第11回 2004年6月22日(火)放送 あらすじ

#11 良薬、主夫に苦し

 和之(阿部 寛)が退社前に手がけたCMが権威ある広告賞に輝いた。授賞パーティーにはCM業界の有力者たちが集まった。旧知の吉川専務も声をかけてくれ、どうやら再就職の道も開けそうだ。とはいえ正式に決まるまでは主夫業にかかりきり。今日は注射嫌いの理絵(安藤咲良)に予防接種を受けさせなければならない。美紀(篠原涼子)からは「大嫌いなんだから心してよ」とクギを刺されたこともあって、和之は理絵に遊びにいくと偽って病院に連れこむつもりだった。だが、当の理絵は気づいていた。一緒にいく亮太(吉川史樹)は優介(宮迫博之)から口止めされていたが、理絵から迫られてあっさり白状してしまったのだ。
 スイーツクラブは和之の受賞の話題でもちきり。真理江(川島なお美)まで普段とは別人のように持ち上げた。ところが優介だけは浮かない表情。和之の再就職が決まれば主夫仲間がいなくなる。だから笙子(中島知子)に、もうパート辞めようかなと言ってしまった。「一人じゃつまんないし…」「ホントにそれだけ? 山村さんは賞取ったのに自分はこれでいいのかって思ってるんじゃないの?」
 「パパの嘘つき!」。診察室に連れてこられた理絵はふてくされていた。「頑張れ、偉いぞ、もうちょっとだ!」。注射の痛みに耐える理絵を和之は、いつしか大声で励ましていた。「…お父さん、お静かに」。和之は医者にたしなめられた。
 冴子(滝沢沙織)と健児(永井大)は彼女のアパートで同棲を始めたものの、お互い不満がたまるばかり。「山村さんみたいに向上心はないの?」ついには冴子は冷ややかな言葉を浴びせた。「俺は冴子さんのロボットじゃねえんだよ!」。売り言葉に買い言葉。「バカにしやがって。今度こそおしまいだからな」。健児は荷物をまとめると部屋を飛び出した。冴子はあわてて後を追ったが、すでに健児は走り去っていた。
 美紀が仕事で週末に一泊で熱海に出かけることになった。編集長の上田(中村繁之)も同行すると聞かされて、和之は内心穏やかではない。仕事だから仕方ないが、週末は水族館に連れていくと理絵に約束していた。「…2人で行ってくれる? 仲直りするいいチャンスじゃない」。確かに、注射の日以来、和之は理絵と仲直りするきっかけをつかめてない。
 再就職のことも気になる。こちらから吉川に連絡を入れると「それなりに時間がかかりそうでね」。もしかして社交辞令だったのか。そんな和之のもとへ冴子がやって来た。もちろん健児のことだ。「どうしたら山村さんみたいに自分の道を見つけられるんですか」。和之は、妻の出張のことや仕事が見つからないことに苛立っている自分をさらけ出した。「正直っていいですね。私も山村さんみたいに正直になります」。
 「お母さん、お土産買ってきてね」。美紀を見送ると、和之は理絵と水族館へ。ところがあんなに楽しみにしていた理絵なのに元気がない。「気持ち悪い」。熱がある。和之は不安になった。美紀がいなくて1人きりで看病できるだろうか。心配した優介が様子を見にきてくれた。「そんなに騒ぐなよ。寒けがすれば温めてやる。熱が上がりきったら今度は涼しくしてやる。後は安静にしとけばいいんだよ」。和之が心強く思ったのも束の間、優介は用事があるからと帰ってしまった。
 和之がしょうが湯を作っていると、かつての部下の加藤(榊英雄)から電話がかかってきた。クライアントがフリーのディレクターを探しているという。「先方は今すぐ会いたいそうです」。しかし、理絵をほったらかして出かけるわけにはいかない。「悪いけど今はちょっと…」。
 和之は美紀に電話をかけたが、美紀の返事はそっけなかった。「薬を飲ませて寝かせれば大丈夫でしょ。仕事中なの」。実は、上田が急用で帰ってしまい、美紀は1人きりで取材にきりきり舞いしていたのだ。「俺だって仕事の話を断ったんだ。自分だけ仕事してるみたいに言うな」。
 その頃、優介は駅前の喫茶店で健児と冴子と向き合っていた。仲直りの仲介役だった。そこへ真理江が現れると、とんでもないことを口にした。「あなたたち、ホントに相性がいいのかしら? 私がお互いにお見合い相手を見つけてあげるわ」。優介が絶句すると、冴子はきっぱりと言った。「私たち、これでけっこう相性いいんです」。健児もあわててうなずいた。「俺、冴子さんが好きです」。意外なことに、真理江のおかげでどうやら一件落着となったようだ。
 和之が理絵につきっきりで看病していると、美紀から電話がかかってきた。「さっきはごめん。自分のことしか考えてなくて」。和之は穏やかに応じた。「仕事は大事にしろよ。こっちは俺に任せろ」「わかった」。加藤から再び電話があった。「やっぱり、先方は今夜会いたいそうです。他の人に仕事の話、行きますよ。」和之は選択を迫られた—。

キャスト

山村和之 … 阿部 寛
杉尾優介 … 宮迫博之
山村美紀 … 篠原涼子
杉尾笙子 … 中島知子
大沢健児 … 永井 大
倉本冴子 … 滝沢沙織
上田 聡 … 中村繁之
岩崎真理江 … 川島なお美

スタッフ

■脚本
  尾崎将也
  旺季志ずか
■プロデューサー
  安藤和久(関西テレビ)
  東城祐司(MMJ)
  伊藤達哉(MMJ)
■演出
  塚本連平(MMJ)
  二宮浩行(MMJ)
  三宅喜重(関西テレビ)
■音楽
  仲西 匡
■制作
  関西テレビ
  MMJ

バックナンバー