2011.1.20

決定!第19回FNSドキュメンタリー大賞

「第19回FNSドキュメンタリー大賞」の大賞に、富山テレビ制作『不可解な事実~黒部川ダム排砂問題~』が決定!

黒部川上流のダムで「排砂」が始まり、海に異変が現れるようになったと言う漁師たち。
排砂は環境に大きな影響を与えていないと言う国と電力会社。
清流、黒部川は全国のダムが抱える土砂堆積の問題を解消するための壮大な実験の舞台になっているのではないか?
沈黙の中で続く排砂の真実に迫った作品。

<2011年1月23日(日)16時~17時25分放送>


 フジテレビの系列28局が番組制作能力の向上と、そのノウハウの蓄積を図るという趣旨の元、ドキュメンタリー作品を競い合う「第19回FNSドキュメンタリー大賞」。厳正な審査の結果、大賞にはダムに堆積した土砂を一気に排出する「排砂」が行われている黒部川河口。その河口海域で起こっている漁業被害と「排砂」の関連性を探っていった富山テレビ制作の『不可解な事実~黒部川ダム排砂問題~』が、優秀賞にはテレビ静岡制作の『いおりといぶき~私たちが生まれた意味~』、特別賞にフジテレビ制作の『政と官~政治主導の挑戦と敗北』沖縄テレビ制作の『フェンスの中の沖縄』が選ばれた。

 1月23日(日)16時~17時25分放送の『決定!第19回FNSドキュメンタリー大賞』では、大賞作品の『不可解な事実~黒部川ダム排砂問題~』をノーカットで放送する他、優秀賞・特別賞を受賞した3作品をダイジェストで放送する。

  今回の大賞を受賞した富山テレビ制作の作品は、生きた魚に無数群がるヨコエビの衝撃的な映像が効果的に使用されているほか、ミステリータッチに進めていく番組の構成、展開力、全国的にはほとんど知られていなかった「排砂」を取り上げ問題提起した点などが高い評価を受け、文句なしの選出となった。
 富山テレビの大賞受賞は、第7回(1998年)『30年目のグレーゾーン~環境汚染とこの国のかたち~』以来12年ぶり2回目。

【第19回ドキュメンタリー大賞受賞作品】

大賞 富山テレビ 『不可解な事実~黒部川ダム排砂問題~』
優秀賞 テレビ静岡 『いおりといぶき~私たちが生まれた意味~』
特別賞 フジテレビ 『政と官~政治主導の挑戦と敗北』
特別賞 沖縄テレビ 『フェンスの中の沖縄』

【大賞作品内容】

『不可解な事実~黒部川ダム排砂問題~』(富山テレビ制作)
  3000m級の山々が連なる北アルプスから富山湾まで一気に流れる急流河川、黒部川。そのすそ野には険しい峡谷から崩れ出た土砂が堆積し、典型的な扇状地が広がる。河口海域は古くから砂地を好む底物と呼ばれる魚の良好な漁場となっていた。

 その黒部川で19年前から続けられているのが、ダムに溜まった土砂を下流域へ押し流す「排砂」。ダムの宿命的な問題「堆砂(たいさ)」を解消する画期的な方法として注目を集めるも、ダム完成から6年が経って初めて行われた際には、土砂に混じった有機物が変質し、硫化物特有の異臭を放つヘドロとなった土砂が吐き出された。関係者の期待と予想を覆す結果だった。以来、環境に配慮した「排砂」方法として、ダムに土砂を溜めずに、毎年、洪水時にあわせて土砂を流す方法が取り入れられている。
 とは言え、黒部川に大量の土砂が流れるのは、1年に1、2回。そもそも自然の状態ではない人為的な作業が、下流域にどの程度、影響を与えているのかは、はっきり見えていないのが実際のところだ。そして、この事業に公然と異を唱えるのは、黒部川の河口海域で操業する漁師の、そのまた一部しかいない。8年前、「排砂」が原因で漁獲量が減少したと法廷に訴え出るも、裁判所はいまだ判断しきれていない。その間にも、漁獲量の減少が深刻化し、さらには今まで無かった「ヨコエビ」の被害が発生。海の掃除屋と呼ばれる甲殻類「ヨコエビ」に網にかかった魚が食い荒らされ、漁場に網を仕掛ける場所がもはや無くなったという。
 番組制作のきっかけは、この「ヨコエビ」被害を知ったこと。2008年の初冬、一審判決を前に漁師を取材したときのことだった。それまで毎年の「排砂」や裁判の様子は継続取材してきたが、まさか、そんな状況になっているとは思いも寄らなかった。いち早く海底の様子を探った映像には、目を覆いたくなるような光景が映っていた。「ヨコエビ」の研究者も水槽実験と見まごうほどの現実だった。
 全国で唯一、黒部川で行われている「排砂」。流域に住む人たちの関心は年々薄れ、恒例行事化している。その影響は明らかではないというのに…。「排砂」の周りで起きている不可解な事実に迫った。



2011年1月19日発行「パブペパNo.11-014」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。