FNSドキュメンタリー大賞
1人の英語教師が今、全国から脚光を浴びている。
島根県の公立中学校に勤めている田尻悟郎先生は、
ニューズウィーク誌の「世界のカリスマ教師100人」の1人に選ばれた。
また英語教育界の最高の栄誉であるパーマー賞も受賞している。
この番組では、国の施策として行うべき英語教育改革が
地方で活躍する教師の手によって始まろうとしていることを伝える。

第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『カリスマ教師が行く〜英語大好き人間養成計画〜』

(山陰中央テレビ制作)

<11月3日(木)3時18分〜4時13分【11月2日(水)27時18分〜28時13分】放送>

 読めても話せない、書けても聞き取れない日本人の英語。中学、高校と教育を受け続けていながら、英語できちんと外国人に対応できる日本人は、驚くほど少数である。
 こうした中、1人の英語教師が今、全国から脚光を浴びている。島根県の公立中学校に勤めている田尻悟郎先生は、ニューズウィーク誌の「世界のカリスマ教師100人」の1人に選ばれた。また英語教育界の最高の栄誉であるパーマー賞も受賞している。
 田尻先生の授業からは、これまでの英語教育の基本が、今や時代に取り残されていることがうかがわれる。
 第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『カリスマ教師が行く〜英語大好き人間養成計画〜』<11月3日(木)3時18分〜4時13分【11月2日(水)27時18分〜28時13分】放送>(山陰中央テレビ制作)では本来、国の施策として行うべき英語教育改革が地方で活躍する教師の手によって始まろうとしていることを伝える。

【プロローグ】

 なぜ、日本人は英語が苦手なのか。
 中学、高校、さらに大学と10年間も教育を受けながら、英語できちんと外国人に対応できる日本人は、驚くほど少数である。
 日本人が英語を話せない理由については、これまでもさまざまな論議が続けられてきた。文部科学省はじめ、教育者の間では研究され尽くした感もあるこの問題、さまざまな試行錯誤を続けている間にも、世界のグローバル化は進展し、コミュニケーションツールとしての英語は益々、重要性・必要性を増している。
 にもかかわらず、日本の中学生、高校生は、相変わらず英語に苦手意識を持ち続けている。

【特区制度で】

 特区制度。小泉内閣の元で、構造改革の一環として始まったこの制度の中で、教育特区も全国で認定が相次いでいる。
 中でも国際人育成を目的に、英語教育特区の認定を受けているのは全国で40箇所を越え、特区指定により、小学校でも英語を教えることができるようになった。
 群馬県太田市の「ぐんま国際アカデミー」もその中の1つ、授業の多くが英語で進められるこの学校、初めての生徒を受け容れたこの春、入学希望者が相次ぎ、大変な難関となった。
 日系ブラジル人の多いこの街で、国際的視野を持つ人間を育てたいと、市長の肝いりでこの春、開校に漕ぎ着けた。
 そこで行われている授業は、これまでの英語の授業とは一線を隔すユニークなものだった…。

【島根の教師が】

 こうした中、1人の英語教師が今、全国から脚光を浴びている。
 島根県の公立中学校に勤めている田尻悟郎先生は去年、ニューズウィーク誌が選んだ「世界のカリスマ教師100人」の中に選ばれた。
 日本英語教育界の最高の栄誉であるパーマー賞も受賞している。田尻先生が勤めていた学校で、ある年、中学3年生が英語検定試験、英検に大量の合格者を出したことから、教育界で一躍注目を集めることとなった。
 一体、田尻先生は何を変え、英語教育をどう位置づけようとしているのだろうか。既成概念に捕われない、ある意味、過激とも言える田尻先生の授業からは、指導要領、教科書といった、これまでの英語教育の基本が、今や時代に取り残されていることを物語っている。
 大切なことはまず、英語を好きになることと田尻先生は言う。
 読めても話せない、書けても聞き取れない日本人の英語。本来、国の施策として行うべき教育改革が、今や全国の地方都市、また地方で活躍する教師たちの手によって始まろうとしている。

【田尻授業は芸術】

 広島大学大学院の柳瀬先生は、英語教育学を研究している中で田尻先生の授業と出会い、衝撃を受けたという。
 教科指導と生徒指導という、教師が担う二つの大きなテーマを、見事に両立しているのが、田尻先生の授業だという。ある時はエリック・クラプトンの曲を聞かせ、あるときは一枚の写真を見せ、子供たちの情感をくすぐる田尻クラスの授業。
 柳瀬先生は、授業で生徒たちを感動させ、講演会では集まってくる全国の英語教師を感動させる田尻先生の英語授業は、まさしく芸術だと断言し、芸術論の観点から論文にまとめている。
 大学院の研究者が、地方の公立中学の先生に、最大限の評価を与えた論文でもある。

【昌子成人プロデューサーのコメント】

 番組の撮影で、田尻先生の授業や講演会などを数多く取材しましたが、取材に携わったスタッフのほぼ全員が「この先生に英語を習っていたら、人生が変っていたかも…」と感想をいいます。
 スタッフ自身も英語を長年勉強し続けているにもかかわらず、英語が話せないのはなぜだろう、という疑問をもっていた中で、田尻先生の授業の一端に触れただけで、疑問の1つが解けたからかもしれません。
 田尻先生に3年間、英語の指導を受けた島根の子供たちは今、大学生になろうとしています。
 この教え子たちが、この先、国際化が進む日本の中でどんな活躍を見せてくれるようになるのか、地元放送局の番組担当者として、またひとつ、とても楽しみなフォローすべき事柄が増えました。


プロデューサー 昌子成人(山陰中央テレビ)
ディレクター 平木葉子(山陰中央テレビ)
MA 宮地 亨(ギャラック・レイ)
ナレーション 枡田史子

2005年10月18日発行「パブペパNo.05-347」 フジテレビ広報部