劇団演技者。 BACKNUMBER 男の夢
原作・脚本:三浦大輔 × 座長:生田斗真 × 演出:大根 仁

地方都市。さびれたカラオケボックスに、彼らはいつもたむろしている。
ただ、だらだらと過ごす彼らの今日の話題は、ホントにちっぽけな“男の夢”
「女の子としたい!!」
偶然現れた女の子たちを前に、ついに彼らの“夢”が果たされるのか?

けだるい日常に埋没する若者達の“欲望”と“裏切り”そして“笑い”
“男の夢”に翻弄される若者達のナイーブな心情を“リアル”に“赤裸々”に描く青春群像劇。

■ 第1話 ■ (2006年1月11日 01:18〜01:48)

1月20日 PM7:15。
とある地方都市。カラオケ店の一室。大学のカラオケサークルに集う山崎、石井、浅野、宮本、西村、和田が、まったりとした時間を過ごしている。彼らはいつもこの店に入り浸り、他愛の無い会話をしながら怠惰な日々を過ごしている。T-BOLANの「離したくない」を熱唱している山崎。他の人たちは山崎の歌にあまり関心が無い様子である。山崎が満足げに歌い終わると、採点機が回り始めた。どうやら100点が出ると1万円の賞金がでるらしい。「お、いったか、いったか」出た数字は76点。この数字に自分でツッコむ山崎の姿に、他のみんなは爆笑。山崎は賞金目当てで採点機にお金をつぎ込んでいる。さらに次の曲を入力する山崎。イントロが流れ、歌い出した瞬間、曲をストップさせる宮本。歌を途中で遮られた山崎の姿に他のみんなは大受けである。
この騒ぎの中、宿題をしている石井。それをやらないと教授がキレるらしい。そんな石井にちょっかいを出す宮本と浅野に石井は後輩であるにもかかわらず、タメ口をきいたりしている。取得単位の話題になると、なんと宮本の単位数は12。宮本は大学を辞めて映画監督になりたいらしく、皆に映画の構想を熱弁する。どこか話題について行けてない無口な西村。何年も留年している和田は彼らの先輩格として落ち着いた風情である。他の皆は何かと和田に気を使っているようだ。

女の子とやりたいと言い出す浅野を受けて、石井がヤリコンしましょうか?と提案。皆はノリノリで話を聞く。「今から呼びます?」と言い出す石井に皆、期待と緊張の入り混じる微妙な雰囲気。今着ている服のセンスについてとか、大学名を明かさないほうが後腐れが無くていいとか好き勝手言っている。石井が電話をすると相手は留守で、あらためて明日やろうという事に。

フロントから退室10分前のコールがある。皆が明日のヤリコンに期待しながら帰り支度をする中、山崎が最後の一曲を入力。イントロが流れ、山崎が歌いだした瞬間、再びリモコンで曲を停止する宮本。大爆笑の皆をよそに、山崎がふてくされている。山崎の選曲に難癖をつける宮本に山崎がキレる。怒りに任せて部屋を飛び出した山崎をネタに笑っていると、自転車の鍵を探しに山崎が戻ってきた。再び部屋を去ろうとする山崎に宮本が謝罪をする。最近の山崎はおかしいと、その理由を問いただした宮本に山崎が答える。
「俺さ、最近、トラウマ抱えてて…けっこうやべーんだ。1日8時間ぐらいしか寝れねーし…なんか欝に入りやすいっていうか…早くトラウマ克服して、みんなと普通に付き合いたいんで…」
何故打ち明けてくれなかったのかと、宮本からの優しい言葉が掛かる。気を利かした浅野がさっきの曲を再度入力し曲が流れるが、山崎は歌おうとしない。何故かその曲を気持ちよさげに歌いだす和田。皆が山崎を見ると、山崎も口ずさんでいるようだ。そんな姿に気付いた和田が山崎にマイクを差し向けると、サビのフレーズが微かにスピーカーから聞こえてきた…。

■ 第2話 ■ (2006年1月18日 00:58〜01:28)

1月21日 PM7:40。
一夜明けたカラオケ店。入り口には夜なのにサングラスを掛けた山崎が店に入ろうかどうしようか迷い、入り口の前を行ったり来たりしている。

カラオケボックスの一室ではカラオケに飽きた石井と浅野がダラダラとしゃべっている。
映画監督を目指すと言っていた宮本がいないのをいいことに、悪口を言い合っている。
石井「つーか今日持ってきますよ、ビデオ。あれぜってーほとんど見てませんよ。こういうの見てんぞって自慢したいだけっすよ」
調子に乗った石井の言葉はいつしかどんどんタメ口に…。ふらりと現れる宮本。その手には新たに借りられたレンタルDVDの束がある。嫌味っぽく昨日見た映画を面白かった順に教えろという石井に宮本は「あれ全部見たわけじゃないから」と正直に告白する。

