クリスマス・イヴ
とある喫茶店「カフェ・ド・念力」
ココにはその風変わりな店名に惹かれ、ちょっと変わった人たちが集まる。
そう、それはエスパー(超能力者)たち!!
普段は皆、人知れず、慎ましやかに暮らしていたのだが、どうにも気になる自分の能力。
今日はそんな超能力者たちのささやかな超能力発表会なのだ。
ひっそり、こっそりと繰り広げられる発表会のはずが・・・トラブル発生!!右往左往のエスパーたち!!
喫茶店はもう大騒ぎ!!
クリスマス・イヴの夜。
エスパーたちの集まる喫茶店で起こる抱腹絶倒、ちょっとハートウォーミング、季節はずれのサイキックシチュエーションコメディ!!
■ 第1話 ■ (2005年8月10日 00:58〜01:28)
テレビから流れるオープニング映像。今、まさに『超能力激論バラエティー 冬のユリゲラー』の放送が始まった。
クリスマス・イヴの夕暮れ。喫茶店「カフェ・ド・念力」で、その番組を見つめる筧、三宅、井手。筧はつまらなそうにリモコンでテレビを消した。「観ないの?」と問う井手に、筧は「観るんですか?」と答える。くだらなすぎる番組を見る気になれない筧に、そのくだらなさが逆に面白いと答える井手。この番組は毎週世界の超能力者が紹介され、その能力が本物かどうかをスタジオで真剣に議論する内容だという。過去に紹介された中国の透視少女は、封筒の中に隠されたパンダの絵を6時間も見つめたあげく「風」という文字だと答え、その少女の母親が「風の下の部分と、パンダの口をつむいでいる感じが似ている」と言い張ったらしい。更に、中国のスプーン曲げの男が登場した時は、何時間も念じたにもかかわらず、そのスプーンを曲げる事ができず、男はスプーンをスタッフに触らせ、その熱さが自分のパワーだと答えたという。その本末転倒な展開がばかばかしいと、熱く語る3人。
「あれ今度、正月に特番やるんですよ。この前それの告知で、あなたの周りのびっくり人間を教えてくださいっていう謎のテロップが…」
その頃、安アパートの表には、バラエティー番組『冬のユリゲラー』女性AD桜井がいた。彼女はびっくり人間の取材でこの部屋を訪れていたのだ。
「カフェ・ド・念力」にコンビニの袋を持って店のマスター・早乙女が戻ってくる。彼はコンビニにコーヒー豆を買いに行っていたのだ。
「喫茶店で豆切らすって珍しいですよね」
「マクドナルドでパン切らすようなもんですからね」
と、つっこまれながらも笑顔の早乙女。と、そこへ「メリークリスマス!!」とクリスマスケーキを持って入ってくる河岡。お互いに自己紹介を終えて席に座ると、井手から「まさか本当に実現するとは思わなかったですよね」という言葉。ちょっと風変わりな彼らの正体とは…それはエスパー(超能力者)!! 今日はそんな超能力者たちのささやかな超能力発表会だったのだ。他のエスパーたちの能力が気になって仕方がない面々は、出席者が全員集まっていないにもかかわらず、順番にそれぞれの超能力を披露することに。まずは井手のサイコキネシス。井手は電気製品を自在に操作する事ができる。取り出したゲームボーイのテトリスを筧にプレイさせるや、物凄い形相で力み始めた。すると、画面の上から落ちてくるブロックが棒ブロックばかり。さらに力むと今度はS字ブロックばかりが落ちてくるというなんとも地味な技。三宅はテレパシー能力を持っている。他人が考えている事を読み取るばかりか、逆にテレパシーを送る事もできる。筧は透視能力を持つ。井手と河岡のインナーシャツを透視し、それぞれがナイキのTシャツを着ていることを言い当てた。河岡もサイコキネシスを使う事ができる。差し出した手から気を送ると物が動かせるのだ。物置の扉を気で開けると、勢いあまった扉に、奥の荷物がけたたましく乱れ飛んだ。どうやら微妙な力加減が難しいらしい。盛り上がる一同を微笑ましく見守りながら、コーヒーを入れようとしている早乙女。と、入り口が開き、小山が入ってきた。料理の専門学校に通っているという小山もまた、エスパーの1人。皆から能力を見たいと言われ、小山はポツリと答える。
