一方、上小阿仁村の隣町五城目町でも、活動期間が3カ月間の「短期地域おこし協力隊」として活動している女性がいる。s京都府出身の河原崎彩子さんだ。絵が得意な河原崎さんは、地域の行事や風景、人々の暮らしをスケッチし続けた。そして、多くの人に五城目町の魅力を知ってもらおうと作品の展示会を開いた。独特なタッチで描かれた河原崎さんの作品は、町の内外から訪れたたくさんの人たちに、五城目町の魅力を改めて伝えた。河原崎さんは、五城目町だけでなく秋田をもっと知りたいと思い、上小阿仁村の八木沢集落も訪ねた。河原崎さんは、村の伝統行事や八木沢集落の風景をスケッチするうちに、上小阿仁村の魅力に引かれ、五城目町の任期後は、上小阿仁村で協力隊として活動したいと思うようになった。

 上小阿仁村の桝本杉人さんと水原聡一郎さんは、国の「地域おこし協力隊」としての3年の任期が切れたあとも、村から「地域活性化応援隊」の隊員として採用され、現在も活動を続けている。2人は生まれ育った「古里」を「行く場所」、上小阿仁村を、「帰る場所」と言い切るようになった。そして生まれ故郷から帰った時、自然に「ただいま」という言葉が出た。

 番組では、人口減少、高齢化が進む地方の集落に、都会から移り住んだ「地域おこし協力隊」の隊員の生活や活動を通して、地方の集落の厳しい現状を伝えると同時に、協力隊員を引き付ける集落の魅力を伝える。

ディレクター・佐々木弘樹(秋田テレビ報道部)コメント

「“なんで都会からわざわざ田舎に来るのだろう?”生まれも育ちも秋田の私が、“地域おこし協力隊”と出会ったときの感想です。京都府や神奈川県で生活していた彼らは、何もなく自然豊かなここが魅力的だと言います。県外で生活したことのない私は、“何もない”ここが魅力的だという感覚が理解できませんでした。しかし、上小阿仁村八木沢集落で取材を進めていくと、次第にその感覚が分かってきました。“なんだか心が洗われていく”そんな感覚です。集落の人たちの心優しい対応、自然豊かな集落の風景、そして集落を思う住民と協力隊員の気持ち。それらが、カメラのファインダー越しに伝わり、脳裏に焼き付きました。他の県からきた隊員たちが“自分たちの帰る場所、ふるさと”だと言う上小阿仁村八木沢集落。これからは、私自身もわがふるさと“秋田”を自慢できると思いました」


<番組概要>

◆番組タイトル

第22回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『ただいま!ここが古里です
~過疎の村に希望の光を~』
(制作:秋田テレビ)

◆放送日時

2013年8月14日(水)26時10分~27時5分

◆スタッフ

プロデューサー
相川克哉(秋田テレビ 報道制作局局長)
ディレクター・撮影
佐々木弘樹(秋田テレビ 報道部)
編集
能登屋隆(秋田ステージ)
CG
武藤優(秋田ステージ)
MA
伊藤直人(秋田ステージ)
ナレーター
原田真裕美

2013年7月30日発行「パブペパNo.13-298」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。