2008.11.20

第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『「空白」 〜冤罪被害者のその後〜』
(制作:富山テレビ)

「富山冤罪事件」での冤罪被害者柳原浩さんの姿を追い、彼の孤独と心の闇、そして誤認逮捕の背景を探るドキュメンタリー

<2008年11月28日(土)深夜4時〜4時55分放送>


 2008年11月28日(土)深夜4時〜4時55分放送の『「空白」 〜冤罪被害者のその後〜』(制作:富山テレビ)は、2007年に明らかになった「富山冤罪事件」での冤罪被害者柳原浩さんの姿を追い、彼の孤独と心の闇、そして誤認逮捕の背景を探る。

(企画意図)

 2007年に明らかになった「富山冤罪事件」
 被害者の柳原浩さんは、再審で無罪を勝ち取り、社会的な名誉は回復したが、警察、司法への不信を抱え、仕事にもつけず、苦しい日々を送っていた。
 相次ぐ冤罪事件や誤認逮捕から明らかになるずさんな捜査の実態。そして、取材記者は柳原さんに密着。すると、やってもいない罪を認めてしまった彼の孤独と心の闇が見えはじめた。

(番組内容)

 富山市のアパートで一人で暮らす柳原浩さん(40)。2008年の冬、仕事もなく、部屋の中で時折、絵を描く暮らしを続けていた。密着取材のカメラが見たのは、まるで死んだように生きる日々だった。
 柳原さんは2002年、婦女暴行容疑で警察に逮捕され、刑務所に服役したあと、真犯人が現れたため、無実と判明した。
 柳原さんは当初、容疑を否認していたが、取調べ中に亡き母親の写真を見せられ、刑事から「母親に申し訳ないか?」などと執拗に自白を迫られたことから、やってもいない犯行を「自供」してしまう。
 こうした取調べは柳原さんのケースだけではない。鹿児島県で公職選挙法違反に問われた12人の被告全員が無罪判決を受けた「志布志事件」でも、被告の半数が「自供」をしている。被告の一人は「刑事の調べはひどい。何も聞き入れてもらえず、夫婦で自殺を図った」と語った。
 「富山冤罪事件」の被害者、柳原さんは再審で無罪判決を受け、無実が証明された。しかし、彼が請求した取調官の証人尋問は却下され、誤った捜査の真相は明らかにならなかったばかりか、当時、懲役刑を下した裁判所も、自らの責任には触れなかった。
 「やってもいない罪を認めたのは、警察の大きな力を前に、自分で自分を殺す他なかったからだ」柳原さんはそう語る。しかし、無実が明らかになっても、柳原さんには納得できる説明も、謝罪もない。
 柳原さんは、春から新しい仕事につき、生活を建て直そうと必死だ。しかし、取調べから無実と知らされるまでの空白の日々は決して忘れることが出来ない。そして、「冤罪はまた起きる」と断言する。

〈取材担当・斉藤歩コメント)

 2007年1月19日、富山県警記者クラブのホワイトボードに一枚の紙が張り出されました。内容は「誤認逮捕事案に関して記者レクを開く」というもの。県警は当初、記者レク中のカメラ撮影を認めず、その時クラブにいた私は、集まった記者たちが撮影許可を迫る姿や、それを拒む県警の姿で、ようやく事の重大さに気付かされます。このやりとりの末、予定を大幅に遅れて始まった会見で発表された誤認逮捕の事実。「こんなことが本当にあり得るのだろうか」そんな単純な疑問のもと、居所の分からなかった柳原さんを探し、ようやく聞くことのできた実態は、想像を絶するものでした。柳原さんは無罪判決を受けた今も、心に「空白」を抱き続けています。「なぜ当時、誰も柳原さんを救うことができなかったのか」責任の一端は、今の社会を許してきた私たちにもあるのではないでしょうか。何か考えるきっかけになればと思います。


<番組概要>

◆番組タイトル

第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『「空白」 〜冤罪被害者のその後〜』

◆放送日時

2008年11月28日(土)深夜4時〜4時55分

◆スタッフ

プロデューサー
前谷善光(富山テレビ)
ディレクター
砂原宏昭(富山テレビ)
取材
齊藤 歩(富山テレビ)
構成
関 盛秀
ナレーター
齊藤茂一

2008年11月20日発行「パブペパNo.08-329」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。