2010.10.29

第19回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
揺らぐ新幹線神話~北陸新幹線の光と影~
(制作:新潟総合テレビ)

2014年度中の長野~金沢間の開業に向け工事が進む北陸新幹線、その裏には停車駅や並行在来線・建設負担金などさまざまな問題が隠れている。地域活性化のために整備される新幹線。1997 年に北陸新幹線の一部として先行開業した長野新幹線の沿線では地域の衰退という現象も起きていた。番組では北陸新幹線が新潟県に与える功罪を検証し、新幹線整備のあり方について考える。

<2010年11月4日(木)26時55分~27時50分放送>


 地域活性化のために整備される北陸新幹線。果たしてそれは本当なのだろうか。第19回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『揺らぐ新幹線神話~北陸新幹線の光と影~』(制作:新潟総合テレビ)では北陸新幹線が新潟県に与える功罪を検証し、新幹線整備のあり方について考える。

 国鉄時代、東海道新幹線や上越新幹線は国が全額を負担して整備した。国鉄がJRに民営化されたあとJRの負担を減らすため、そして「地方にもメリットがある」という理由で、地方自治体が建設費の3分の1を負担することになった。しかし、北陸新幹線では新潟県が建設費を負担しているにもかかわらず、新潟県内の駅は「通過駅の設計」で作られていたほか、JRが運行ダイヤを決めることなどから、新潟県内に新幹線が止まらない可能性があることが明らかになった。新幹線が止まらなければ、新幹線のメリットを受けることができない。新潟県は国に対して、各県に1つずつ新幹線が必ず止まる駅を設置するよう求めている。

 1997年に北陸新幹線の一部として先行開業した長野新幹線。佐久市に新駅として建設された佐久平駅の周辺には企業の進出が相次ぎ、佐久市は新幹線の恩恵を受けることができた。一方で佐久平駅から北に6キロほど離れた所にある小諸駅では長野新幹線の開業後、人の流れが大きく変わり衰退してしまった。また北陸新幹線をめぐり、新幹線開業後にJRから経営が切り離される並行在来線が地元にとって大きな問題となる。並行在来線について、新潟県は自治体と民間が出資する「第三セクター方式」で運営することにしているが、開業後30年間で約133億円の赤字が見込まれている。地域の足として必要な在来線はどうなるのか。国から並行在来線の経営支援を求められたJRは、経営支援に難色を示している。

 新潟県上越市で居酒屋を経営している町屋隆之さんは、北陸新幹線の開業に危機感を抱いている。新幹線開業後の上越市はどうなるのだろうか? そんな強い思いから、町屋さんは地元のラジオ局で週に1回担当している番組で「北陸新幹線」を取り上げるようになった。市民に少しでも北陸新幹線問題を知ってもらいたい。そして上越市を良くしたいと声を上げている。番組では北陸新幹線が新潟県内にもたらす「光」と「影」を検証するとともに、新幹線整備のあり方を検証する。

小師智彦ディレクターコメント

 2009年1月に北陸新幹線の建設負担金が増えたことがきっかけで、北陸新幹線について取材を始めました。その後、新潟県内の駅が通過駅の設計だったことや並行在来線の経営が厳しいことなど次々と新しい事実が発覚する中、新潟県は北陸新幹線に取り組む姿勢が大きく変わっていきました。新潟県の泉田知事と国との争いが過熱していく中、北陸新幹線のウラに隠されたいろいろなことがわかってきました。国・JR・地方自治体の複雑な事情が絡み合う中で、工事が進められる北陸新幹線。北陸だけでなく、東北や九州で進められる新幹線。番組を通して新幹線のウラに隠されたいろいろな問題を考えてもらえたらと思います。


<番組概要>

◆番組タイトル

第19回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『揺らぐ新幹線神話~北陸新幹線の光と影~』
(制作:新潟総合テレビ)

◆放送日時

2010年11月4日(木)26時55分~27時50分

◆スタッフ

プロデューサー
佐々木 渉(NST)
ディレクター
小師智彦(NST)
構成
小師智彦
佐々木 渉
ナレーター
中田エミリー
撮影
韮澤由紀夫
手塚 顕
編集
韮澤由紀夫

2010年10月28日発行「パブペパNo.10-202」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。