別の一室では、女性のみのグループ、横山、武田、野口、田村の4人が会話している。どこか浮いている横山がこっそりその場を離れトイレに向かう。その道すがら、フロントの店員と目が合う横山。その目に妖しい光が宿っている。

浅野が昨晩のブチ切れた山崎を皮肉っていると、当の山崎が入ってきた。どこかよそよそしい空気が流れるが、山崎の他愛の無い話から話すタイミングを見出した彼等は、今度はサークルの年長者である和田の話題で盛り上がっている。どうやら皆、和田の事が苦手のようだ。そんなところへ現れる和田。和田もどうも自分が周りから気を使われている存在である事に気まずさを感じている。携帯電話に出る為に部屋を出た和田と入れ違いに西村が入ってくる。どうにも似合わない衣裳を着ている西村を見て、皆苦笑している。
西村が石井に「昨日のはどうなった?…いや、合コン合コン」と問う。皆が石井の返答に注目している。
石井「あ、大丈夫っすよ……多分やんないんで……」
皆の目が点になっている。皆、合コンを期待してか、身なりも普段とは違って少し小奇麗だ。それを察した石井は、急遽その場で女の子に電話するが、相手から明日にしようと言われてしまう…。
意気消沈の皆だが、石井の必死の盛り上げに徐々に士気が高まってくる。そんな中、山崎から突然の告白。
「告るけど…俺さ…ちょっとチェリー入ってるんだわ…」
山崎が童貞である事が発覚するや、皆は大興奮。その場で山崎へのSEX講座が始まる。

フロントでは別部屋にいた女たちが会計をしている。一人離れた横山はこっそり携帯番号を書いた紙を店員に見せ、思わせぶりな目線を送っている。

男達の部屋に退室10分前コールがかかる。山崎が「コレを歌うと絶対女が落ちる曲」だとポルノグラフィティの「アポロ」をかける。
山崎「みんな、明日のヤリコン、マジでやりましょー!!」
大盛り上がりの男達であった。

■ 第3話 ■ (2006年1月25日 00:58〜01:28)

1月22日 PM8:00。
一夜明けて。いつものカラオケルームでは、山崎が歌っている。その周りには浅野、宮本、和田がいる。皆どこか気の抜けた様子。外での電話を終え、部屋に戻ってくる石井。
石井「つながんないっすね」
どうやら今日の合コンは女の子にすっぽかされたようだ。皆、口々に仕切りの悪い石井に毒づきながら、店内に勝手に持ち込んだカップラーメンをすすっている。

フロントには、今日も女の子のグループ、横山、武田、野口、田村がいる。部屋に移動しながら目を合わせる横山と店員。横山は不適な笑みを浮かべている。

石井「何で俺ら彼女いないんすかね?」
ふともらした一言にラーメンを食べていた皆の手が止まる。今は別に女はいらない、結局男だけでいる方が楽しいなどと皆口々に強がって見せている。トイレに立った浅野がドアの窓から向かいを見ると、そこには大盛り上がりの横山たちの姿が。「女いるぞ」と浅野がつぶやいた瞬間、さっきまで強がっていた男達が色めき立った。ナンパしようという事になり、皆の激励を受け石井が行く事に。廊下から向かいの部屋を覗いていると、怪訝そうに横山が出てきた。その可愛さに男たちの合コンへの期待度が増していく。意気揚々と帰ってくる石井。どうやらセッティング成功のようだ。続いて男の部屋に入ってきた武田と野口。どちらの部屋でするのか、会計は一緒なのかと早口でまくし立てる。その勢いにあっけにとられる男たち。武田と野口はフロントへ確認をしに出て行った。

