FNSドキュメンタリー大賞
富山県の射水市民病院で起きた延命治療中止問題は全国に大きな波紋を投げかけた。
番組では、人工呼吸器取り外しの中心とされた医師や関係者の証言をもとに
身近な病院で何が起きていたのかを探る。

第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品

『延命治療中止〜射水市民病院で何が起きていたのか〜』

(制作:富山テレビ)

<10月14日(土)深夜3時55分〜4時50分放送>

 富山県の射水(いみず)市民病院で起きた延命治療中止問題は全国に大きな波紋を投げかけた。「7人が死亡」と大々的に報道された問題だったが、実は死亡した患者それぞれの病室で何が起きていたのかは不明な部分が多い。
 10月14日(土)放送の第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『延命治療中止〜射水市民病院で何が起きていたのか〜』(制作:富山テレビ)<深夜3時55分〜4時50分>では、人工呼吸器取り外しの中心とされた医師や関係者の証言をもとに身近な病院で何が起きていたのかを探る。

(番組内容)

 今年3月、富山県の射水市民病院で入院患者の人工呼吸器が取り外され、7人が死亡していた事が明らかになった。患者は意識がなく、自発呼吸ができないため人工呼吸器によって生命を維持している末期の状態。取り外しを行ったとされたのは外科部長(50)だった。事態を重く見た病院は警察に報告。警察は殺人の疑いも含めて慎重に捜査を始めた。
 人工呼吸器の取り外しに代表される延命治療の中止は「消極的安楽死」と呼ばれ、薬物注射などで患者を死亡させる「積極的安楽死」とは区別される。しかし、「消極的安楽死」の犯罪性が争われた裁判はないのが現状だ。
 射水市民病院は外科部長と患者、そして家族の間でどんなやりとりがあり、何が起きていたのかは警察の捜査と個人情報保護を理由に明らかにせず、自ら踏み込んだ調査をする考えはないと言い切った。医療の世界は高い専門性があり、密室性も高い。真相は藪の中に置かれたのだ。
 取材を始めた富山テレビの記者たちはまず、一つのギャップに直面した。それは医療界の重鎮たちが外科部長の行動を「法に触れるおそれがあり、倫理的に問題がある」と指摘したのに対し、患者の家族は「外科部長は親身になって尽くしてくれた」と話し、市民は「家族が取り外しに同意したならば、問題はないのではないか」「延命治療など受けたくない」と話したのだ。これは患者側が問題の本質を理解していないためなのか? それとも医療を提供する側と受ける側の認識の違いなのだろうか?
 入社1年目の角田悠紀記者もギャップに直面していた。「7人を死亡させた」という医師像と、外科部長に診察を受けたという患者たちの評判があまりに食い違っていたからだ。口を閉ざす外科部長を説得し、単独インタビューにこぎつけた角田記者だが、「自然な死を迎えさせてあげたいという家族の意向を踏まえて人工呼吸器を外した」と語る外科部長の一言一言は自分の想像を超えた苦悩に満ちた世界だった。

 関係者の証言をもとに番組は展開してゆく。一つは「延命と救命の違い」だ。死亡した7人のうちの一人、50代の女性に人工呼吸器が装着されたのは去年3月。胃がんの切除手術を受け、療養中だったが、インフルエンザが悪化して頭の中に血液があふれ出す重篤な状態になったためだ。しかし、病状は好転せず、回復の見込みはなくなる。女性は前々からチューブにつながれて延命するのはいやだと話していたため、家族が人工呼吸器取り外しを依頼したのだ。
 外科部長は人工呼吸器を取り付けた理由を、単に生存日数を延ばすためではなく、救命目的に取り付けたものだったと語る。しかし、人工呼吸器に依存しているとはいえ、生きている患者の治療を中止する行為はどう、評価されるべきなのだろうか?
 射水市民病院の問題が明らかになり、医療の世界では終末期医療の何らかのルールの必要性が叫ばれる一方、画一の物差しで規定するのは危険だとする意見も上がるなど、少しずつ議論が高まっている。また、患者の側も、自分はどんな死を望むのかと考え始めた人も少なくない。
 医療の進歩によって、難病が克服され、寿命が延びるなど現代人は恩恵を受けている。その一方で、生と死のはざまの境界線は広がり、延命治療は境界線ぎりぎりのグレーににじんだ部分に立っているのだ。
 射水市民病院の問題をきっかけに何かが変わるのだろうか?

(制作者コメント)

 射水市民病院の延命治療中止問題について、公表から2ヵ月目に制作したのがこの番組です。普遍性が高いテーマ領域で苦悩したスタッフですが、逆に問題の本質は何なのかを見つめ直すきっかけになりました。まだまだ、問題の藪の中の実像は見えていない部分が多く、記者たちの取材は続いてゆきます。


<スタッフ>

 プロデューサー 杉谷和嗣
 ディレクター 砂原宏昭
 撮影 宮田博之
小島崇義
 取材 波多江良一
高長大樹
角田悠紀
 構成 関 盛秀
 制作 富山テレビ

2006年10月5日発行「パブペパNo.06-342」 フジテレビ広報部

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