2009.6.5

第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『助産師 小林康乃』
(制作:福島テレビ)

43年助産婦を続ける小林さんの姿を通し、
「命」の意味を考えてゆくドキュメンタリー

<2009年6月5日(金)深夜3時20分〜4時15分放送>


 2009年6月5日(金)深夜3時20分〜4時15分放送の第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『助産師 小林康乃』(制作:福島テレビ)は、福島県のある町で助産婦を43年続ける小林さんを取材。4年前に自身の長女が自殺したという過去を持つ小林さんを通して、「命」の意味を考えてゆく。

<企画意図>

 少子高齢化が進む福島県南会津町にある「中嶋助産院」。母親から助産院を受け継いだ小林康乃さん(67)は助産師となって43年、これまでにとりあげた赤ちゃんは3000人以上だという。
 小林さんの長女、妙子さんが自殺したのは4年前。画家を目指していた妙子さんは生まれてきた意味を探し続けていたという。妙子さんが遺した数々の絵にはその苦悩が描かれていた。妙子さんの遺書に記されていた自殺の真相は母親としての小林さんの苦悩を深めるものだった。日々、命の誕生と向き合う小林さんは娘の死を背負い続ける。
 『助産師 小林康乃』の姿から「命」の意味を考える。

<番組内容>

 産婦人科医不足が社会問題化する中、福島県でも有数の豪雪地帯として知られる南会津町では出産できる病院が無くなってしまった…南会津地方で唯一の出産できる施設となった中嶋助産院。そして助産師の小林康乃さんに出合った。
 昭和30年代までは集落ごとに「産婆さん」がいて出産に大きな役割を果たしていたというが医療の発達と共にその数は減少している。福島県内でも助産院の看板を掲げているのは「中嶋助産院」だけとなった。
 一方、深刻な産婦人科医不足を受けて福島県は小林さんのような「助産師」を育成するための助成制度を導入するなどその役割を見直す動きがでてきている。目指すのは「助産師」と「医師」が尊重しながら支えあう出産。それはかつて助産師が「産婆さん」と呼ばれていた時代と同じだ。
 「新たな命の誕生に向き合うときの“祈り”はずっと昔から変わらず受け継がれてきたもの」と話す小林さん。取材を重ねるうちに小林さんのもう一つの「祈り」を知ることになった。
 長女、妙子さんの死について淡々と話す小林さん。しかし、それは深く傷つき、悩んだ末にたどり着いたものだった。決して弱音を吐くことのない小林さんが墓前で娘に語りかけた言葉は母親としての心の叫びだった。そして遺書に記された「誰かを殺してしまう前に死にたい」という言葉を小林さんがこれからも背負い続けていく。
 自然な出産を望む若い夫婦は中嶋助産院で初めての子供の出産を決めた。しかし、医療行為ができない助産院での出産では陣痛促進剤などを使わないため赤ちゃんが生まれてくる力を信じて待つしかない。
 陣痛が始まって40時間。超難産の末に若い夫婦は命の誕生というかけがえのない瞬間を迎える。

<ディレクター・日影多加志コメント>

 初めての取材で「出産に臨む時の思いは?」と尋ねたとき助産師の小林康乃さんは「妊婦にずっと寄り添い、無事に赤ちゃんが生まれるようにただ“祈る”だけ」と話してくれました。
  少子化が叫ばれて久しく、出産をめぐっては産科医不足や医療事故なども取りざたされています。そうした中で、お産について穏やかな表情で語る小林さんの、新たな命に対する「祈り」を見てみたいと思ったのが、取材のきっかけでした。
 そして、何度も取材を重ねていくうちに小林さんが言う「祈り」の意味が少しずつわかるようになっていっていきました。
 静かで、深く、そして温かな「祈り」。妊婦や生まれてくる命へ向けられるその祈りは、助産師としてだけではなく、女性として母親としての祈りでもありました。命と向き合う小林さんの姿を通して、命の大切さや親子のつながりを考えていただければとおもいます。


<番組概要>

◆番組タイトル

第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『助産師 小林康乃』

◆放送日時

2009年6月5日(金)深夜3時20分〜4時15分

◆スタッフ

ナレーション
原田幸子(福島テレビアナウンサー)
取材
日影多加志(福島テレビ)
撮影・編集
武藤貴之(福島映像企画)
MA
プロジェクト80
プロデューサー・構成
菊地昭洋(福島テレビ)

2009年6月4日発行「パブペパNo.09-128」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。