2010.6.23

第19回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『生まれてくれて、ありがとう』
（制作：サガテレビ）

NICU・新生児集中治療室が整備され、
佐賀県の新生児医療の中枢を担っている佐賀市の国立病院機構佐賀病院。
このNICUで小さな命を守る看護師、陣内枝里子さん。
3日間で天使になった娘を通して命の尊さを訴える千住英正さん。
400グラム台で産まれた兄弟の成長を喜ぶ天野緑さん。
「命とは？」その答えを見つけるため命と向き合う人たちを追った。

＜2010年6月28日（月）26時50分～27時45分放送＞

　未熟児や病気を持って生まれた赤ちゃんの命を守るNICU・新生児集中治療室。佐賀市の国立病院機構佐賀病院は、このNICUが整備され佐賀県の新生児医療の中枢を担っている。6月28日（月）26時50分～27時45 分放送の第19回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『生まれてくれて、ありがとう』（制作：サガテレビ）は、佐賀病院のNICUで小さな命を守る看護師、陣内枝里子さん、3日間で天使になった娘を通して命の尊さを訴える千住英正さん、400グラム台で産まれた兄弟の成長を喜ぶ天野緑さんらの姿を通して、「命とは？」を問う。

　未熟児や病気を持って生まれた赤ちゃんの命を守るNICU・新生児集中治療室。毎年300人以上の赤ちゃんが入院している佐賀市の国立病院機構佐賀病院には12床のNICUが整備され、佐賀県の新生児医療の中枢を担っている。

　看護師の陣内枝里子さんは2008年4月から佐賀病院で新生児担当として働き始めた。1900グラムで入院した陣内さんの担当の赤ちゃんは順調に体重が増え、退院の日を迎えた。「不安を感じているお母さんと赤ちゃんの“架け橋”となるような看護師になりたい」。無事、退院していく赤ちゃんと家族を見届けたあと陣内さんはこう話した。入院する赤ちゃんの治療はもちろん、家族へのサポートも重要な仕事だ。そんな陣内さんはこれまでに一度だけつらい出来事を経験した。生後間もない赤ちゃんの死。赤ちゃんが生きたのは6時間…。「死」に直面した陣内さんが感じたこととは？

　佐賀市の千住英正さん・ますみさん夫婦は結婚4年目にして待望の赤ちゃんを授かる。しかし、妊娠7カ月目にお腹の赤ちゃんが染色体異常「18トリソミー」と判明。2008年2月10日、「心から愛している」という思いを込めてつけた愛心（まな）ちゃんが誕生した。3日後…愛心ちゃんはますみさんの腕の中で天使になった。その後、千住さんは「命の尊さ」を伝えたいと仕事のかたわら講演活動を行っている。そんな千住さんのもとに東京の中学校から講演依頼が届く。初めて九州外での講演。そして愛心ちゃんが生きた証しとして2008年10月に県内で自費出版した本が話題を呼び、愛心ちゃん2回目の誕生日の2010年2月10日、全国に出版された。「こうして全国に広がっていくのは愛心ちゃんの力」と千住さんは喜ぶ。

　唐津市の天野緑さんは、2人の息子を佐賀病院で421グラムと422グラムで出産。6歳になる翼くんはこの春小学校に入学、3歳の友二朗君は気管切開で24時間酸素を吸入している。翼くんは大好きなサッカーを続け元気に成長している。友二朗くんは週一回の食事と言葉の訓練を続ける一方で酸素チューブを外して徐々に自発呼吸が出来るようになった。「生きているだけでありがたい」。危機的な状況から成長した2人の息子の姿を見て天野さんは「生きる喜び」を感じている。

　小さな命を守る陣内さん。3日間で天使になった娘を通して命の尊さを訴える千住さん。400グラム台で産まれた兄弟の成長を喜ぶ天野さん。
「命とは？」その答えを見つけるため、命と向き合う人たちを追った。

森　洸ディレクターコメント

「私は422グラム、421グラムで出産しました。NICUはなくてはならない場所。命のありがたさを感じています」。新生児医療の現状を伝えるニュースの放送後、会社に届いたメール。差出人は天野緑さん。すぐにアポイントを取り話を聞きました。NICU…知らない世界が広がっていました。その後、天野さんが出産した佐賀病院のNICUに向かいました。小さな赤ちゃんが口や鼻にチューブを通され、一生懸命息をして生きています。
　取材過程で生後3日で娘を亡くした千住英正さんに出会いました。妊娠中病気が判明し悲しみにくれる妻・ますみさんに千住さんは「今おなかの中に赤ちゃんがいる幸せを感じよう」そう励ましたそうです。
　自ら命を絶つ人がいます。一方で生きたくても生きられない人がいます。「悩めることも幸せかもしれない」千住さんは娘へのメッセージビデオに記しました。生きること…「命」について考えてほしいと思います。