「あぁ、じゃあその、テレポーテーションができるんですけど」
軽い驚きの後、皆の動きが一瞬止まる。
「…いやそんな当たり前みたいに…」
安アパートでは、ビデオカメラ片手にびっくり人間の取材をするAD桜井がいる。
一方、路地裏では「カフェ・ド・念力」の地図が描かれたメモを片手にサングラスの男が歩いている――。
■ 第2話 ■ (2005年8月17日 01:13〜01:43)
遅れてやってきた小山。彼がテレポートする事が出来ると聞き、半信半疑のエスパーたち。あっという間に瞬間移動で筧の背後に立ち、頭をはたく小山に一同騒然となる。実は小山の能力は、5秒間の間、時間を止め、その間に移動し時間を戻すという能力であった。テレポーテーションというより、タイムストップの方がすごいと一同は大盛り上がり。
ミルクを切らしたとマスターがコンビニへと出かける。店に残ったエスパーたちは、あと一人来るというエスパーの到着を今かと待ち構えていた。その時、恐る恐る店内に入ってくるサングラスの怪しげな男。
「特殊な能力の?」
「ええ、まあ」
その言葉についに現れたと大喜びのエスパーたち。サングラスの男は神田と名乗った。もう一度技を見せ合おうというエスパーに対して、神田も自分は負ける気がしないと強気な姿勢である。
その頃「冬のユリゲラー」に出演する“びっくり人間”の取材を終えたAD桜井は、「カフェ・ド・念力」の地図を片手に町をさまよっていた。
「カフェ・ド・念力」店内では、神田を大トリに再度、超能力の発表会。まずはサイコキネシスの井手。井手は消えているテレビに触れないまま電源を点けるという離れ技を披露。それを見た神田は一言、「誰ですかリモコン。しょーもない」とまるで信用していない様子。テレパシーで三宅に昨日食べた夕食を当てられた神田。口に食べかすがついているのかとこれも信じていない。筧にジャケットの中を透視され、ようやくこの場の雰囲気を理解し始める神田。とどめに河岡のサイコキネシスで触れられずに後方へ吹き飛ばされてしまった。唖然とする神田に、次は神田の番とエスパーたちは技の披露を促す。どこか躊躇している神田は自分の技はそこまで凄くは無いと引き気味。
さあ、神田が披露する番。神田の技は“細男”という技で狭いところをすり抜けられるという技らしい。今までに聞いた事の無い超能力に沸き立つエスパーたち。神田はおもむろに階段の手すりの前に立ち、幅50センチの隙間を潜り抜けた。あっけに取られているエスパーたち。それじゃあただの特技じゃないかと詰め寄る。
マスターが帰ってくる。神田を見止めたマスターは一言、
「誰?」
神田は超能力者ではなく、「冬のユリゲラー」に出演するただの“びっくり人間”で、間違ってこの店に入ってきていたのだった。
一般人に自分たちの能力を知られてしまったと大慌てのエスパーたち。何とかこのことを口外しないよう神田を説得するが、あまりに衝撃的な体験をした神田にその意思はない。隙を見て逃げ出そうとする神田を取り押さえ、自分たちの存在を知られないようにするにはどうしたら良いかを思案するエスパーたち。サイコキネシスで息の根を止めようとする河岡を殺すのはマズイとたしなめる一同。井手のサイコキネシスで脳の中の電流を操作し、記憶を消すとか…。タイムストップで神田の時間をずっと止めておくってのは…。僕のはそれできますけど、と河岡。いやだから、それは殺す事じゃないですか。と、なかなかいい案が浮かばない。そんな中、マスターが一言、
「この人に超能力を身につけさせるってのはどうかねえ。そしたら、あの人もエスパーになるし」
そんな簡単に身につくのかと訝しげな一同だが、ひょっとしたらと神田に尋ねてみる。
「どれが一番出来そうですか?」
周りを取り囲まれた神田が苦し紛れに言う。
「ああ……じゃあ……透視で」
自分の能力を軽んじられたと、筧は気に入らない様子。
筧は言う「あなたこれで出来なかったら承知しないですよ」
一方、街では桜井が地図を手に「カフェ・ド・念力」を目指し歩いている。
