男たちの世界といわれている花火の世界に日本でも数少ない女花火師がいた!
宮崎市在住の遠山朋子さん。朋子さんは花火のデザインから大会運営まで一手に引き受けている。朋子さんの夢は娘と二人で花火を打ち上げること。しかし、娘には東京でファッション関係の仕事に就きたいという夢があった・・・
朋子さんの花火を通して遠山家の家族の絆を描く。
第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『痛快!女花火師〜肝っ玉母ちゃんの夏〜』
(テレビ宮崎制作)
<11月6日(日)深夜2時25分〜3時20分> |
花火の裏方にあって、意外に知られていないのが花火師である。男たちの世界といわれているこの世界に日本でも数少ない女花火師がいた。
宮崎市在住の遠山朋子さん。朋子さんは花火のデザインから大会運営まで一手に引き受けていた。朋子さんの夢は娘と二人で花火を打ち上げること。しかし、娘には東京でファッション関係の仕事に就きたいという夢があった。驚愕する朋子さん。娘はそばに置いておきたい。しかし夢を叶えさせてあげたいという気持ちが交錯していた。
11月6日(日)放送の第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『痛快!女花火師〜肝っ玉母ちゃんの夏〜』(テレビ宮崎制作)<深夜2時25分〜3時20分>では、朋子さんの花火を通して遠山家の家族の絆を描く。
【内容】
夏の風物詩花火、夜空をキャンバスにして千変万化の彩りを描く光の芸術である。どれも見ている人を陶酔の世界へと誘っているようだ。開いては消えていく光の花々は美しくもはかない。花火大会の花火が一生の思い出になっている人もいるだろう。だが、その花火の裏方にあって、意外に知られていないのが花火師である。あの夜空に大輪の花を咲かせる打ち上げ花火の裏側はいったいどうなっているのだろう、そんなふとした疑問が今回取材にあたるきっかけとなった。
花火師の世界はまさに戦場、その過酷さから男たちの世界といわれ続けてきた。そんな中、男勝りの元気な花火師がいた。宮崎県宮崎市在住の日本でも数少ない女花火師・遠山朋子さん。花火に対する思いは人一倍熱かった。
朋子さんが花火と運命的な出会いをしたのは今から約30年前、明治時代から100年続く遠山銃砲店に嫁いだのがきっかけ。若い頃は「アイドルになりたかったの」と語る朋子さんが一発の花火を打ち上げた、その一発が朋子さんを花火師として目覚めさせることになった。以来、花火の虜になった朋子さん、持ち前の明るさとパワーで、今では花火大会のすべてを手がけるまでに。
花火大会の開催、そこには思った以上の苦労と時間を要していた。花火のデザイン、でき上がった花火の試し打ち、大会のプログラム作り、そして花火大会の準備。その裏にはいろんなドラマがあった。突然の雷雨、刻一刻と迫る本番までの時間、スタッフの男性陣に檄(げき)を飛ばす朋子さん。そんな苦労を観客は知るよしもない。一瞬の輝きは観客の思い出となって残るものの、花火師にはいったい何が残るのであろうか。一生その仕事に打ち込めば、人生には何かが残るものである。画家なら絵が、作家なら作品が…。しかし、花火師に残るものは一体何であろうか。記録もできない火の芸術を自分の手で描き、自分の手で消し去る。後には何も残らない芸術を命がけで打ち上げる。
朋子さんは言う。
「沸き起こる観客の歓声と笑顔が忘れられないから花火を上げ続ける」。女花火師としての誇りと心意気がそこにはあった。
そんな朋子さんを応援する一人の姿があった。娘の恵理佳さん(18才)。母親の大変な姿を見て育った恵理佳さんは、いつしか花火のデザインや大会の準備を手伝うようになっていった。朋子さんには夢があった。それは「将来、娘と二人で手作りの花火大会をしたい」というものであった。そんな母の気持ちと裏腹に恵理佳さんは「母はかっこいい、でも花火の仕事は汚れるし、疲れるし、私には無理」と母の跡を継ぐことに悩んでいた。
そして、ある日、娘の恵理佳さんから将来について驚くべき相談を受けた。それは東京にあるファッション関係の専門学校に行きたいというものだった。朋子さんは一度、東京に行ったら二度と戻ってくることはないと猛反対。娘と花火大会をという夢が遠のいていく。しかし、その一方で娘は娘の人生だから本人の行きたいところに行かせてあげたいという気持ち、朋子さんは葛藤していた。どこの家庭にもいつかは訪れる子供の巣立ち、朋子さんにもその時が間違いなく訪れていた。自分の夢を追いかけたい娘と子離れできない母親の姿がそこにはあった。
そんな時、二十歳になった東京の専門学校に通う長男の貴一君が夏休みを利用して帰省してきた。しかも花火師の免許を携えて。貴一くんは高校の時、荒れていた、そしてちょっとした事件を起こしていた。同級生にけがを負わせ、退学まで追い込まれていた。そんな時、母・朋子さんが相手の親に土下座までして謝罪した。その姿を見た貴一君は以来、母の偉大さ・存在を認めるようになっていた。
今年の夏、初めて家族4人そろって花火を打ち上げることになった。花火が取り持つ遠山家の絆、家族4人で打ち上げたこの花火も巣立って行く子供たちはいつまでも忘れないだろう。今年の夏も熱く懸命に生きる女性花火師と家族の絆に迫る。
【制作担当コメント】
花火の現場を初めて見た、それはまさに戦場の一言につきる。当初、この現場の凄さを伝えたいと取材に取り掛かっていた。しかしこの取材を進めるうちに、実は家族の絆というテーマがあるのでは? ということに気付くようになっていった。どこの家庭にもいつかは訪れる子供の巣立ち、子離れできない親の姿。私ごとではありますが、我が家にいる小学生もいつの日か巣立って行くのか、そう思うと遠山家と自分がだぶって見えてきて、とても他人事には思えなかった。小さいお子さんをお持ちのご家庭が、この番組を見て少しでも子供の気持ち・存在をあらためて考えてもらえるきっかけになってもらえれば幸いです。
【番組制作スタッフ】
ナレーター |
柳田哲志 |
撮影・編集 |
立光正明 |
音声 |
泉岡浩明 |
音響効果 |
作田真由美 |
MA |
清山 慎 |
タイトル |
掘北益加 |
美術 |
緒方成治 |
映像アドバイザー |
鬼塚 寿 |
AD |
馬原弘樹 |
ディレクター |
立光正明 |
プロデューサー |
菅原正之 |
制作 |
吉田啓之介 |
制作・著作 |
テレビ宮崎 |
2005年11月2日発行「パブペパNo.05-379」 フジテレビ広報部
|