2008.8.19

第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『心察
 〜医師と患者をつなぐもの〜』
(制作:岩手めんこいテレビ)

日本で初めて老人医療費の無料化をかなえた増田医師を通して、本当の医療とは何かを考えるドキュメンタリー

<2008年8月23日(土)深夜3時25分〜4時20分放送>


 第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『心察〜医師と患者をつなぐもの〜』(岩手めんこいテレビ)は、日本で初めて老人医療費の無料化をかなえた増田進医師の姿を通して、今の医療問題を検証してゆく。

(企画意図)

 岩手県沢内村(現・西和賀町)で、日本で初めて老人医療費の無料化をかなえた増田進医師。今は隣町の雫石町で開業し、自由診療を行っている。医師不足や新しい研修医制度、そして長寿医療制度の導入…。医療崩壊が叫ばれる中、地域医療に力を尽くし、患者と向き合い続ける増田医師を通して、本当の医療とは何かを考える。

(番組内容)

 「医師不足」「新臨床研修制度」「後期高齢者医療制度」…医療への不安をかき立てる数々の問題が、今実際に起きている。命を守る医師が少ない! 医師不足は新しく始まった新臨床研修制度にあるのか!? 後期高齢者医療制度の施行による不安は解消されるのか? 全ての医療・保健問題に疑問を抱き、全国的にも珍しい「自由診療」を始めた一人の医師がいる。
 増田進医師。50年前、豪雪地帯の岩手県沢内村で「老人医療費無料化」を日本で初めてかなえた人である。大学からの派遣医師として岩手の山奥にある「沢内病院」に来た増田医師を迎えたのは、医師への不信感をあらわにする村人の姿だった。病院に来る患者も少なく、医師も定着せず、まさに医療過疎の状態が続いていた。乳幼児・脳卒中の高齢者の死亡率が全国のトップ。更に目立った「病気に悩む老人の自殺」。増田医師はその状態に心を痛め、日々医療活動に励んだ。24時間体制の回診や生活・健康指導、人間ドックも始めた。「村人の為の病院」それを一番形づけたのが「老人医療費無料化」の実現。医師・病院への偏見は一気に無くなり、患者が増えた。結果、乳幼児死亡率も下がり、自殺も減った。「医療に大切なのは心だ!」その気持ちに応えるかのように、病院にはいつも、増田医師を慕い集まる村人で溢れかえっていた。しかし、増田医師が病院を引退してから9年経った今、沢内病院は医師不足と経営不振で存在が危ぶまれている。「もう一度増田先生に来て欲しい。」増田医師を求める声は消えない。
 現在、増田医師は沢内病院ではない隣町で「緑蔭診療所」を開業し針治療を行っている。「針は注射と違って副作用がなく患者に優しい」。それが始めた理由。そこに来る患者のほとんどが今の医療に疑問を持ち、見えない痛みに苦しんでいた人たちだった。長期入院で寝たきりが続いた人。長時間の手術を行った人…患者のほとんどが他の病院を転々とし、その結果、増田医師に行き着いたという。「色々な病院に通い続けたから増田先生の良さが判る。」患者は口々にそう言う。
 増田医師の治療の一番の要は「触診と対話」。自由診療は治療費だけでなく、治療の方法も自由だ。何時間かけようが患者と医者が納得すればいい。「痛い場所は見ただけでは分からない。患者と触れあい感じながら読み取るのが一番!」それが増田論。「緑蔭診療所」の待合室は病院とは思えない穏やかな空気と笑顔が溢れていた。「増田先生に会うだけでいい。生きる力がもらえる」。そんな患者が全国から訪れる。それは今まで院長をしていた「沢内病院」での尽力からきている。
 「老人医療費無料化」を日本で初めて実現させ、沢内のたくさんの命を救ってきた医師が開業した場所は、なぜ沢内ではないのか。なぜ沢内へ戻らないのか。医療だけでなく行政の在り方に反証し続ける増田医師の気持ちはどこまで届くのだろうか。1人の医師が半生をかけ訴え続けた「命の尊さ」。そして医療機関から無くなりかけている「心の診察」の意味とは…。番組では増田医師の貢献度をひも解きながら、今の医療問題を検証してゆく。

〈ディレクター・鎌田淑子のコメント)

 三十路で健康な私にとって、世の中を騒がせている医療問題は、番組ロケをスタートするまで“他人事”でした。しかし、増田先生と出会って一変したのです。老人医療費無料化をかなえたことは一つの結果で、そこに至るまで、そして持続させる努力…。“人”としてすごすぎ! そして今まで考えもしなかった医師の質の在り方を感じたのです。自分もしかり、家族や仲間が病気をした時、命を預けるのに不信感を抱いてしまうような医師だったら…。よく言われる医師不足ですが数が足りればいい訳じゃない! やっぱり安心できるお医者さんに病院にいて欲しいですよね。増田先生は言いました。「医師も患者も人です。大切なのは人と人との心が通じ合うことだ」と。この番組は、増田先生から教えてもらった“心のおすそ分け”です。


<番組概要>

◆番組タイトル

第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『心察〜医師と患者をつなぐもの〜』
(制作:岩手めんこいテレビ)

◆放送日時

2008年8月23日(土)深夜3時25分〜4時20分

◆スタッフ

プロデューサー
一戸俊行
野崎一裕
ディレクター・構成
鎌田淑子
ナレーター
榊原郁恵
撮影
加藤幸平
高橋直樹
浅沼淳一
川村広貴(メディアファースト)
MA
山内智臣
日吉 寛(CCファクトリー)
CG
本村真由美

2008年8月19日発行「パブペパNo.08-220」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。