劇団演技者。 BACKNUMBER ナーバスな虫々
原作・脚本:黒川麻衣 × 座長:佐藤アツヒロ × 演出:納戸正明

恋人・藻呂芽依子に別れを告げられた主人公・積田理科夫。
理科夫は音信の途絶えた芽依子からの連絡を日がな一日待ち続けていた。
部屋を引っ越すとヤケを起こしたかと思えば、芽依子との思い出の品を胸に泣き沈む。
そんなナーバスそのものの理科夫の部屋に、次々と現れる親友、妹、隣人、部屋を下見に来た2人組。
彼等が持ち込む新たな問題。
そんな中、理科夫のナーバスは加速していく…

不器用で“ナーバス”な主人公にふと垣間見える“切ない想い”
“愛”?“友情”? ウソで本当、ホントウで嘘、可笑しくて、哀しい、風変わりな恋愛模様

■ 第1話 ■ (2006年2月15日 00:58〜01:28)

赤いソファ、市松模様の床、巨大なパンダのぬいぐるみ、鮮やかな色彩に囲まれたリビング。そこには誰もいる気配が無い。部屋に入ってくる積田捺枝。
「ちーす、……お兄ちゃん?」
とその時、雑然としたテーブルの上にある携帯電話が鳴った。ソファとテーブルの狭間から伸びた手が携帯を取る。この部屋の住人、フリーライターの積田理科夫である。出る前に切れた電話に絶望的な顔つきの理科夫。と、そこへ仕事仲間の珠井妃価子が入ってくる。理科夫に次の仕事の資料を届けに来たのだ。出かけようとする捺枝に、理科夫はタマネギを買ってきて欲しいと頼んだ。

恋人・藻呂芽依子に突然の別れを告げられた理科夫は、日がな一日、芽依子からの連絡を待っていた。何事も手につかない状態の理科夫を心配する妃価子が睡眠を摂るよう促すと、理科夫は睡眠薬が切れたと答える。妃価子は理科夫が常用している睡眠薬を買いに部屋を出て行く。

寝室で芽依子との思い出の写真を見ている理科夫。感極まり、思わず持っていた煙草と共に写真を投げ捨てる。リビングに戻ると再び携帯電話が鳴る。相手は不動産屋で、部屋の更新についての用件だった。理科夫が勢いにまかせ、部屋を更新しないと伝えると、部屋の借り手が下見に来るという。戻ってくる妃価子。どうやら本人じゃないと薬は買えないらしい。と、焦げ臭い匂いに気付く妃価子。2人が寝室に向かうと、ベッドが燃えている!! うろたえる理科夫をよそに、妃価子はバケツに汲んだ水をかけ、消火する。ため息まじりの妃価子。理科夫は燃え残った写真を手に肩を落とす。ふと、携帯に留守電が入っていることに気付き、再生する理科夫。
「もしもし……あの、今日、荷物取りに行こうかなって思って電話したんだけど……」
芽依子からであった。火事のドサクサに紛れ、電話に出ることができなかったことを悔やむ理科夫。妃価子は消沈の理科夫を慰め、薬を買いに行くよう促す。
部屋に戻ってきた捺枝が焼け焦げたベッドを見つめる。兄のしでかした火事に捺枝は呆れ顔である。捺枝の携帯にメールが着信。彼からのメールかと思う妃価子だが捺枝は「お友達」とごまかした。薬と郵便物を手に帰宅する理科夫。妃価子と捺枝はダイレクトメールのセール広告を見て、ショッピングに出かけた。

キッチンでタマネギを切る理科夫。タマネギの味噌汁は芽依子の好物だった。芽依子との思い出が甦り、思わず涙ぐむ理科夫。と、いつの間にか隣に住む風俗ライターの破戸山がソファに座っていた。驚く理科夫に自分の記事が書かれた掲載誌を差し出す破戸山。とりとめの無い会話の後、破戸山は部屋を出て行った。
出来上がった味噌汁を飲む理科夫。睡眠薬を飲み、味噌汁で流し込む。その時、携帯に着信が。芽依子からだった。緊張の面持ちで電話に出る理科夫。芽依子は部屋に置いたままの黄色いシャツを取りに来ると言う。「今、どこにいるの?」と問う理科夫に「家にいる」と嘘をつく芽依子。実は今、付き合っている右近と喫茶店にいたのである。味噌汁を勧める理科夫に芽依子は飲むことを約束して電話を切った。スタンドハンガーに掛かっている芽依子の黄色のシャツを抱きしめる理科夫。理科夫は衝動的に味噌汁の中にありったけの睡眠薬を入れた。

