FNSドキュメンタリー大賞
最近、問題化している外国人技術研修生制度。人手不足に悩む日本の中小企業と、出稼ぎ目的で働きに来ている研修生たちが置かれている微妙な関係。福井の山里にある小さな工場から見えてくるグローバリズムとは?

第16回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品

『「互恵」の糸〜山里の中国人研修生を追って〜』

(制作:福井テレビ)

<2008年1月19日(土)深夜4時10分〜5時05分放送>

【番組の見どころ】


 外国人技術研修生制度は日本で3年間、働きながら学ぶ制度。人手不足に悩む中小企業にとって3年間は「確実に確保できる人材」、一方研修生にとって3年間は「確実に稼げる場所」だ。厚生労働省は今年5月、人道的見地から低賃金を改善し、日本人の高卒並みの給与に引き上げる方針を示した。しかし、番組内で登場する鋳物会社の社長は、それでは大企業を下支えしている中小企業はコストアップを迫られ赤字になり倒産、結果として日本経済自体が危ないと話す。研修生に頼っている中小企業の多くは、日本が世界と競争している自動車産業や繊維産業を支える協力会社だ。研修生制度というとトラブル報道に目がいきがちだが、トラブルだけを見ているとこの問題の本質はとらえきれない。

 番組は、福井市にある小さな縫製工場にスポットを当てた。工場で働く中国人女性の出身地の農村を訪ねることで、中国の「今」を取材。躍動する中国と言われる一方、格差と失業に苦しむ市民たちの状況を追い、なぜ研修生として日本を目指すのかを探った。そして日本国内では、人手不足に悩む日本の中小企業を取材。日本と中国、双方の事情を踏まえた上で、研修生側や中小企業側の思いを綴っていった。

 福井の山里にある一見誰も知らないようなプレハブ工場、そこから見えてくる近未来について考える。

【制作担当のコメント】


 山里にある小さな縫製工場。工場は70歳をこえた老夫婦の経営者と3人の中国人女性の技術実習生で稼動しています。なぜ過疎の集落にまで外国人実習生が来ているのか? 取材は素朴な疑問からスタートしました。最近よく耳にする「グローバリズム」という言葉。3人の中国人女性と老夫婦の生活に密着しカメラを向けていくと、それを読み解くカギが見えてきました。小さなプレハブ工場から見えるグローバリズムとは?
 番組では激動する中国の事情を踏まえつつ、日本の5年、10年先の姿について考えるきっかけになればと思っています。(城戸利仁ディレクター)


<スタッフ>

 プロデューサー 江端重政
 ディレクター 城戸利仁
 取材 耿 マ
 構成 高橋 修
 ナレーター 阪 脩
 MA スタジオ・ヴェルト
 音効 大根田祐士
 撮影 松田公明
 題字 吉川壽一
 CG 飛山美佐
 字幕 笈田明子

2007年12月28日発行「パブペパNo.07-362」 フジテレビ広報部