2012.9.3

第21回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『繋ぐ 東龍バレー』
(制作:テレビ大分)

2012年1月、春の高校バレー全国大会で大分県代表、東九州龍谷高校(東龍)は前人未到の5連覇に挑んだ。なぜ東龍はここまでの強さを誇れるのだろうか。誰もが知りたい「強さの秘密」。東龍に1年間密着し、相原昇監督のバレーに対する情熱や、キャプテンを務めた鍋谷友理枝選手のチームへの思いを中心に取材。東龍ならではの練習風景、そして試合を通じて成長していく選手たちの様子を描きながら、東龍の強さの秘密に迫った。

<10月26日27時05分~28時20分>


「何か特別な練習をしているのか」東龍が優勝するたびよく聞かれる言葉である。「全国から能力のある選手が集まっているのだから強くて当然」という人もいた。しかし本当になぜ「常勝軍団」と呼ばれるほど東龍は毎年強いのだろうか。今回のドキュメントの取材依頼に最初は選手たちの練習の妨げになると難色を示した監督であったが、最後には「強い選手を集めているからだけじゃない。どれだけ自分たちが努力をしているのかをぜひ見てもらいたい」と言っていただき、去年の4月から取材が始まった。

 監督が選手たちを指導する上でこだわる「5つの力」がある。まずは選手自身の内面的な部分「人間力」を追究し、同時にバレーの「技術力」を鍛えること。そして個の力よりも「チームの力」を重視したチーム作り。監督自身の、瞬間瞬間で「戦術」を見極める「分析力」。この5つの力を重視し、それを確立できていることが東龍の強さなのだと監督は言う。そんな監督を「選手一人ひとりのお父さんみたいな存在」と話してくれた鍋谷選手は東龍の伝統をつなぐため、チームをまとめていく。

 北東北インターハイを優勝で飾った東龍にとって2011年10月に開かれた山口国体は屈辱の大会となった。準決勝で地元山口県代表の誠英高校に敗れ、そして迎えた3位決定戦でも、長崎県代表九州文化学園にフルセットの末敗れ国体4位に。まさかここで負けてしまうとは思いもよらず、監督自身も一時はカメラを遠ざけるまでになった。鍋谷選手もバレーを嫌いになりかけたというほど、選手たちはショックを受けていた。しかし東龍の底力はここからであった。負けたことにいつまでも落ち込むのではなく、負けた悔しさを原動力に変え、春高に向けて黙々と練習に打ち込んでいった。

 そして迎えた東龍の5連覇がかかる春高全国大会。順当に勝ち進んだ準決勝の対戦相手は東京第1代表の下北沢成徳高校、キャプテンの大竹里歩選手は鍋谷選手の幼なじみでもあった。フルセットとなった試合は今大会一番の激闘に。最後の最後までどちらが勝つのか分からない手に汗握る展開。しかし東龍にとってはここで絶対に負けるわけにいかない。試合終了の瞬間まで絶対にあきらめることのなかった選手たちは、大きな勝利を勝ち取った。ともに卒業後Vプレミアリーグのデンソーエアリービーズに進んだ大竹選手と鍋谷選手のインタビューも交えながら試合のときのお互いの気持ちを振り返ってもらった。

 1年間東龍を取材した中で、監督のバレーに対する熱い思いは際立っていた。試合前になると監督の部屋の壁一面には、データが書かれた模造紙が張られる。相手のチームを研究して作戦をたて、準備万端で試合に臨む。そうしないと眠ることができないと話す監督は自分のことを「バレー中毒」と言ったほどだ。そんな東龍の練習は監督のオリジナルメニューで行われる。棒を使った体の動かし方の練習や板を使って飛ぶ練習など他ではあまり見かけたことのないようなものだ。それ以外にも他の学校との練習試合は行わずにチームの中で紅白戦をする。試合に出られない選手も力をつけられるよう、日々こうしてお互いを磨きあっている。
 番組は試合を通じて選手たちが成長していく姿を追い、東龍の選手たちが相原監督の教えを身に付け、春高5連覇の誇りを胸に東龍の伝統をつないでいく姿を伝える。

ディレクター・野島亜樹(テレビ大分)コメント

「“あの東龍がある大分?”他局の方からそう言われることもあるほど、もはや全国的に有名な"東九州龍谷高校 女子バレー部"。練習は他の学校と同じような感じだし、朝練もなくて練習時間も長くはないし、何も特別なことはしてないんだけどな…と取材を続けていたら、ある日のこと相原監督から“いつもは隠していたんだけど、今日は特別な練習を見せるから”と。“え? 何これ?”というほどの超オリジナルメニュー。そうか、いつもこんな特別な練習をしていたのか…私たち取材班は無言で撮影を続け“今までの取材は一体何だったのだろうか?”と思いが頭をよぎりながらも、“この練習を見せてくれるほど、監督は私たちに心を開いてくれたんだな!”とうれしく思いました。1年間の取材でしたが番組ができ上がってみて、ぐっと東龍との距離が縮まったような、勝手にそんなふうに感じています」


<番組概要>

◆番組タイトル

第21回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『繋ぐ 東龍バレー』
(制作:テレビ大分)

◆放送日時

10月26日27時05分~28時20分

◆スタッフ

プロデューサー
油布寛(テレビ大分)
ディレクター
野島亜樹
工藤潤一郎(テレビ大分)
構成
森久実子(フリーランス)
ナレーター
小笠原正典(テレビ大分)
撮影・編集
大下太(ProStudio25)

2012年8月31日発行「パブペパNo.12-315」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。