買い物を終えた妃価子と捺枝が帰宅する。理科夫はベッドで安眠している。理科夫を悩ませる芽依子の存在に思いをはせる2人。妃価子は思わず「かわいくないといいな」とつぶやいた。インターホンが鳴る。現れたのは部屋の下見に来た揚平と唯介だった。突然の引越し話に驚く捺枝。楊平と唯介の不遜な態度にイライラを隠せない捺枝は、ささいな事から妃価子と口論になる。その場に居たたまれなくなった揚平と唯介は切れたコーヒーを買出しに部屋を出て行った。再び鳴るインターホン。妃価子がドアを開けるとそこには芽依子が立っていた。そんなことに気付くはずも無く、理科夫は眠り続けている。

■ 第2話 ■ (2006年2月22日 00:58〜01:28)

理科夫が寝室で眠り続けている間に現れた藻呂芽依子。芽依子が理科夫は何時に戻るのかと尋ねると、妃価子と捺枝は煮え切らない答えを返し、理科夫が隣の寝室で寝ている事を隠している。理科夫が元気でいるかどうかと問う芽依子に、そんな訳ないと答える捺枝。捺枝は2人の関係を明確にせず、しかも自分のことしか考えていない芽依子に嫌気がさしている。妃価子は理科夫が芽依子に会いたがっている事を伝えるが、芽依子はどうも気まずそうにしている。
芽依子「理科夫君はずっとやさしくしてくれましたし…私がそれに慣れちゃったのが悪いっていうか…フッと私、余裕あるなって…普通付き合ってたらそんなの感じないはずなのに。たぶん…お互いに続けていく努力をしなくなってたのかなと……」
と、突然、捺枝が芽依子の頬を打った。そんな捺枝の頬を打つ妃価子。張り返す捺枝。つられて妃価子が芽依子の頬を打つ。言葉では伝えられない感情が爆発した。芽依子は自分の気持ちが整理できないため、理科夫と冷却期間をおきたいと言う。
妃価子「それまで理科夫をこのままにしとくの?」
芽依子「理科夫君を傷つけたくないんです…」
そこに、マンションの部屋を一軒一軒周り、芽依子を探していた右近が飛び込んできた。右近に理科夫の部屋を「友達の部屋」と答えた芽依子のずるさに、捺枝は思わず部屋を飛び出す。理科夫に会ってほしいと食い下がる妃価子だったが、芽依子は右近と共に部屋を後にする。

リビングに1人残った妃価子がぼんやりしていると、パジャマ姿の理科夫が起きてきた。芽依子からの電話があったかどうかを確認する理科夫に、電話はなかったと優しい嘘で答える妃価子。妃価子は気分を紛らわすため、屋上へ洗濯物を干しに行こうと理科夫を誘う。

マンション屋上。洗濯物を干し終え、ベンチに座り満足気に缶ビールを飲む理科夫と妃価子がいる。青空を見つめながら、他愛のない会話を繰り返す2人。
妃価子「あー、毎日がエブリデイだといのになぁー!」
ほんの少しだけ幸せな時間が2人を包んでいる。

リビングには買い物から帰ってきた揚平と唯介がいた。部屋の家具や壁の採寸をしたりしている2人。唯介が買ってきたコーヒーを入れ始めると、そこに買い物を終えて捺枝が帰ってきた。捺枝は帰ってくるなり寝室に篭もる。しばらくすると、買ってきた新しい服に着替えた捺枝が戻ってきた。機嫌の悪い捺枝をなだめるように、その衣裳を褒めまくる揚平と唯介だったが、捺枝のイラつきは収まらない。そこに、酒に酔い陽気になった理科夫と妃価子が戻ってきた。理科夫は、部屋の下見にきた揚平、唯介と意気投合。皆で酒を飲むことに。昼間から酒を呷る自分たちを自堕落でいいと言いながら盛り上がる理科夫。つまみが欲しいと言い出した唯介は、キッチンに向かう。
唯介「捺枝さん、味噌汁うまいっすよ…」
理科夫「味噌汁……?」
理科夫がつぶやいたが、時すでに遅し。唯介は深い眠りに入ってしまった。
と、そこに、トイレの便座が外れてしまったと、入ってくる破戸山。
「唯介?おい、唯介?」「おーい、起きてー」と、唯介を心配する一同。
顔が青ざめる理科夫。その光景を不思議そうに見つめる破戸山だった。

■ 第3話 ■ (2006年3月1日 01:13〜01:43)

睡眠薬入りの味噌汁を飲んでしまった唯介は、リクライニングチェアで眠ったまま。そんな唯介を見つめている揚平、妃価子、捺枝、破戸山。一堂は唯介を心配しながらも、さすがに死にはしないだろうと、どこか興味津々である。そこへ、寝室から派手なスーツで正装した理科夫が戻ってくる。味噌汁に薬を入れてしまったことを悔い、誠意を示そうと着替えたのだ。妃価子に自分の部屋との間取りの違いを説明する破戸山。妃価子、捺枝、揚平は破戸山の部屋を見学しに行く。
取り残された理科夫。ふと眠っている唯介が目に留まる。唯介の握っていた味噌汁のお椀を手に取り、見つめる理科夫。芽依子の面影が頭をよぎる。と、その時、妃価子がモノポリーをやろうと理科夫を誘いに来た。唯介を残し、部屋を後にする2人。

