2012.10.24
<12月21日(金)26時35分~27時30分>
今や子供の数よりも多いと言われるペット。結婚しない人の増加、子供を作らない夫婦の増加、独居老人の増加。孤独や不安を抱える社会の裏返しともとらえられるペットへの愛情。その背景を受け、動物医療の現場も今では、高度医療が進み、人間さながらの治療が受けられる時代。
そんな中、愛媛県の西条市という過疎化が進む小さな町に先進医療とは無縁の動物病院がある。この5坪ほどの小さな動物病院、最新の医療機器はなく使用済みの注射器は山積み、カルテはホコリだらけとお世辞にもきれいとは言えない。また、この病院の先生が個性的。無精ひげにくわえタバコで診察し、診察以外の話に脱線することも多々。そのため1組の診察時間が1時間に及ぶことも…。それなのに北は北海道から南は九州まで全国から「患者」が訪れ、連日行列ができる人気っぷりである。
「見る」「聴く」「触る」そしてよく話すと五感をフルに使ったアナログ診療。会話の数だけペットとも飼い主とも心が通い、良い治療につながると考える白ひげ先生。効率化が重要視される時代で白ひげ先生の診療は時代遅れともとらえられる。しかしその至って原始的でアナログな診察だからこそ、救える命があるという。動物病院があふれている時代になぜこの田舎の汚い病院に全国から人が集まり行列ができるのか? 飼い主らを引き付ける白ひげ先生の魅力とは?現代社会が抱えるペットと飼い主の問題とは? その答えとは…。
番組では白ひげ先生の生い立ちをはじめ、先生ならではの独特な診察スタイル、またこれまで苦楽をともにして病院を支えてきた奥さんの存在、動物のようにうまくいかない子供とのコミュニケーションなどを紹介し、飼い主らを引き付ける白ひげ先生の魅力と動物への愛情を描く。
この他、白ひげ先生の病院に通う動物たちを通して現代社会が抱えているペットと飼い主の問題やペット事情を浮かび上がらせる―高齢の飼い主が余命わずかな老犬を介護するという老々介護の現実。瀬戸内海に浮かぶ島でブリーダーとして生計を立てているお年寄り夫婦の心の葛藤。必ずやってくる飼い主とペットとの別れ。ペットを飼う上で常に問題となる鳴き声の問題。この作品を通して見えてくる行列の理由は他でもなく「その獣医師の人間くさい人柄と愛に満ちた診察」にあった。小さな動物病院のアウトローな獣医師の姿を通してコミュニケーションの大切さを今一度問いかけたい。
「取材のきっかけは、私が自分のペットを診察してもらうため、友人に紹介されたこの動物病院を訪れたことです。ホームページもなく口コミのみで全国から連日患者が訪れるのはなぜ、と思いその答えを見つけるべく取材に入りました。取材期間は約6カ月間です。犬の出産やイノシシ猟の猟犬の緊急手術など、先生などからの突然の呼び出しが多くありました。そのため私自らがカメラ撮影をするシーンが数多くあり、訴えるような映像を撮れなかったと反省しています。しかし全体を通しては納得のいく作品に仕上がったと思っています」
第21回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『しゃべらん命の声を聴く
~白ヒゲ獣医師の寄り道診療記~』
(制作:テレビ愛媛)
12月21日(金)26時35分~27時30分
2012年10月23日発行「パブペパNo.12-379」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。