2010.11.26

第19回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
みんなのいえ~介護保険制度10年の検証~
(制作:石川テレビ)

「介護の社会化」を目指した介護保険制度がスタートしてから今年で丸10年、はたして現場のニーズに応えているのだろうか? 理想を追い求め、自らデイサービス「みんなのいえ」を立ち上げた寺井弘幸さんに密着し、制度との矛盾や家族、関係者の思い、そして「理想の介護」とは何かを問い直す。

<2010年11月25日(木)26時~26時55分放送>


 「介護の社会化」を目指した介護保険制度がスタートしてから今年で丸10年、はたして現場のニーズに応えているのだろうか? 第19回ドキュメンタリー大賞ノミネート作品『みんなのいえ~介護保険制度10年の検証~』(制作:石川テレビ)では、理想を追い求め、自らデイサービス「みんなのいえ」を立ち上げた寺井弘幸(56)さんに密着し、制度との矛盾や家族、関係者の思い、そして「理想の介護」とは何かを問い直す。

 人の役に立つ仕事がしたいと、46歳で脱サラして飛び込んだ介護の世界。しかし介護施設で見た光景は思い描いていたものと違っていた。「高齢者をまるでモノのように扱っている」-自分の理想の介護をしたいと、寺井弘幸さんは2003年、金沢市で民家を改装したデイサービス「みんなのいえ」を立ち上げた。「どんな人でも断らない」「利用者の嫌がることはしない」がモットーの施設には、“手間のかかる”認知症の高齢者が集まる。なかには職員に暴力をふるったり、徘徊したりといった問題行動を起こす利用者も。みな保険制度の枠組みから外れてしまった人たちだ。しかし、「その人らしさ」を受け入れる介護を実践することで、認知症の利用者からは自然と笑みがこぼれ、問題行動は減っていった。

 これまで家族に頼っていた高齢者の介護を、社会全体で支えようと2000年からスタートした介護保険制度。果たして介護保険制度は現場のニーズに応えているだろうか。介護報酬は引き下げが続き、施設はスタッフ不足に陥っている。特別養護老人ホームは平均3年待ち、待機者は全国で42万人に上るなど、入りたい施設に入れず、十分なサービスが受けられない状態だ。

 少子高齢社会の日本にとって「介護」は避けては通れない問題である。その人の性格や家族構成、環境など一人一人のニーズに合わせて「介護」は進められるべきものだが、介護保険制度は当初の目的であった「介護の社会化」とはかけ離れてしまっている。制度開始から丸10年となる今年。番組では、寺井さんが運営するデイサービス「みんなのいえ」に密着し、制度との矛盾や家族、関係者の思い、そして理想の介護とは何かを問い直す。

塩野利明ディレクターコメント

 介護保険制度という言葉は知っていたものの、まだ保険料を払う年代でもない私にとって、制度の中身を全く知らないところから取材が始まりました。現場の職員の声を聞き、本を数冊購入して勉強するうちに、介護保険制度は非常に問題のある制度だと実感しました。
 介護保険制度の問題は、国の支出抑制という方針に原因があるように思います。いいサービスを受けたい、けれども財源が足りない。「保険料がこれ以上上がってもいいのですか」と突きつけられれば、閉口してしまうことが多いと思います。しかし、介護にいま携わっている家族にとって、保険制度の不備は待ったなしの深刻な状態です。財源がないなら、その財源確保をどうするか。制度の抜本的な改革も視野にいれて、私たち一人一人が自分の問題として議論する必要があります。
 私が取材に入ったのは今年の2月。たった3カ月の取材でしたが、その間取材させていただいた利用者の方が2人亡くなられました。それだけ介護の問題は、時間的猶予がない待ったなしの状態です。取材に協力していただいた皆様に心より感謝を申し上げるとともに、ご冥福をお祈りいたします。


<番組概要>

◆番組タイトル

第19回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『みんなのいえ~介護保険制度10年の検証~』
(制作:石川テレビ制作)

◆放送日時

2010年11月25日(木)26時~26時55分

◆スタッフ

プロデューサー
米沢利彦(石川テレビ)
ディレクター
塩野利明(石川テレビ)
構成
鍵谷真二(フリー)
ナレーター
小島一宏(フリー)
撮影
森 修(ラックプロ)
和田光弘(Mビデオ)
編集
斉藤淳一(フリー)
音響効果・MIX
大川育三(東海サウンド)
制作著作
石川テレビ

2010年11月24日発行「パブペパNo.10-228」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。