破戸山の部屋でモノポリーに興じる一同。ゲームに負け破産した捺枝はイジケて理科夫の部屋に一人舞い戻る。捺枝の携帯が鳴る。相手は友人の女性。どうやら捺枝はその友人と二人暮らしをするつもりらしい。しばらくして、同じく破産した理科夫が戻って来る。ネオンに照らされた薄暗い部屋の中、兄妹の静かな会話が交わされる。
捺枝「遠いところにでも行こうかな…」
理科夫「どうせ行かないよ…お前はいつも言ってるだけだからな・・・」
捺枝「…お兄ちゃん、…私さ」
とその時、走りこんで来る妃価子。
妃価子「破戸山さんたちが!ビデオ!ビデオ!」
破戸山の部屋では、棚の上のダンボールが今にも崩れ落ちそうなのだ。部屋を出て行く理科夫と妃価子。1人残った捺枝は携帯電話のメールを確認する。画面には『俺が悪かった。やっぱりお前の鎖骨が一番だよ』という文字。捺枝は『朝起きたら鎖骨がなくなっていました。ごめんなさい。さようなら』と返信する。

破戸山の部屋。理科夫が駆けつけるも、時既に遅く、破戸山と揚平は部屋中に散乱したアダルトビデオ(AV)を拾い集めていた。AVの話題に盛り上がる一同。捺枝もやって来てその会話に加わる。破戸山お薦めのAV観賞会をする事となるが、どこか冷めて傍観している妃価子は部屋を出ていく。

理科夫の部屋に戻った妃価子、その後に続いて入ってくる揚平。よそよそしさの中にも、揚平は妃価子に対してただならぬ思いがあるようだ。と、そこへ突然、芽衣子を探しに右近が飛び込んできた。右近の存在を理科夫に知られてはまずいと、妃価子は右往左往。戻って来た捺枝もあたふたとしている。揚平は訳が分らず、妃価子に言われるがまま、ソファの後ろに右近を隠し、その口をハンカチでふさいだ。戻って来る理科夫と破戸山。妃価子と捺枝は必死の形相で理科夫を再び破戸山の部屋へ連れ出す。訳も分らないまま置き去りにされる破戸山、揚平、右近。どうにも微妙な空気が3人に漂う。

破戸山の部屋で何やら物色を始める妃価子と捺枝。そんな2人を呆れ顔で見ている理科夫。
捺枝「『左半身の刺激は右脳に影響する。だから歩く時は必ず彼女の左側を歩いて左耳にささやけ』だって」
2人は男性雑誌の恋愛特集に夢中である。ふらりと戻って来た破戸山を強引に連れ出す妃価子。残った捺枝は再び雑誌を見ている。
捺枝「『別れを切り出されたらとりあえずすがりつけ』だって…すがりつくといいらしいわよ…やってみたら?」
理科夫に皮肉っぽく問いかける捺枝。
捺枝「電話もメールもこないわよ、きっと…」
理科夫「何でお前にわかるんだよ」
捺枝「わかるわよ、だってさっき別れたばっかりだもん……別れたい女は音信不通になるもんよ…だからもう諦めな、お兄ちゃん」
理科夫「うるさい!」
感情的になった理科夫が、ダンボールの中のAVを部屋中にぶちまける。捺枝の制止する声も耳に届かない。

■ 第4話 ■ (2006年3月8日 00:58〜01:28)

理科夫の部屋。妃価子に押し戻され、床に倒れこむ破戸山、揚平、右近。外からは言い争いをする理科夫と捺枝の声が聞こえる。右近を隠そうと妃価子はその口をふさぎ、寝室へ引きずり込んだ。身動きがとれないよう、ロープで縛られる右近。理科夫を一同は外に連れ出そうと外食に誘うが、理科夫は乗り気ではない。と、その時、寝室からかすかに聞こえてくる物音。あせる捺枝たちはそっと寝室へ向かい、右近をさらにきつく縛り上げた。

リビングに取り残された理科夫と妃価子。落ち着きを取り戻した理科夫は芽依子との関係に終りが近づきつつあるのを感じ、肩を落とす。思わず理科夫の手を握る妃価子。その瞳には、ほのかな想いが宿っている。「顔を洗ってくる」とリビングを後にする理科夫。寝室から戻って来る捺枝たち。妃価子は何かを振り払うかのように、皆で食事に行こうと明るく振舞う。戻ってきた理科夫も一緒に食事に行くと聞き、少し救われた気持ちになる妃価子。二人が皆のあとを追い、部屋を出ようとしたその時、玄関に芽依子が立っていた。その場に居たたまれない妃価子は、二人を残し去っていく。

