2011.5.25

第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
MANGAリアル魂~密着・第19回まんが甲子園~
(制作:高知さんさんテレビ)

毎年8月に高知で開かれる『まんが甲子園』。全国から集結した高校球児ならぬ高校“ペン児”たちが、そのアイデアと技を競い合う。制限時間の秒読みに追われながら必死にペンを走らせる彼らの姿は漫画のイメージを一変させる勢いすら感じさせる。プロの漫画家をもうならせる彼らの作品と、熱戦に秘められた“ペン児”たちの思いとは。そして、漫画の道を歩む人々の本音にも迫りながら、漫画をめぐる多くの人々の証言によって、MANGAの未来を展望する。

<2011年5月31日(火)26時55分~27時50分>


 高知の真夏の祭典といえば“よさこい祭り”が有名だが、もうひとつ、全国から高校生が集う“まんが甲子園”がある。有名な漫画家を数多く輩出している高知県で、全国各地の高校生たちが漫画のアイデアと技術を競う大会だ。与えられたテーマにそって、5人一組で制限時間内に一枚の漫画を描き上げるという競技で、画力やアイデアはもちろん、チームワークも求められる。平成4年に始まったこの大会は、回を重ねるごとに認知度も上がり、平成22年の大会は予選参加校が280を数えた。第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『MANGAリアル魂~密着・第19回まんが甲子園~』(制作:高知さんさんテレビ)では熱戦に秘められた“ペン児”たちの思い、そして、漫画の道を歩む人々の姿や漫画をめぐる多くの人々の証言を通してMANGAの未来を展望する。

 昨年8月7日、8日と高知で開かれた本選大会には、北海道から鹿児島まで、30校が出場した。初日の第1次競技を勝ち上がった15校と、敗者復活戦で残った5校のあわせて20校で2日目の決勝戦が行われる。高校球児ならぬ、高校“ペン児”と呼ばれる選手たち。今回は女子が圧倒的に多かった。各校のブースはアイデアを話し合ったり、手分けして色を塗ったりと、とにかくにぎやかで、明るく元気な声が飛び交うが、その中で少し様子が違う学校があった。互いにほとんど会話を交わすことなく、黙々とペンを走らせる京都芸術高校、そして、30校中唯一コンピューターを駆使して作品を仕上げる武田高校だ。取材を続ける中、彼らが抱える思いがとても大きく熱いことに驚かされた。たかが漫画、されど漫画。彼らの夢や情熱、あこがれと、MANGAの奥深さを描きたいと思った。

 番組は、まんが甲子園での“ペン児”たちの戦いぶりを軸に、漫画をめぐるさまざまな人たちの思いをちりばめるように展開していく。第1次競技のテーマは「正義の味方」。“ペン児”たちはどんなアイデアで勝負するのか。コンピューターを駆使する武田高校は、手痛いミスでピンチに立つ。秒読みに追われながらも最後まであきらめない彼女たちの運命はいかに。そして、迎えた敗者復活戦では、あるドラマが待ち構えていた。明けて2日目の決勝戦では、前日とはまったく雰囲気が違う京都芸術高校の姿があった。そのワケを彼女たちが語る。5時間半の制限時間で、“ペン児”たちはどんな傑作を生み出すのか。ユーモアたっぷり、大人をうならせるアイデアと技術は必見だ。

 この大会で審査員を務めるのは、プロの漫画家たちだ。高校“ペン児”たちの姿はプロの漫画家の目にどう映っているのか。審査員の一人、高知県在住で『ヘルプマン!』を連載中のくさか里樹さんは、まんが甲子園について「負けることに価値がある」と話す。なぜ負けることに価値があるのか。自らの経験も交えながら語るくさかさんの思いは熱い。まんが甲子園では、スカウト制を導入している。大手出版社の編集担当者が会場を訪れ、“ペン児”たちの中に埋もれている“ダイヤの原石”を探すのだ。2年前にスカウトされ、このほどデビューを果たした佐野愛莉さんが、プロの道を歩き始めた心境を語った。一方、カメラは高知県出身のある漫画家の素顔に迫る。都内でアルバイト生活をしながら、ひたすら漫画を描き続ける彼の思いとは。

 漫画といえば、昔は本として流通する形がほとんどだったが、今やアニメーションや映画、ゲームやインターネット上のキャラクターなど、その世界はまさにボーダーレス化している。漫画、アニメはどんな進化を遂げようとしているのか、関係者の証言から、その未来を占う。番組終盤は、決勝戦の大詰めだ。思いがけない優勝の行方にも注目してもらいたい。

明神康喜ディレクターコメント(取材・構成・編集担当)

 高校球児たちのあこがれの舞台といえば「甲子園」ですが、高知では毎年8月に「まんが甲子園」という大会が開かれています。与えられたテーマに添って、5人1組で1枚の漫画を描くという競技で、19回目の今回は、予選審査に280校が挑みました。会場で大会を取材していると、漫画というものが持つパワーに圧倒されます。漫画といえば、とかく“オタク”的なイメージがつきまといますが、高校生たちが1枚の紙に向かって頭を突き合わせ、活発に意見を交わしながら必死にペンを走らせるその姿は、体育会系の勢いすら感じさせます。大会後、“ペン児”たちをあらためて取材すると、熱戦に秘められた意外な思いや、エピソードが飛び出しました。たかが漫画、されど漫画です。漫画に青春を捧げる彼らの姿、そして、漫画をめぐるさまざまな人たちの思いをぜひご覧ください。


<番組概要>

◆番組タイトル

第20回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『MANGAリアル魂
~密着・第19回まんが甲子園~』
(制作:高知さんさんテレビ)

◆放送日時

2011年5月31日(火)26時55分~27時50分

◆スタッフ

プロデューサー
林 寛
ディレクター・編集
明神康喜
ナレーター
石田浩子
撮影
川田卓史
岡林 聡

2011年5月24日発行「パブペパNo.11-102」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。