2008.8.7

第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『合衆国のせんせい
 〜医師は病める人のものである〜』
(制作:テレビ宮崎)

「川南開拓地」でお年寄りたちの厚い信頼を得ている台湾出身の医師とその病院の姿を追うことにより、地域医療の現実を見つめ、またこれからの医療に必要なものを探るドキュメンタリー

<2008年8月9日(土)深夜2時50分〜3時45分放送>


 2008年8月9日(土)深夜2時50分〜3時45分放送の第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『合衆国のせんせい〜医師は病める人のものである〜』(制作:テレビ宮崎)は、「川南開拓地」でお年寄りたちの厚い信頼を得ている台湾出身の医師とその病院の姿を追うことにより、地域医療の現実を見つめ、またこれからの医療に必要なものを探る。

<企画意図>

 宮崎県川南町は日本三大開拓地の一つとして「川南合衆国」と呼ばれる。この町にお年寄りたちでにぎわう小さな病院があった。患者さんからの信頼は絶大。そんな合衆国のせんせいは台湾出身の医師。何よりも先生は患者とのコミュニケーションを大切にしている。
 診察で大切なのは常に患者の心の声に耳を澄ますこと…。小さな病院の一年を追うことで地域医療の現実、そしてこれからの医療に必要なものが見えてくる。

<番組内容>

 宮崎県川南町。昭和20年代、全国各地から開拓民たちが押し寄せ、荒れた大地を開墾したことから「川南合衆国」と呼ばれる町で、日本三大開拓地の一つでもある。この町にお年寄りが午前中だけで毎日100名以上押し寄せるにぎやかで小さなクリニックがある。病院名は「林クリニック」。院長先生は林嘉昌医師、61歳台湾名リン・ガチャン
 先生は台湾の薬学部を卒業し、一度は就職したものの医師への思いがあきらめきれず、ひとり27歳で海を渡った。長崎大学医学部に編入し31歳で医師国家試験に合格。その後大阪の病院に勤務していた先生は41歳で川南合衆国にやってきた。3年間の任期を終え、再び大阪に帰ろうとしていた先生は患者さんから人生を変える一言を言われた。
 「先生に死ぬまで診てほしい…」この一言で川南合衆国の大地に根を張ることを決めた。そしてこれまで小さな町で地域医療を支えてきた。
 救急医療の現場にもいた先生は整形外科、形成外科、内科、小児科など何でも診察する。しかし先生の人気の理由はその確かな腕だけでなかった。人を引きつける天性の明るいキャラクター、常に患者さんの心の声を聞こうとする姿勢、そして地域を愛する強い気持ち、そこには本来の医師と患者さんとの信頼関係があり「日本の町医者」という言葉すら連想させる。2008年4月には後期高齢者医療制度がスタートし、高齢者医療の現場は年々厳しい状況になりつつある。林クリニックに通院する高齢者たちの多くは膝や肩、腰などに痛みを伴う慢性的な疾患。完治することが難しいと分かっていてもお年寄りたちはわずかな年金から治療費を捻出し先生に会いにやってくる。なぜなら少しでも痛みを和らげ、少しでも健やかに暮らしてもらいたいと一生懸命治療する先生が好きだからだ。林先生には年に一度大切にしている行事がある。開院時に植えた桜の木の下で患者さんたちと愛でる花見。みんなが自宅から差し入れを持ち寄り、踊りながら歌いながらうららかな春の一時を過ごす。一年間健康でいられたことに感謝し、また来年も満開の桜を見られるようにみんなで願う。そこには今や失われつつある地域の姿までも見える。
 しかし今年は桜のつぼみを憂い顔で見つめる先生がいた。それは61歳になった自身の健康不安のためだった。2008年春、林クリニックの花見は実現できるのか…。小さな病院の今を見つめることで、地域医療の現実、そしてこれからの医療に必要なものが見えてくる。

<制作者のコメント> 阿部祐也ディレクター

 今回、主人公の林先生のキャラクターがとにかくすてきだった。一度薬剤師の資格を取っていたにもかかわらず医師を志し27歳で海を渡った勇気。その時もう二度と台湾には戻らないと覚悟したという。
 取材中よく先生に言われたこと…「今からでも本気になれば夢はかなうよ。」その言葉、説得力が違う…。
 それにしても先生は診察の時、とにかく会話を楽しむ。ただ話しているようで実は毎日の生活の中で患者さんが抱える不安や悩みを見逃さない。不安そうに語る患者さんにそっと触れる手、何気に見える先生の行動のどれを見ても愛に溢れていた。そしてそれが痛みを抱える患者さんにとっては何よりもうれしいことなんだろうと思う。あるおばあちゃんが言っていた。「他の病院じゃよ、先生とは話すらできんもんね。」今回の取材を通し、地域の医療に大切なものは何なのか…林先生から教えていただいたと思う。


<番組概要>

◆番組タイトル

第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『合衆国のせんせい〜医師は病める人のものである〜』

◆放送日時

2008年8月9日(土)深夜2時50分〜3時45分

◆スタッフ

プロデューサー
菅原正之(テレビ宮崎)
ディレクター
阿部祐也(テレビ宮崎)
構成
阿部祐也
撮影・編集
野村英雄(テレビ宮崎)
ナレーター
榎木田朱美(テレビ宮崎)
音声
中村 悠(テレビ宮崎)
音効
作田真由美(テレビ宮崎)
MA
清山 慎
広報担当
小玉亜樹(テレビ宮崎)
制作・著作
UMKテレビ宮崎

2008年8月7日発行「パブペパNo.08-208」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。