2009.11.12

第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
ありがとう!っていっぱい言わせて
(制作:テレビ新広島

広島赤十字・原爆病院のクリーンルーム(無菌室)で白血病と闘っている、
山元茉央ちゃん(4歳)の姿を通し、献血の現状を伝えるとともに、
私たちにできること、そして、みんながつながっていることを伝える。

<2009年9月21日(月)深夜3時10分〜4時5分放送>


 2009年9月21日(月)深夜3時10分〜4時5分放送の、第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『ありがとう!っていっぱい言わせて』(制作:テレビ新広島)は、広島赤十字・原爆病院のクリーンルーム(無菌室)で白血病と闘う山元茉央ちゃん(4歳)の姿を通し、私たちにできること、そして、みんながつながっていることを伝える。

 献血で集められた血液は、どんなときに使われているのか。多くの人は事故、手術、出産など大量出血のときを思い浮かべるのではないだろうか。
 この番組では、いつの間にか多くの人に定着してしまった献血へのイメージと今、献血が置かれている現状を知ってもらいたいと取材を始めた。取材先は、広島赤十字・原爆病院のクリーンルーム(無菌室)。ここで2年間にわたり白血病と闘っている4歳の女の子・山元茉央(やまもと まひろ)ちゃんを取材した。茉央ちゃんは、2歳のときに小児急性骨髄性白血病を発病。骨髄移植を行い1度は退院したものの半年後に再発し、2008年9月に余命3カ月と宣告された。自ら、正常な血液を造ることができない茉央ちゃんにとって欠かすことができなのが輸血だ。茉央ちゃんが生きていくためには、1週間に2〜3度と頻繁な輸血を必要とする。止血作用がある血小板、酸素を運ぶ赤血球を誰かから分けてもらわないと茉央ちゃんは1週間も生きることができないのだ。献血された血液は、どんな時に使われているのか。その答えは、茉央ちゃんのようなガンや病気と闘う人に使われている。その割合は、献血で集められた血液全体のおよそ9割になる。
 ガンなどの悪性新生物の治療には抗がん剤が使われるが、副作用のひとつに骨髄抑制がある。骨髄抑制とは血液を造り出す力が抑えられることだ。献血で集められた血液は、命を懸けて病気と闘っている患者に使われている。しかし、今、血液をとりまく現状は危機的状況に陥っている。広島県赤十字血液センターでは、連日、献血バスをフル稼働させ必要な血液の確保に奔走しているがなかなか集まらない。現在、献血者数は減少の一途を辿っている。厚生労働省によると、毎年必要な血液量は、約200万リットル(不測事態を含む)。これは、献血者数で言うと、約500万人になる。しかし、2007年の献血者数は約494万人と500万人を切ってしまった。特に若い世代の献血離れが進み、徐々に需要と供給のバランスが揺らぎ始めているのだ。
 実際に、日によっては、病院からの輸血用血液の依頼に応えられないときがある。そのようなときには、各都道府県の血液センターと連携しながら血液をやりくりし不足分を補い合っている。輸血用血液は、まるで綱渡りするようになんとか患者に届けているのが現状だ。そして、献血がもうひとつ与えてくれるのが「命の時間」。茉央ちゃんを一人で看病する父・忠良(ただよし)さん(32)は、余命宣告を受けたあと、残された2人の時間を大切に過ごそうと決めた。茉央ちゃんはまだ4歳。父・忠良さんは、茉央ちゃんにできるだけのことをしてあげようと、まだ見たことがなかった雪や、自転車に乗せてあげたいなどささやかな目標をたて、茉央ちゃんの体調をみながらひとつひとつかなえていった。限りある短い時間を支える献血。2人は多くの人の善意に支えられながら小さなクリーンルームで懸命に生きている。病気と闘う茉央ちゃんの姿と周りで支える人たちを通して私たちにできること、そして、みんながつながっているというメッセージを番組に込めた。

林田英明ディレクターコメント

 今回の取材で、細心の注意を払ったのが自分の健康です。取材先は無菌室。そして、山元茉央(まひろ)ちゃんは、抗がん剤治療や、病気の進行で抵抗力がほとんどない中での取材だったからです。また、茉央ちゃんや他の患者さんの負担を考え、取材は輸血を行う日だけということにしました。茉央ちゃんは、人見知りをしない子で、いつも友達の病室で誰かと遊んでいました。
 茉央ちゃんが、大好きな人の一人に主治医の浜本和子先生がいました。浜本先生が毎日の検診で病室を訪れ、診察が終わると、「ハマトロ先生遊ぼ」と先生を引き止めていました。浜本先生も、仕事の合間を縫って「いいよ」と優しくほほ笑みながら病室に1時間以上とどまって茉央ちゃんとぬいぐるみや、ゲームをして遊んでいました。番組の中でも友だちの健君が退院して寂しそうな茉央ちゃんを何も言わずにぬいぐるみであやすシーンがあります。あのシーンは、決してあの日、あのときだけでは、ありません。私が、取材中に見ただけでも数十回以上ありました。
 また、竹原市に献血バスを呼ぶことになったのも本当は、今まで実績がないことや採血人数が見込めないことから、血液センターが難色を示していたそうです。(この時、血液センターは確実に採血を見込める場所を優先していました) それを知った浜本先生が、何とか献血バスをだしてくれるよう直接かけあったそうです。そんな、浜本先生にインタビューをさせていただいた時に涙を浮かべながら、病院にいる子どもたちが、かわいくて、かわいくてたまらないとおっしゃっていたことを、私は忘れられません。茉央ちゃんは、多くの人に支えられて一生懸命生きています。そして、周囲の人は、茉央ちゃんの満面の笑顔に力をもらっていました。点滴台に掛けられた輸血バックは、私たちが直接何かできることです。人とのつながりが薄れていると言われる今、そして、献血者数が減少し続けている今。この番組を見た方に何かを感じて行動してもらえればと思います。


<番組概要>

◆番組タイトル

第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『ありがとう!っていっぱい言わせて』
(制作:テレビ新広島)

◆放送日時

2009年9月21日(月)深夜3時10分〜4時5分放送

◆スタッフ

プロデューサー
原田典佳
ディレクター
林田英明
構成
上海五郎
音響
広瀬康詞
カメラ
地蔵堂 充
編集
地蔵堂 充
ナレーション
桜井幸子

「パブペパNo.09-276」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。