石井、浅野、和田が王様ゲームやろうと盛り上がる中、どうも宮本の様子がおかしい。
宮本「つーか、まじでやんの? ぜってーさむいって」
突然、合コンをやめようと言い出した宮本に、山崎も同調する。テンションが上がらないと部屋を去ろうとする宮本と山崎を必死に止める石井たち。そうこうしている内に、女の子たちがやってきた。
皆、緊張の面持ちの中、自己紹介が始まる。仕事の話を尋ねても、どこかぎこちない一同。
石井「じゃあ、みんな下の名前で呼び合わない?」
場を盛り上げようと必死の石井だが、女たちはキャサリンにジョンと、ふざけた受け答え。そんなギャグにツッコミを入れようとする山崎だったが、うまく乗れず空回りである。何かこそこそと相談している女の子たち。突然、田村が宮本の下の名前を尋ねた。
宮本「ああ……武蔵」
本名かと盛り上がる女の子たちを尻目に、宮本は「なわけないじゃないすか…」と場の空気を凍らせる。その寒い雰囲気を取り繕おうと、和田たちは女の子に歌を勧める。と、そこへ浅野の携帯電話に西村がこれから来るという連絡が。男たちは一番イケてない西村が来る事に戸惑いを隠せない。一方、女の子たちは、もう一人男性が現れると聞き、どんなイケメンが来るのかと興味津々である。武田が歌う中、現れる西村。女の子たちは、西村のファッションセンスとブサイクさに大爆笑。男たちはやるせない気まずさに包まれている。席に座ろうと移動し、つまずいて倒れる西村。ぶつかった女の子たちに謝りながら後ずさりの西村は、今度は山崎の足を踏みつけた。カラオケルームには微妙な空気が流れている…

■ 第4話 ■ (2006年2月1日 00:58〜01:28)

1月22日 PM10:00。
「キューティーハニー」を歌っている横山。それをはやし立てている男たち。カラオケルームは大盛り上がり。男女は大分打ち解けてきた様子である。しかし、どうにもイケてない西村の隣に座る野口はどこか不機嫌そうだ。そんな野口に気を使った石井が、盛り上げようとするが肩透かしである。

店員に食事のオーダーをしようとするも、ほとんどのメニューが売り切れ。仕方なくポテトチップスを頼んだが、どうにもやる気の無い店員に皆、不満気である。

西村に歌えと強引に曲を入力するが、歌わずに曲を消す西村。中途半端な盛り上がり方に場の雰囲気も微妙な状態。宮本がいつものように山崎の十八番を入力し、歌う直前に消すというネタを披露するが、野口は途中で消すという行為に噛み付いている。
野口「あんたたちがああいうことしたら、あたしマジキレるからね」
ギャグだと説明する宮本と山崎だが、どうにも理解されないようだ。

和田が雰囲気を変えようと宮本が映画監督志望である事をネタに会話を盛り上げようとする。テレながらも熱く自分の映画の構想を語る宮本。それを聞いた野口と武田はちゃちいと小ばかにする。あからさまに否定された宮本が野口、武田と口論。男たちよりも人生経験があり、理解力が高いと豪語する野口がその証として、高校時代に絶賛されたダンスを披露することに。そのあまりにもあいまいで、恥ずかしい踊りに場の空気は一層冷ややかになっていく。
オーダーを取りに現れた店員に石井が食ってかかる。
石井「なんもねーから、こっちは買って来いって言ってんじゃん!!」
キレた店員が石井を突き飛ばし、ケリを入れる。カップラーメンの残骸を見つけた店員が、持ち込み禁止だとグループの代表者を呼びつけ、出て行った。
躊躇する年長者の和田に代わって山崎が店員と話をつけに出て行く。うまく対処した山崎に女性陣から絶賛の声。和田はいたたまれない様子である。

突然のハプニングにぐったりの一同。そんな中、宮本がバイトに顔を出してくると部屋を出る。しばらくの後、こっそりと出て行こうとする横山だが野口に制止される。戻ってきた宮本が、あたかも偶然かのように横山を送ると申し出る。あからさまな“お持ち帰り”行為を女性陣から追及され、居たたまれなくなった横山はふてくされて自分の席に戻る。宮本もどこか寂しそうに席に戻った。
石井が雰囲気を挽回しようと王様ゲームを提案。嫌がる女性陣をよそに、強引にゲームをする事に。
石井「2番と…5番が…キス!!」
王様の石井が命令を下す。指名されたのはイケてない西村と見た目が一番微妙な女、田村だった。盛り上がりに欠けたその人選に、あたかも無かったかのようにその場を収めようとした一同だが、田村は盛り上げるためならばと、西村とのキスを承諾。皆が盛り上げる中、キスしようとした瞬間、西村が田村を突き飛ばした。そんな西村の行為に、呆然とする一同であった。

■ 第5話 ■ (2006年2月8日 00:58〜01:28)

1月22日 PM10:30。
盛り上げようという田村の気持ちを踏みにじる西村。
西村「こういうのって俺にも選ぶ権利あると思うんすよ…妥協したくないんで…」
泣きじゃくる田村をよそに、掛かってきた携帯電話に出る為、西村は外に出て行った。
そんな田村に寄り添い、必死に励ます山崎。
山崎「つーか田村さんかわいいじゃん。だから泣くことないって。泣いたら負けじゃね?」
山崎の献身的な慰めに田村が泣き止んだ瞬間、田村は山崎に向かって唇を近づけた。反射的にそれを避け、思わず声を荒げてしまった山崎。その姿を見た田村は再び泣き出し、部屋を飛び出した。それを追う武田、野口。罪悪感に苛まれた山崎もその後を追う。
石井「やばくないすか、このコンパ…」
一同はただ、呆然と眺めているしかなかった。

