2011.11.30

第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
きららちゃんの島~3世代家族の日々~
(制作:テレビ長崎

日本は高度経済成長後、便利さを求めた都市型の生活が浸透、家族の絆や他人との結びつきが薄くなったといわれている。今年の東日本大震災や原発事故は金には代えられない心のつながりの大切さや自然の猛威、人間中心でないことを思い知らされた。
今、日本人が気づいてほしい家族や人との絆、自然の大切さを考えさせるヒントが小さな島の暮らしにあると思いこの番組を制作した。
小さな島は不便だけれど家族が寄り添い暮らしていくための自然の恵みや豊かさがたくさんある。四季折々漁業を営む三世代家族の日々を通して自然の大切さ、家族が寄り添って生きていくことのよろこびや幸せとは何かを考えてほしい。

<11月30日(水)26時10分~27時5分>


 長崎県の北部、平戸島の最南端、宮之浦港からさらに漁船で15分のところに高島という6世帯約30人が住む小さな島がある。周囲10キロほど磯釣りのメッカとして知られ、自然に恵まれた美しい島である。島には信号も店も宿もない。かつては60世帯が住み小中学校もある漁業の島だったが過疎化が進み5年前に閉校。戦時中は東シナ海を監視する島として役をなし、当時の軍事施設が山中に残っている。

 この高島に3世代で暮らす家族がいる。柴山優児さん(48歳)一家だ。妻の美幸さん(44歳)との間に4人の子ども。長男の豪さん(24)は両親と共に漁業に従事。次男、三男は県外で会社員。それに天真らんまんで一家の長女、きららちゃん(7歳)。さらに72歳のおじいちゃんと69歳のおばあちゃん。

 柴山さん一家は海の恵み一筋で生計を立てている。大黒柱の優児さんは妻の美幸さんと長男の豪さんと3人で漁に出てヒラメやエビを採る。おじいちゃん夫婦も漁業を営む。69歳のおばあちゃんは今も現役の海女さん。素潜りでアワビやサザエ、ウニを採る。魚を採って売れた分が一家の収入。頑張れば頑張った分だけが金になる。目の前は透き通る青い海。夏は、きららちゃんたち独占の泳ぎ場。まさに自然の恵みがあふれている。

 30年ほど前、多くの人が便利さを求めて島を出た。島に残っているのは5世帯。自然の恵みでのんびりと生きている。優児さんは語る。「じいちゃん、ばあちゃん、子ども、孫も一緒に家族みんなで暮らしができる。多少の不便さはあっても自然豊かな、この島の暮らしが自分たちには合っている。お金では買えない大切な宝物がここにはある」。

 この春から小学校に入学した、きららちゃん。漁船に乗って対岸の学校に通う。おばあちゃんに魚のおろし方や海草の採り方を教えてもらいすくすくと育つ、きららちゃん。将来の夢はお医者さんになること。「おじいちゃん、おばあちゃんが病気になった時、助けることができるから」だ。

 かつての日本の家族の原風景がこの島には残っている。自然の恵みを受け家族が助け合い生きていく。

 この番組の取材のきっかけは2年前、たまたまテレビ長崎のローカル情報番組の旅のコーナーで、たまたま島を訪れた際に柴山さん一家と知り合ったのがきっかけ。

 69歳のおばあちゃんが現役の海女さんで、孫のきららちゃんをはじめ家族みな屈託がなくとても明るく元気。家族が肩を寄せ合いひたむきに生きている。不便な島だけれど何かいい…。ここには何かあると肌で感じた。いつか1時間の番組にして多くの人に見てもらいたいと思い島に通った。

 ナレーションを長崎出身の原田知世さんにお願いした。企画書を見て「是非やりたい」と多忙な中、引き受けてもらった。「東日本大震災でいろんなことを感じた。この一家をみて、お金で買えないものが大切なものがあること。人が助けあうこと、家族の絆…。自然の恵みで生きていくことの尊さ。都会暮らしのもろさを考えさせられた」と録音が終わった後で話してくれた。

 この時代、幸せとは? 豊かさとは? 家族とは? 平戸南端の小さな島、高島で暮らす、きららちゃん一家の暮らしから考える。

大浦 勝ディレクターコメント

「2年前、テレビ長崎のローカル情報番組『車窓の旅』という行きあたりばったりの旅取材でたまたま立ち寄った小さな島の家族。「過疎化が進む島だけれど魚介類が豊富で、じいちゃん、ばあちゃん、孫が一緒に住めて自分たちはとても住みやすい」とご主人が屈託なく話した。おじいちゃんとおばあちゃんは少しでも家計の助けになればとそろって小さな船で漁に出る。一番下の娘のきららちゃんは初めて会った時4歳だった。港で浮き袋を使いながら泳ぎを練習していた。きらきらしてとても元気でかわいかった。直感的にドキュメンタリーで撮りたいと感じた。しかし日ごろの仕事に追われなかなか島に行けなかった。島は長崎市から車で4時間もかかる。再び訪れたのは1年後の夏。真っ青な空と海。きららちゃんは5歳、少しお姉ちゃんになっていた。泳ぎも覚えて真っ黒になっていた。特別でもない普通の生活をする、ある家族の生き方の一例として見てもらいたい。原田知世さんの優しい語りとともにこんな家族もいるんだと。そこから何かを感じてほしい」


<番組概要>

番組タイトル

第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『きららちゃんの島~3世代家族の日々~』
(制作:テレビ長崎)

放送日時

2011年11月30日(水)26時10分~27時5分

スタッフ

ナレーター
原田知世
撮影・編集
池田 潤
VE
岡崎一成
音効
角 千明(プロジェクト80)
MA
米山佐知子(共同テレビ)
構成・演出/プロデューサー
大浦 勝

2011年11月30日発行「パブペパNo.11-301」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。