2012.7.13

第21回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
若者ホームレス 崩れる北海道の底』
(制作:北海道文化放送)

札幌で20代から30代のホームレスが増えているという。本当だろうか?自立支援所を訪ねると、さまざまな理由でホームレスになった若者たちであふれていた。家族の崩壊、リストラ…彼らのさまざまな背景から、北海道の底が崩れ落ちる音が聞こえてくる。
ある日、26歳の青年が函館の支援団体の助けを借りて、農場での仕事を得ることになった。しかし自立を目指すホームレスたちと、支援する側には大きな溝があった。

<8月1日(水)26時10分~27時5分>


 札幌で20代から30代のホームレスが増えているという。東京や大阪では、いるのではないかとも想像できる「若いホームレス」。どうして札幌で、北海道で、そんなに若くしてホームレスにならなければならないのか。札幌でホームレス支援を続ける、自立支援所を訪ねると、さまざまな理由でホームレスになった若者たちであふれていた。入居者の9割が20代から30代のホームレスだった。ホームレス…。「そんなの、仕事の意欲がない人たちがなるのだ。働く気になれば、仕事はいくらでもある」という「自己責任論」が、多くを占めるように思う。しかし、若いホームレスたちから話をよく聞くと、「自己責任」を押し付けるだけでは説明できない、さまざまな深刻な問題を、彼らが背負っていることがわかってきた。

 なぜ、北の地で、今、若者ホームレスが生まれて、しかも急増しているのか? 行政や民間では、何か支援する手段を講じているのか?札幌を中心とする「知られざる若者ホームレスの実態を克明に記録する」とともに、「自立支援の大切さと難しさ、今、足りないことは何なのか?」の2つを軸に、目をそむけることができない、北の若者ホームレスについて、問題提起する。

 札幌の自立支援作業所「ベトサダ」はNPO法人になって、約4年。代表の真鍋千賀子さんは、約15年間ホームレス支援に携わっているが、この数年で、年齢20代から30代のホームレスが増えていることを肌で感じていた。ホームレスたちの「駆け込み寺」的な存在であるベトサダは、去年冬から定員(約40人)を超えるホームレスが入居を続けたため、もうひとつ宿泊施設を増設しなければならなくなった。そこには、さまざまな「若者ホームレス」がいた。

 札幌の自立支援作業所「ベトサダ」はNPO法人になって、約4年。代表の真鍋千賀子さんは、約15年間ホームレス支援に携わっているが、この数年で、年齢20代から30代のホームレスが増えていることを肌で感じていた。ホームレスたちの「駆け込み寺」的な存在であるベトサダは、去年冬から定員(約40人)を超えるホームレスが入居を続けたため、もうひとつ宿泊施設を増設しなければならなくなった。そこには、さまざまな「若者ホームレス」がいた。

 元ホストだったという21歳の男性は、両親に「捨てられた」状況でホームレスに。仕事が長続きせず、ベトサダで日雇いの仕事を続けるが、「またホストに戻りたい」と漏らす。

 20歳の男女のカップルは所持金6円で街をさまよっていたところを保護された。しかし、仕事をすることの大切さをベトサダ側が諭すと、その直後に失踪してしまう。

 北海道の離婚率は全国3位、正社員に対する非正規雇用の割合も、約37%と全国一高い。生活保護受給者は、今年1月現在で16万8000人と、この10年間で5万人も増えた。データからも若者たちのこれまでのセーフティーネットである「家庭」と「雇用」が、北海道では崩れてきていることが分かる。実際にホームレスをしていた若者たちも、家庭の断絶、リストラ、親からの性的虐待など、深刻な問題を背負いながら路上に出ていた。

 ある日、26歳の青年たち4人が函館のホームレス支援団体の助けを借りて、北海道南部での農場で仕事を得ることになった。面談も無事に終了し、青年たちは畑に向かった。しかし、自立を目指し、夢を膨らませたホームレスたちと、ホームレス支援を始めたばかりで慣れていない団体側の両者には、日を追うごとに大きな溝が生じていた。ホームレスたちの自立は果たしてうまくいくのだろうか?

小田学プロデューサー(北海道文化放送)コメント

「自分たちが住んでいる札幌に、20代から30代のホームレスがいる。しかもこの1、2年で急増しているということを、最初耳にしたときは、信じられませんでした。見たことがなかったからです。しかし、あるホームレス支援団体の宿泊施設を訪ねると、実に9割が20~30代でした。1人1人に話を聞くと、家庭と断絶、リストラで気が付いたら路上にさまよっていた人、キツイ仕事を長続きさせることができない人など、さまざまな若者ホームレスがいました。雇用情勢、経済情勢、家庭環境などは、統計上からも、北海道が最悪の状況を更新しているのが分かります。その統計をなぞるかのように、若者ホームレスがこの北の地に生まれているのだろうか。若者ホームレスの実態は?行政の支援は?自立への道は?ホームレスになる人が悪い、という自己責任論だけでは片づけられない問題が見えてきました」


<番組概要>

◆番組タイトル

第21回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『若者ホームレス 崩れる北海道の底』
(制作:北海道文化放送)

◆放送日時

8月1日(水)26時10分~27時5分

◆スタッフ

ナレーション
松本裕子
カメラ
山田大介
小林英明
編集
堀威
ライン編集
中澤出
音響効果
千田耕平
MA
岩下広史
テロップ
トップクリエーション
構成
諸橋佳恵
小田学
取材ディレクター
諸橋佳恵
チーフディレクター・プロデューサー
小田学

2012年7月13日発行「パブペパNo.12-256」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。