■ 第3話 ■ (2005年8月24日 00:58〜01:28)
携帯電話で話しながら路上を歩くAD桜井。彼女は『冬のユリゲラー』の正月特番に出演してくれる“びっくり人間”の取材の成果を報告中である。
「ええ、・・・割と不作っていうか・・・あ、でも大丈夫です、次は・・・なんか細男とか言ってて、細いところをすり抜けちゃうみたいな・・・」
喫茶「カフェ・ド・念力」では透視に挑戦するという神田の前に、エスパーたちがESPカードを並べている。案の定、透視が出来る兆しも見えず、落胆するエスパーたちをよそに、神田はトイレに行きたいと言いだす始末。
「大変なことになっちゃいましたね」と小山。
「まさかびっくり人間が紛れ込むとは」と筧。
エスパーたちは改めてこの場にただの“びっくり人間”が紛れ込んでいたことに困惑気味である。突然トイレへと駆け出す筧。ドアを開けるとそこには窓から上半身を投げ出し、引っ掛かっている神田の姿が・・・。筧に引きずり下ろされた神田を、エスパーたちが取り囲む。
「また逃げるつもりだったんですか?」と井手。
「窓から逃げるつもりだったんですよね」と筧。
皆に責められる神田は、土下座して謝る。
「っていうかなんで夜にサングラスしてるんですか?」と言う三宅に、神田は待ち合わせの目印だと答えた。なんと神田はここで、番組「冬のユリゲラー」ADと“びっくり人間”出演についての打ち合わせのため、待ち合わせをしていたのであった。パニックになる一同。エスパーは一般人に自分の正体がバレてはいけない。ましてやマスコミはエスパーにとって最大の敵である。一同が動揺していると、店のドアが開き、AD・桜井が入ってきた。動きが止まるエスパーたち。
皆の動揺をよそに、名刺を出して桜井が神田に挨拶。桜井の名前が“米(ヨネ)”である事におばあちゃんみたいだとひと盛り上がり。早く桜井を店から追い出したい一同だがあまりの動揺からか、次々と他愛もない話を続けてしまう。桜井が「カフェ・ド・念力」に来る前に取材をしてきた“びっくり人間”は通称「へっちゃら男」で、鉛を呑んだり、毒グモに刺されたりと何をされてもへっちゃらな人。その取材中に毒グモがいなくなってしまい、桜井はこの待ち合わせに遅れてしまったらしい。奥のテーブルに対峙する桜井と神田。神田の取材が始まった。柵を通り抜ける技を披露する神田であったが、どうやら桜井の期待にそぐうものではなかったようだ。帰り支度をしている桜井にエスパーたちはほっと安堵の様子だったが、一人、筧の顔つきが神妙になっている。と、突然、筧が桜井に声を掛けた。
「毒グモって、最終的に見つかったんですよね?」
「ああ、それがまだ見つかってないんですよ」
桜井の返事に顔を曇らせる筧。急に毒グモに興味を示す筧を不思議に思うエスパーたち。筧は桜井に気付かれぬよう、こっそりと打ち明けた。
「・・・っていうか、まあ、いるんですよ。毒グモが」
筧の言葉に、慌てて身を乗り出すエスパー達。桜井が着ているコートの内ポケットにある名刺入れ。その中に毒グモが隠れていると答える筧。筧の透視能力によるこの一大事の発覚に、どうしたらいいものかと戸惑うエスパーたちであった・・・。
■ 第4話 ■ (2005年8月31日 01:13〜01:43)
AD桜井の名刺ケースの中に透視で毒グモを見つけたと言い出した筧に動揺する一同。
神田の技に落胆し、帰ろうとする桜井に思わず筧が声を掛ける。
「(とっさに神田に)あの技」と言い出す筧に、躊躇する神田。「すごい技があるんですよ」と続く井手。「細男なんかもう、目じゃないですよねえ」と小山。一同は桜井を引きとめようと必死である。皆が、神田に目配せすると、「…あるんですよ」と思わず答える神田。「ローリングストーンって技なんですけど…」と苦し紛れに続ける神田は訳もわからずに嘘を並べ始める。
桜井に気付かれずに毒グモを殺すには…。喫茶店の隅で、エスパーたちが思案する。
