2008.8.15

第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『イヌとバリケード
 〜過疎の人里に残された「未来」〜』
(制作:高知さんさんテレビ)

過疎の里で、その豊かさゆえに直面した深刻な鳥獣被害に苦心する人たちが取り組む姿を通して、野生動物たちと人間のあるべき関係、その「未来」を考えるドキュメンタリー

<2008年8月17日(日)深夜2時10分〜3時5分放送>


 第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『イヌとバリケード 〜過疎の人里に残された「未来」〜』(制作:高知さんさんテレビ)は、過疎の里で、その豊かさゆえに直面した深刻な鳥獣被害に苦心する人たちが取り組む姿を通して、野生動物たちと人間のあるべき関係、その「未来」を考える。

(企画意図)

 「サルを追う犬」と「金網のバリケード」。自然豊かな高知県で、その豊かさゆえに直面した深刻な鳥獣被害。過疎の里で、そこに暮らす人たちが取り組んだ2つの選択を通して、野生動物たちと人間のあるべき関係、その「未来」を考えた。

(番組内容)

 高知県の中西部に位置する高岡郡中土佐町の矢井賀地区。人口350人足らずのこの海沿いの小さな集落では、もう10年ほど前から野生のサルによる農作物被害に悩まされている。収穫間近の畑に現れては、人間が丹精込めて育てた野菜や果物を食い荒らすサル。住民たちの中には、耕すことをあきらめる人たちも出てきた。
 年々増加する被害をなんとか食い止めようと町は「サル去るプロジェクト」事業をスタート。その一環としてサルを追い払う犬・モンキードッグの導入を決め、平成19年8月には県内初の1号犬ヒカルがデビューした。さらに10月からは新たなモンキードッグとして、キナコとロックが訓練を始めた。
 キナコとロック、そして飼い主の小嶋夫妻と政岡さんの訓練や日常、傍若無人のサルたちの振る舞いや被害の実態、先進地長野県の取り組みなどを通し、野生動物の圧迫に右往左往する人間たちの現状を追った。
 また、近年、高知県ではニホンジカによる林業・農業被害も深刻化している。森林の面積が県全体の84%を占める日本一の森林県・高知。その森林で今、ニホンジカは適正生息頭数9千頭に対し、およそ4万7000頭が生息していると推測されている。
 県西部の愛媛県との県境付近、四万十市西土佐の山間部、下家地地区などでは、1キロ平方メートル当たり生息数30頭を超えるシカの過密地帯となっている。皮肉なことに、そこは人間の集落ではおしなべて過疎と高齢化に悩む地域だ。
 カメラは日没とともに人里に出没し、新芽や作物を食い荒らすシカたちを捉える。相次ぐシカ被害に対し四万十市西土佐の下家地地区の人たちが選択した方法はシカを山奥に追い払うのでは無く、自分たちが住む家や田畑、果樹など、人間の生存空間を金網で囲うという“逆バリケード作戦”の試みだった。
 人間がオリの中で暮らすようなこの状況は、住民にとっては苦悩の選択だったに違いない。しかし、それはかけがえのない自然との共存、次の世代に田畑を残すための手法でもあった。

〈ディレクター・小林一行のコメント)

 収穫間近になると畑を荒らしに来る野生のサル。夜になると新芽や作物を食べるため人里に近づくニホンジカ。
 「いる、いる、そこらじゅうにいる」 取材を始めた頃はピンとこなかったその言葉は、すぐに現実へと変わりました。サルを追う犬・モンキードッグ、生活空間をぐるりと囲む金網。2つの地域の姿を通して、豊かな自然に囲まれたこの高知県で野生動物たちと向き合いながら暮らす人々の今を伝えたいと考えました。


<番組概要>

◆番組タイトル

第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『イヌとバリケード 〜過疎の人里に残された「未来」〜』
(制作:高知さんさんテレビ)

◆放送日時

2008年8月17日(日)深夜2時10分〜3時5分

◆スタッフ

プロデューサー
林 寛
ナレーター
藤田ゆみ子
構成
鍋島康夫
ディレクター
小林一行
撮影・編集
川田卓史
撮影
岡林 聡
CG
服部淳一

2008年8月15日発行「パブペパNo.08-217」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。