2008.11.6

第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『先生は桃太郎〜障害者野球がつなぐ夢』
(制作:岡山放送)

岡山県にただ一つだけの障害者野球「岡山桃太郎」のエースの少年と仲間たちの心の交流を描くドキュメンタリー

<2008年11月8日(土)深夜3時5分〜4時放送>


 2008年11月8日(土)深夜3時5分〜4時放送の『先生は桃太郎〜障害者野球がつなぐ夢』(制作:岡山放送)は岡山県にただ一つだけの障害者野球「岡山桃太郎」のエースの少年と仲間たちの心の交流を描く。

(企画意図)

 岡山県にただ一つだけの障害者野球「岡山桃太郎」。このチームのエースは18才の少年、槙原淳幹くん。動かすことが出来る左腕だけで野球をつづけてきた。彼は、高校野球で全国制覇を成し遂げた実力を持つが、大学生になっても障害者野球を続けていきたいと願っている。そこには、槙原くんを家族のように思う人生の先輩や、彼にあこがれて努力する後輩たちがいた。槙原くんは、一つのボールを追いかけているこの仲間たちと、心のきずなをはぐくむ、心の交流を描く。

(番組内容)

 取材を担当した竹下美保アナウンサーは、約10年前、OHK岡山放送の代々女性アナウンサーが取材する「手話が語る福祉」というニュース企画を任された。身体に障害をもつ人たちの問題やがんばっている人を紹介する内容で、手話通訳をつけて放送するというものだった。竹下とカメラマンは、それぞれ手話を勉強しながら、障害を持つ人たちの取材を続けてきた。今回取材した、障害者野球「岡山桃太郎」も、そのニュース企画の取材対象として取り上げたのがきっかけ。約40人のメンバーの話を聞くと、それぞれに抱えている障害や事情はあるが、人間的に魅力のあるメンバーばかり。18歳のエース、槙原淳幹くんは、高校3年間は、学校の部活のためほとんど練習には出てこなかったが、歯切れのいい話し方と、礼儀正しさ、このまっすぐな少年を育てた家族にも竹下は興味をもった。
 両親は、障害者野球に入団するまで、槙原くんの取材をマスコミから一切断っていた。しかし、どうしても槙原くんの活躍を伝えたいと何度もお願いの手紙を書き、竹下たちが何を訴えて放送したいかを説明し、ようやく了解をもらってテレビで初めて取材を始められるようになった。
 障害者野球「岡山桃太郎」のメンバーは、決して若いとは言えない。70代の男性も、練習に顔をのぞかせては、応援や練習の手伝い、一緒にお弁当を食べて楽しんでいる。結成から24年、多くのメンバーが、高齢になっても岡山桃太郎で活動を続けている。そこには、何があるのだろうか?
 槙原少年は、健常者の中で野球を続け、十分通用するほどの実力を持っている選手だが、それでも障害者野球にこだわる訳、それはメンバーの背景を紹介することで描きたかった。
 自らの障害に加え、脳性マヒで一日中介助が必要な息子を持つ監督、一人暮らしを続け、「岡山桃太郎」を家族と呼ぶ男性、槙原くんにあこがれて、不自由な体で毎日こつこつと、練習を続けている後輩たち、そんな仲間たちと一つのボールを追いかけることで、槙原くんは知らず知らずのうちに、人生の目標や、夢、希望をつかんでいることを感じているのではないかと考えた。
 しかし、取材を通して、矛盾を感じることがあった。障害者野球をしている障害者は、障害者野球なんて呼ばないことだ。ただ、野球が好きで、野球が出来ることを喜んでいるだけ、健常者の両親などは、障害者野球の中で障害を乗り越える力を付けて欲しいと子ども達に願うが、障害をもって野球をしている槙原くんの意識にまったくそのことがない。彼らの野球を障害者野球と呼び、障害があることを声大きく言っているのは、健常者だけなのかもしれない。彼らに息苦しさを与えているのは、健常者なのではないか。
 同じ障害を持つ仲間たちの中で、障害があることなんて話にも出ない、岡山桃太郎は、彼らの心が開放される場所なのだ。
 カメラの前で敬語を使い律義な少年が、取材を通して、取材者の前で取り乱してみたり、最後には、敬語ではないインタビューで思いを語ってくれた…。

<ディレクター・ナレーション 竹下美保コメント>

 ドキュメンタリー制作は初めてで、特別な技術はありませんが、この作品に対する情熱は誰にも負けません。私でなければこの取材は出来なかったと自負しています。
 私の身内にも障害者がいます。障害者をもつ家族も、苦しみや悲しみを背負っていることを感じています。だからこそ、彼らの活躍を放送することで、その家族にも光をあててあげたいと言う気持ちで取材を続けていました。
 ニュース企画を何度か放送していく中で、私たちが制作した障害者野球の企画を事故後の病院のベッドで見て、わざわざテレビ局に電話を入れて、岡山桃太郎に飛び込んだ人がいることを知りました。微力ですが、私たちが取材を続けていることが、役に立っているのではないかと思える瞬間でした。取材現場で体験した感動や、涙、これからも純粋にこの思いを届けていきたいと考えます。


<番組概要>

◆番組タイトル

第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『先生は桃太郎〜障害者野球がつなぐ夢』

◆放送日時

2008年11月8日(土)深夜3時5分〜4時放送

◆スタッフ

プロデューサー
黒住祐介
ディレクター
竹下美保
構成
小林佐智子
ナレーション
竹下美保
撮影・編集
浦上順司
カメラ
鴨井 勝
大山賢太
橋本 敏
深水 誠
CG
加藤裕理
小幡珠希

2008年11月6日発行「パブペパNo.08-314」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。