河岡が桜井に手をかざし、サイコキネシスで毒グモを殺そうとするが、微妙なコントロールが効かないと皆に止められる。小山のテレポーテーションで時間を止めている間に毒グモを殺そう!ということになり、挑戦するも、小山がためらっているうちに5秒間は過ぎ、失敗。肩を落とす一同は考えた末、「北風と太陽作戦」に出る。部屋の温度を上げ、コートを脱がせ、桜井が目を離した隙に毒グモを殺そうという作戦。しかし、エアコンのリモコンは桜井の目の前。一同は井手のサイコキネシスで温度を上げようと提案。井手がリモコンにむかって力むと、ぐんぐん温度は上昇。35度の最高設定まで上げることに成功する。しかし桜井は神田の行き当たりばったりの話に業を煮やし、コートを脱ぐこともなく帰ろうとする。
「(神田に)あの話はしました?」と河岡。
「あのほら、ここにいる全員がもう腰を抜かした」と筧。
神田は半ばヤケクソで「ああ…してないです」と答える。
神田の技に興味を示した桜井は、コートを脱いで再び椅子に腰を下ろす。
「ああ…“100の声”っていう技なんですけど…」
苦しいながらもウソの技を披露する神田は裏声などを使って、いくつもの声を出してみる。
と、その時、桜井の携帯が鳴る。チャンス到来! 皆は店内携帯禁止と、桜井を外へ促す。一同はついに、桜井のコートの名刺入れを取り出した…。皆が緊張しつつ見守る中、三宅が、名刺入れを開ける! 「おぉ!」とその場を離れる一同。…しかし、何も出てこない。
「いや、まあ、だから…似てないですか?」と筧は名刺の『米』という文字を指差す。筧は桜井の名前『米』の形を毒グモと勘違いしていたのだ。なぜ名刺の中を覗いたのか?と神田に追求された筧に、皆からの疑いの眼差し。筧は透視で桜井の裸を覗こうとしていたのだった。
「とんだエロエスパーだったね」とあきれる一同に筧は土下座して謝っている。
電話を終えて戻ってきた桜井。へっちゃら男が毒グモに刺されて入院してしまったため、番組に出演できなくなったと告げる。その時、テレパシーで桜井の心を読んだ三宅の表情が暗くなる。あてにしていたへっちゃら男が出演できなくなり、その代わりがいないことで桜井が責任を取らされ、仕事をクビになるかもしれないらしい。真剣なまなざしの筧が、皆に相談を始める。筧の提案に賛同する一同。
「このまま終わるのはさすがに消化不良すぎでしょ。マスター、赤い服ないですか?」
店を出ようとする桜井を引きとめようとレジで話を長引かせるマスター。その隙に筧は神田にそっと耳打ちをする。神田は赤い服の入った紙袋を抱え、奥のドアへ。そしてついに、桜井が店を出ようとしたその時、井手がゲームボーイを持って力んだ。ピコーンという電子音が大音量で何度も鳴り響く中、筧がポツリとつぶやく。
「どこからか…鈴の音が聞こえますよねえ」
筧と三宅は桜井の手を引き、外に出る。小山とマスターもそれに続く。表に出た一同が夜空を見上げるとそこには、空を飛んでいる赤いジャージを着た神田の姿が!
「あれ、もしかしてサンタクロースじゃないですか?」
店内では、宙にむかって手をかざし、力んでいる河岡と井手。顔を見合わせて微笑みあう。
「これ、ビデオ撮りに行った方がいいんじゃないですか?」と筧。
「これ、衝撃映像ですよ」と続ける三宅。その言葉に思わず駆け出す桜井。
力んだ河岡と井手が外に出てくる。河岡は神田を公園の池まで飛ばしたらしい。ビデオ撮影に成功した桜井が戻ってくると、一同は番組で使える映像が撮れた事に大喜びである。
と、その時、ひらひらと降り始める雪。一同はしばし空を見上げている。
去っていく桜井を笑顔で見送る一同。
桜井に自分たちがエスパーだということがバレていると言う三宅。
「…あの人は…言わないよ。」というマスターの言葉に、ホッと和む一同であった。
一同が店内に戻ると、びしょぬれの神田が飛び込んでくる。震えながらも、筧に透視を教えて欲しいと言う神田。透視を軽々しく考える神田にムカつく筧であったが、そのためにわざわざ戻ってきた神田を嬉しく思う一同であった。着替えて戻ってきた神田を笑顔で取り囲むエスパーたち。
「じゃあ、まず…これから…」と神田に透視特訓を始める筧だった。