どこかよそよそしい会話の理科夫と芽依子。他愛の無い会話に耐え切れず、芽依子が部屋を立ち去ろうとしたその時、寝室からうめき声が聞こえる。縛られている右近に驚く二人。事情を聞き、心配する芽依子だが、当の右近は初めての体験にどこか嬉しそう。他の人々が食事に出ている事を知り、露骨に悔しそうだ。帰ろうと言う芽依子だったが、右近は「帰りたくない」と頑なに拒否し、興奮のあまりキッチンから包丁を取り出すと、リクライニングチェアに寝ている唯介の首元にかざした!妃価子たちに連絡を取るよう要求する右近に、理科夫はしぶしぶ応じる。

もんじゃ焼き屋では捺枝、破戸山、揚平が楽しげにもんじゃ焼きを頬張る。一人、思いつめた表情の妃価子。妃価子の携帯電話が鳴る。急いで戻ってきてほしいと切望する理科夫に、妃価子は力なく「…わかった」と答える。その表情にせつなさが宿る。

リビングでは。「まあ、ゆっくり待とうよ、人質気分で」という理科夫の楽観的な言葉に、人を傷つけるつもりの無い右近も楽しげな様子。芽依子はそんな二人を複雑な面持ちで見ている。皆で動物園に行こうと一人盛り上がる右近。そんな右近に芽依子は語気を荒げる。
芽依子「みんなでなんか行かないの!いいじゃない二人で行けば!それとも私と二人じゃ嫌なの?」
右近「…いっつも二人じゃつまんないよ……さっきみんなといて思った。…僕…大勢がいいや」
右近は芽依子との関係に限界を感じていたのである。

もんじゃ焼き屋。妃価子の携帯が鳴っている。食事を終え、満腹感に苦しそうな捺枝たち。ただ一人、妃価子は鳴っている携帯には目もくれず、黙々と食べている。その瞳から一筋の涙がこぼれる。

電話を切る理科夫。理科夫はもんじゃ焼き屋の道順を教えると、右近は嬉しそうに部屋を後にする。とり残され、呆然としていた芽依子が、意を決したようにつぶやく。
芽依子「ああ、やっぱここが落ち着くなあ…」
更に部屋の模様替えをしたいと続ける芽依子に理科夫が言う。
理科夫「じゃあね……」
自分の置かれた状況を理解した芽依子は静かに部屋を出て行く。と、その時、眠っていた唯介が目を覚ました。何かを吹っ切った理科夫は、唯介に引越しをやめたと告げる。2人はソファに座り、唯介は今まで見ていた夢の話をし始めた。暫くすると携帯電話に着信。
「もしもし?」
清々しい表情で電話に出る理科夫がいた。

■ キャスト
積田理科夫せったりかお/フリーライター
…………………………………………………… 佐藤アツヒロ
珠井妃価子たまいひかこ/理科夫の友人
………………………………………………………… 吉岡美穂
積田捺枝せったなえ/理科夫の妹
…………………………………………………………… さくら
泊 唯介とまりただすけ/部屋を下見に来た2人組
………………………………………………………… 桐谷健太
荒巻揚平あらまきようへい/部屋を下見に来た2人組
………………… 多田淳之介(動物電気/東京デスロック)
藻呂芽依子もろめいこ/理科夫の恋人
……………………………………………………… キタキマユ
宇近 偲うこんつとむ/芽衣子が恋心を抱く男性
………………………………………………人見英伸(iOJO!)
破戸山 寛はどやまひろし/理科夫の隣人
………………………………………………………… 板尾創路
■ 原作・脚本 黒川麻衣とは
明治大学文学部(演劇学専攻)入学後、演劇・映像サークル「騒動舎」に参加。
1992年プロデュース・ユニット「iOJO!(オッホ)」を結成、95年劇団化。
オッホとは、スペイン語で「注目」もしくは「注意しろ」という意味。
現代という生き難い時代の中で浮遊する人々をシニカルに、サラリと描く。
その醒めた眼差しの奥に隠された深い洞察力の元、鋭い観察眼を武器に、繊細な心理描写とドライな笑いを織り交ぜていく作風が特徴。
劇団外活動としてはENBUゼミナール講師の他、長井秀和単独ライブの構成・演出、桜美林大学パフォーミングアーツ(通称OPAP)にて公演を行なうなど、幅広く活動。
今後の活躍が期待される注目の作家である。

戻る
フジテレビホームページをご利用される方へ