取り残された石井、宮本、浅野、和田と横山。空気を変えようと石井が横山に女性陣が男たちのことをどう感じているかを問いかける。みなそれぞれの印象が語られる中、山崎が浮かない顔つきで戻ってくる。何故か女性陣の中で浅野の印象が薄く、全く話題にも上っていない様子である。それをまるで聞こえていないかのように振舞う浅野であった。

落ち着きを取り戻した田村と武田、野口が戻ってくる。少し遅れて西村が戻ってきた。黙ったままの西村に対して、野口、武田からの追及が激しい。再び泣き出しそうな田村を必死に「田村、性格いいよ」とあからさまに慰める女たち。怒りの矛先が西村に向かったとき、浅野がそれを遮った。
浅野「ちょっと待てよ…何かおかしくねーか、この場。みんな嘘ばっかついてるっていうか…」
熱く語る浅野を遮るように、野口の携帯電話が鳴る。思わず吹き出した一同。熱く語っていた事に気恥ずかしさを感じる浅野。野口の母が迎えに来るという連絡があり、帰り支度の女たち。どうにも気まずい雰囲気が部屋を漂う。居たたまれなくなった女たちは他人行儀なあいさつをすませ、部屋を後にする。しばらくして野口が山崎を呼び出しに戻ってきた。

呼び出された山崎を野口、武田、田村が迎える。
田村「なんか…どうやら気に入っちゃったみたい…」

上着を取りに部屋に戻ってくる横山。気を利かした石井が宮本のために横山の携帯電話の番号を聞きだそうとするが、宮本はそのばつの悪さにそれを拒む。女たちに呼び戻された横山はどこか後ろ髪を引かれるように部屋を出て行った。
部屋に戻ってくる山崎。田村からの告白を語り出す山崎に、皆はとまどいつつも励ましの言葉を掛ける。どうやら山崎もまんざらでもなさそうだ。そのときふらりと現れる店員。
店員「あいつら商業高校の奴らっすよね…ウチよく来んすよ」
女性陣の中に、一人ブサイクな奴がいるという店員。どうやらそれは田村のことのようだ。思わず石井が店員に同調するが、一人、山崎は困惑気味である。
店員「あと、ハッピーストアの姉ちゃんいたでしょ……俺、昨日、やっちゃった…」
横山との刺激的な一夜を得意げに話す店員のその衝撃の告白に、一同は困惑の色を隠せない。店をそっちのけで部屋に入り浸ったまま、延々と語り出す店員。ついにはT-BOLANの「離したくない」を歌い出す。男たちにどうしようもないやるせなさが漂う。携帯電話に着信があり、部屋を出て行く店員。曲がサビに差し掛かったとき、山崎がマイクを掴んだ。絶叫する山崎の頬を涙がつたう。焦燥感に包まれながら、男たちはただひたすらその叫びを聞いているしかなかった…

■ キャスト
 山崎 ……………… 生田斗真(ジャニーズJr)
 石井 ……………… 山崎裕太
 浅野 ……………… 中山祐一朗(阿佐ヶ谷スパイダース)
 宮本 ……………… 米村亮太朗(ポツドール)
 西村 ……………… 古澤裕介
 和田 ……………… 宮崎吐夢(大人計画)
      ○
 横山 ……………… 瀬戸早妃
 武田 ……………… 木南晴夏
 野口 ……………… 安藤玉恵(ポツドール)
 田村 ……………… 近藤春菜(ハリセンボン)
      ○
 店員 ……………… 渋川清彦
■ 原作・脚本 三浦大輔とは
1996年12月、早稲田大学演劇倶楽部10期生を中心に「ポツドール」を結成。
2000年7月、第5回公演作『騎士(ないと)クラブ』でそれまでの作風を一変させ、演劇的なものを最大限に排除したドキュメンタリータッチの作品に挑む。「リアル」を徹底的に追求したこの作品は、「セミ・ドキュメント」と称され、2000年日本インターネット演劇大賞 最優秀新人公演賞を受賞。
この作品を機会にメディアに大きく取り上げられようになる。
初めての映像作品、『はつこい』が第25回ぴあフィルムフェスティバルで審査員特別賞を受賞。
2005年上演作『愛の渦』が第50回岸田國士戯曲賞受賞。
「演劇」のみならず「映像」での活動も期待されている注目の若手作家である。

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